8月22日〜24日には、二次審査対象デザイン2000点以上を一般公開する「GOOD DESIGN EXPO 2008」も開催。
……いよいよグッドデザイン賞選定も佳境ですね。
今年のグッドデザイン賞は、色々とリニューアルされていますが。
審査領域が変わったためか審査員が増えて72人……そんなに、ようけおって大丈夫かいな。意見が割れて、まとまらんかもしれへんで。
『六本木経済新聞』との共同企画も開催……六本木経済新聞って何?
それは東京の地域紙?
発行部数は?
株価は?
実は、『六本木経済新聞』は、地域のビジネス&カルチャーニュースを配信する、全国各地の情報サイトのネットワーク『みんなの経済新聞』の一つ。
広域六本木圏のビジネス&カルチャーニュースを発信するインターネット情報配信サービス。
ちなみに、現在、大阪には梅田となんば、京橋の経済新聞しかありませんが、そのうちネットワークが広がるでしょう。
こんなふうに、色々と新機軸が打ち出されていますが……
『Gマークの変容』で書いたように、50年の歴史があるグッドデザイン賞も、時代の変化に対応して、その役割を変えようと試行錯誤をはじめたところ。
今年は選考委員が「近未来の生活者」をテーマに、消費者に「指針を示す」そうなので、「ほほう。どんな指針を示してくれるのか、お手並み拝見」と、ちょっと意地悪な気分でいましたが……
グッドデザイン賞の方でも、「消費者にグッドデザイン賞に親しみを持ってもらう」努力はしているようですね。
例えば、『グッドデザイン賞公式ブログ』では、2005年度グッドデザイン賞インタラクションデザイン賞受賞、YAMAHA『TENORI−ON』の「その後」を紹介。
これは16×16個のLEDボタンを使って、音楽の知識がなくても視覚的・直感的に作曲演奏することが可能な電子楽器。
受賞した時点では試作品段階だったものが、今年、製品化されて発売されたとのこと。
時々、製品化されたものではなく、「可能性」を重視した未来志向の試作品が、グッドデザイン賞を受賞することがあります。
特に最先端技術を応用した「新領域」部門の受賞作品の「その後」……実用化されて、どう広まっていくのかに興味があったのですが。
これからも、「その後の最先端技術」のことがわかるといいな。
そして現在、『グッドデザイン賞公式サイト』では、一次審査を通過した「ノミネートデザイン」の一部、約1700点を紹介。
今年のノミネート作品で興味をひかれたのは、『移動・ネットワーク領域』カテゴリの『デジタルメディア』。
ネット上には今も、続々と新型コンテンツが現われています。
紹介されているのは47作品。『博報堂』『防衛省・陸上自衛隊』『JICA』『アメーバブログ』……。
さまざまなサイトがノミネートされている中、私が気になったのは、検索用コンテンツ『動画検索サイトWoopie』と『想―IMAGINE book serch』。
実は、よくできた検索用コンテンツというのは、なかなかないものです。
私はgoogle愛用者で、キーワード検索は得意な方ですが、「動くものを凝視するのが苦手」な性質で、画像の検索は不得手。
『Woopie』は日本最大級の動画検索サイト。
『YouTube』『ニコニコ動画』などの動画共有サイトから動画を一括検索。
コミュニケーション機能もついているもの。
『ニコニコ動画』より見やすいトップページで、『YouTube』より検索しやすいようで、ちょっと楽しみ。
そして、さらに気になるのは、『想―IMAGINE book search』。
出品者は、特定非営利活動法人連想出版と、国立情報学研究所連想情報学研究開発センター。
現代を読み解く1000のテーマや『ウィキペディア』の23万項目を基点に本を探せる究極の書籍探索サイト。
ブルーと白を基調にした文字だけのシンプルなトップページ。
調べたいことに関連する単語や文章を入力し「検索」にあたる「IMAGINE」ボタンを押すと、データベースごとに連想検索した関連項目を表示。
現在データベースは12。
『ウィキペディア』『文化遺産オンライン』『ジュンク堂』『インターネット新聞JanJan』『Muuseum cafe』『webcat plus(全国1000館の大学図書館ネットワーク)』など、多彩でレベルが高い情報源ばかり。
試しに検索窓に「「武道」「袴」」と入力して検索してみました。
すると、本だけでなく、データベースの枠ごとに、辞書の単語、新聞記事やイベント情報や絵画の画像までが検索結果が一覧表示されました。
私が設定したテーマにそったもので、説明の中に「武道」「袴」の単語が入っていないけれど「関連するもの」として、撃墜王の伝記の書評や江戸時代の浮世絵の展覧会情報までが表示されているのが、すごい。
リストの「詳細」をたどっていくと、思いがけない発見もあり、勉強になりました。
『情報を絞り込む検索サービスではなく、多様な情報源の助けを借りながら発想を拡げることができる知識の広場』
……『グッドデザイン賞公式サイト』の紹介通り、データベースが増えた場合、曖昧な情報までフォローできる検索サイトとして、googleの先をいくものになる可能性がありますね。
普段、私はレファレンス(情報検索技術)教育を受けた者として、「いかに早く的確な情報だけを手に入れるか」ということをやっているわけですが。
よくやるのが、googleで「最初にキーワードを3つ入れて検索、キーワードの数を増やしていく」方法。
でも、「ひょっとしたら……何か大事なものを、見つけ損ねたんじゃないか」と、不安になることがあります。
「連想検索」方式の『想―IMAGINE book search』は、それを補う技術かもしれません。
『デジタルメディア』部門の一次審査の評価基準は、新規性、社会性、完成度、デザイン性など。
二次審査では「誰にでも使いやすいインターフェース」を重視するとのこと。
『想−IMAGINE Book Search』が受賞できるといいなあ。
2008年度グッドデザイン賞の発表は、10月8日。
どんなものが受賞するのか、楽しみです。
ラベル:グッドデザイン賞