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2005年12月03日

『ユビキタス、TRONに出会う』

私が「TRON」の名前を最初に聞いたのは、20年前のワープロが普及しはじめた頃。
人間工学を元に作られた扇形の独特なキーボードと、誤作動の少ない安定したOSは、将来のコンピュータの主流になる……といわれていた。著者はTRONの開発者で、ユビキタス・コンピューティングの推進の中心人物。

マイクロコンピュータの生産は年間約83億個。
PCはそのうちの2%にすぎない。
命令から処理までに少し時間がかかるWindowsやリナックスに対し、TRONは処理が一瞬でできる。
そこで、瞬間的な動作が必要な携帯電話や自動車など、PC以外の組み込みコンピュータでは、TRONのOSが主流となった。

「ユビキタス」は「偏在」の意味。
TRON内臓の極小ICチップをあらゆるものに取りつけ、専用のリーダ(読み取り機)やライタ(書き込み機)から電波でチップを起動。
チップの情報は、即座に反射波でリーダやライタに戻る。
チップを動かすエネルギーは、ライタやリーダが出す微少電波で十分。
商品管理、身体障害者支援、野生動物の生態調査など、ユビキタス・コンピューティング技術で色々なことができる。

現在、直径0.4ミリのチップと専用ユビキタス・コミュニケータ(読み書き機)が完成。
食品トレサービリティ流通実験、神戸の街中に身障者援助システムを設置して、実際に身障者に使ってもらう実験と、確実に実用化にむかっている。

今後、日本の技術が世界をリードするには、ユビキタスを応用したユニバーサル社会の実現が必須。
そのためには技術を公開し、それぞれの責任範囲を明確にし、ユビキタス社会に見合った社会制度の構築を、技術開発と同時進行で行う必要があると、著者は主張する。
しかし、責任を怖がる日本人の国民性を考えると、これは技術開発より難しそうだ。

でも、ユビキタス社会は確実に来るだろう。
どんなものになるかは見当もつかないが。


『ユビキタス、TRONに出会う』 坂村健著 NTT出版


posted by ゆか at 10:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 本読みコラム | 更新情報をチェックする
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