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2008年09月20日

『会社を継いだ男たち』

夫は「会社を継げなかった」男だ。
 
夫の父は鉄工所を経営していた。

夫は父と同じように武道を極めるかたわら、将来会社を継ぐために、いくつかの会社で「修行」をした後、父の会社に入る。

ところが、この時、会社を襲ったのは未曾有の円高不況だった……。


この本の著者は転職問題を得意とするフリーライター。
15人の「変革期に会社を継いだ」社長に焦点を当てた。

私には、会社を継いで苦闘する二代目社長より、自分が興した会社を、いかにして、円滑に次代に託すかに懸命な、先代社長の姿の方が印象に残る。

「こうしておけば、将来どんなことでもできるだろ」と、社名を『プラス』と名づけた文具のプラスの先代社長。
「自分が元気なうちのほうがいいから」と、「新年度から社長をやれ」と、突然、36歳の息子に命じたミスターマックスの先代社長。
「成功するまで頑張る」姿を、背中で息子に教えたコジマの先代社長。
「もしお前に経営の才能がないなら、絶対に後は継がせない」と、息子を叱咤激励した、はるやま商事先代社長……。


……会社は円高不況で経営が悪化する一方。
夫の父は、一代で興した会社を自分の代で終わらせると決断。
会社の整理にとりかかった矢先、ガンで倒れ、亡くなった。

会社の整理に忙殺された夫は、武道の稽古も断念。
トロフィーや賞状を全部焼き捨てたというから、その無念さは、はかりしれない。

その後、夫は専門学校の営業職に。
修行中に得た設計技術と武道で培った「人を教える才能」を評価されて講師となる。

現在、夫はCAD講師。
極真会館関西総本部が10年以上保管してくれていた道着に黒帯を締め、台所で空手の形稽古をしている。

そして、空手四段剣道三段少林寺拳法三段大東流合気柔術二段柔道初段、空手と剣道の指導員の経験は、『武道系コラム』として、形を変えて蘇った。

夢は、自分の思っていたのとは、違う形で叶うものなのかもしれない……。

『会社を継いだ男たち』 清水泰 著 パンローリング
ラベル:経営
posted by ゆか at 11:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 本読みコラム | 更新情報をチェックする
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