新着記事

2008年07月12日

『憎まれ役』

野中広務……気になる人だ。
小泉総理に反旗を翻した「抵抗勢力」の首領。
自民党を守るために、あらゆる権謀術策を駆使した元自民党幹事長。
しかし、身体障害者施設の経営や、ハンセン病の国家賠償問題の国の控訴断念を裏で動かすなどして、弱い人々を守りもしている。
「古くてもよいものは残す、それが保守だ」の野中氏の主張は、筋が通っている。

この本は、2003年政界を引退し、現在は平安女学院大学客員教授の野中宏務氏と、楽天ゴールデンイーグルス監督、巨人の長嶋監督と比べ続けられた野村克也氏の対談集。

「野球」と「政治」、分野は違っても「勝負」の世界。
共通点は多い。

『あらゆる勝負の基本は分断と懐柔。そのためには、常に情報収集し、人間関係を深めておかなければなりません。勝負は準備の段階でついているからです』

……野中氏の言葉は胸に響く。

ところで、組織が機能していくためには、組織のために苦言を呈する「憎まれ役」が必要だ。

かつて、私が地元自治体の医療関係の委員をしていた時の臨時審議会。
議題は「市民健康診断料引き上げ」。

市の財政を圧迫する、安すぎる各種健診料。

「このままでは財政再建団体だ。来年度の健診料を引き上げ、受診を抑制せよ」と上層部から通達があり、最大3倍に値上げする新健診料を「承認」していただきたい……。

無茶な話だ。

医師会は猛反発。
本来反対するはずの市民団体は、助成金削減に怯えて沈黙。
仕方がないので私が質問した。

「財政逼迫のため健診料を引き上げるというなら、財政がよくなったら下がるんですね?」

重苦しい審議会は一瞬で明るくなった。内心、全員が値上げに反対だったからだ。

私の質問は市の上層部を狼狽させ、結局、健診料は据え置き。
その後、健診の形式が見直された。
市民には「サービスが悪くなった」と不評だが、財政再建団体にならなくてすんだ。

『本当の「決断」には、必ず陰にまわる人がいる』と野中氏は言う。
憎まれ役も悪くない

『憎まれ役』 野中広務・野村克也 著 文藝春秋

タグ:自民党
posted by ゆか at 10:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 本読みコラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/102695334
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック