……tobirisuさんこと、ライターの守沢良さんからメールをいただきました。
確かに、極細ペン。
興味は山ほどあるのですが……。
極細ペン……夫の筆箱にも入っているもの。
夫はCAD講師。
トレースや機械製図も教えているので、夫の筆箱の中には、雲形定規や三角スケールなど、私には使い方がわからない製図用文具が、たくさんあります。
夫の愛用ペンはSAKURA「PIGMA 0.1」。
芯が細く、定規を当てて線を引きやすくするために、ペン先が注射器状になっているライナーペン、いわゆる「線引きペン」と呼ばれるもの。
0.1ミリ!
その細さにも驚きますが、このペン、『筆圧をかけ過ぎるとペン先が破損するおそれがありますのでご注意ください』という、恐ろしい但し書きがペン軸に書かれていて……。
筆圧が高く、しかも不安定。
時々紙に穴を開けたりペン先を割ったりする「文具クラッシャー」の私には、使うのも、ためらわれる品。
この極細ペンは、かなり多くの種類が出回っているようです。
例えば、「世界最小(2004年10月現在)」の0.18ミリのゲルインクボールペン。
三菱「Signo bit 0.18」。
それよりも大きい0.25ミリボールを使っているのに、なぜか0.13ミリ幅の線が描けてしまう。
手品のようなボールペン、パイロット「HITEC−C 0.25」。
さらに細い芯のToo「コピック マルチライナー 0.03」。
これはペン先が樹脂製のマーキングペン。
(マーキングペンについては『マジックと大統領のペン』参照)。
「米粒に字が書ける」どころか「ゴマ粒に字が書ける」技術が、すでに実現しているなんて。
……なんだか恐ろしい世界ですね。
これらの極細ペンは、製図やデザインなどの細い線を描く職業の人々や、手帳に細かい字で書き込みをする人々に大人気らしい。
『頑張る日本の文房具(シリーズ知・静・遊・具編集部 ロコモーションパブリッシング)』で、パイロット「HITEC−C」が取り上げられていますが、一つのボールペンの中に驚くべきテクノロジーが詰め込まれています。
撹拌すると粘度が下がって液状になり、書いた後は瞬時に乾き、にじまないゲルインク、バイオポリマーインキを微生物から作る。
ペン先は内径0.25ミリのパイプに、まったく同じサイズの0.25ミリボールを落とし込み、かしめているのですが、なめらかな書き味を出すために、パイプとボールの接点は3箇所しかない。
1000の1ミリの精度で作られている。
……うーむ。すごい技術だ。
こういう精密機器みたいなものが、1本210円で売られていることも、すごい現実ですが。
一方、線引きペン。
『ステーショナリーマガジン004(エイ出版社)』によると、インクは水性顔料が主流。
ペン先はポリアセタール樹脂やファイバーチップなど。
毛細管現象で、ペン軸のインクが染み出してくる構造です。
……ここまで調べてみると、壊すかもしれないのを承知で使ってみたくなる「文具クラッシャー」。
「Signo bit 0.18(188円)」
「コピック マルチライナー 0.03(210円)」
「HITEC−C 0.25(210円)」
3本の黒の極細ペンを購入。
……まあ、この値段なら壊しても心理的ダメージが少ない。
それにしても、使われている技術の割に、この価格、安過ぎはせんかね。
「signo」の本体の注意書き。
『ペンを立ててゆっくりと書いてください』。
「コピック」本体には、『筆圧をかけ過ぎますとペン先が破損するおそれがあります。使用後は必ずキャップをしてください』。
「HITEC−C」本体には『キャップはカチッと音がするまでしめてください。ペン先はなるべくたてて軽い筆圧でご使用ください』。
……なんだか作法が多い世界ですな。極細ペン界は。
とりあえず線引き実験。
夫の愛用の「PIGMA」は、壊しちゃいけないので不参加。
「HITEC−C」と「signo」
……ペン先部分のパイプがしなり、ゴリゴリした書き味。
これが苦手で、ゲルインクボールペンは、あまり使いたくないのです。
「筆圧が高いからあかんのや」と言われると、返す言葉もありませんけど。
一方、サインペンと同じ構造の「コピック」
……キシキシとした感触は、まさしくマジックの系統。
……ペン先が一瞬曲がりそうになった時はギョッとしましたが、3本とも、なんとか壊さなくてすみました。やれやれ。
で、この芯の太さが全然違う3本の極細ペンで書いた線をくらべてみると……なんで、同じ太さなんだろう?
結局、インクのにじみの問題もあって、ペン先を細くするのには限界があるらしい。
『頑張る日本の文房具』の「HITEC−C 0.25」の項目では、『これ以上ペン先を細くすると筆記幅も含めて実用性に欠けるため、特殊用途は別にして、一般筆記具としてはこの程度が限界だと思われる』とあります。
確かに、線が細いほど、狭いスペースに多くの字を書き込めるけれども、「線が見えにくい細さ」まで行きついてしまうと、逆に不便になってしまうということですね。
6B鉛筆や油性ボールペンで、無地に近い方眼罫用紙に、力任せに殴り書きするのが好きな私には、ちょっと使いこなす自信がない筆記具ですが、「線幅を選びたい」「緻密に書きたい」人にはおすすめです。
ぜひお試しを。
ラベル:ペン
ご指名にあずかったようなものなので、図々しくも長々と書きます。
※こういう場合の「あずかった」を「預かった」と書くのは誤用、と最近知りました(ちなみに校正の仕事もしております……泣)。
決して小さくはない当方のペンケースを膨らませている諸悪の根源は、極細ボールペンです。校正の仕事をしているため、どうしてもこういうことになってしまいます。
極細ボールペンが一気に広まったのは、校正者が飛びついたから……ではなく、女子高生が飛びついたから、という話を聞いたことがあります。何色もそろえて、手帳にカラフルな文字をチマチマ書き込んでいるそうです。
ちなみに島村さんが書いた「ペン先が注射器状になっているライナーペン」は、このブログで知るまでは当方もサインペンの一種と考えていました。ペンケースの中にはプラチナ「PRO-USE SYSTEM」(0.1ミリ)が入っています。これは、
>SAKURA「PIGMA 0.1」
とほぼ同種の製品ですね。使いやすいんですが、ペン先の摩耗とインクの減りが早いもので、めったに使いません。筆圧の強い人もNGでしょう。すぐに潰れます。
サインペンでペンケースに入っているのはゼブラ「マッキー 極細」。全然細くはありませんが、神を選ばない(このバチ当たりが!)という意味では最強の筆記具です。
>例えば、「世界最小(2004年10月現在)」の0.18ミリのゲルインクボールペン。
>三菱「Signo bit 0.18」。
えっ。知らなかった。
当方が使っているのは、「0.5」と「0.28」です。基本は「0.28」ですが、地図などに赤字を入れるときは「0.5」を使います。
>それよりも大きい0.25ミリボールを使っているのに、なぜか0.13ミリ幅の線が描けてしまう。
>手品のようなボールペン、パイロット「HI-TEC 0.25」。
これも知らない(泣)。Signoの前はこれの0.5を愛用していました。何本使い切ったことか。いまでもペンケースの中にいます。これはとくに用途は決まっていません。
あと、「HI-TEC-METALLIC」のピンクとシルバーの0.7が1本ずつ。これは特殊な用途で、黒ベタや、濃い色がついているときに使います。ただ、最近の出力紙とは相性が悪く、あんまり出番がありません。ちなみに、この「METALLIC」タイプが女子高生人気の火付け役と記憶しています。
あと残っているのは、uni「Lakubo」。これはゲルインクタイプ以外のボールペンでは一番気に入っています。普通紙に小さい文字を書くのにはこれがもっとも重宝します。
ボールペンの進化は日進月歩の感があり、しばらく売り場を見ていないと驚いてしまいます。種類も多種多彩で、目移りします。このブログで紹介していただいたものも、当方がもっているより新しい世代のようです。機会があれば新しいものを探して……これがまたけっこう時間がかかる(泣)。
最近、消せるボールペンというのも復活してきました。
学生時代にこのタイプの初期タイプが何種類か出て、レポートを書くのに使った記憶があります。「ケルボ」とか言ったかなあ。なんか懐かしいような妙な気持ちです。