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2008年09月30日

長寿意匠の底力

まもなく発表される2008年のグッドデザイン賞。
 
今年は制度がリニューアルされた(『Gマークの変貌』参照)ので、何が受賞するのか全然見当がつかなくて楽しみです。

今年、特に大きく変化したのが、「ロングライフデザイン賞」。

受賞対象は、2008年度グッドデザイン賞発表日(10月8日)に販売されているもので、条件は……

「10年以上、継続的に生産販売されている商品」
「10年以上、同一の商品コンセプトが継承されている商品」
「10年以上前に生産販売された商品を、再度改めて生産販売している商品」

これまで、グッドデザイン賞受賞後、10年以上継続して販売されている商品が対象になっていましたが。
今年からは、一般ユーザーとグッドデザイン賞審査委員が商品を推薦できる、開かれた制度になりました。

『グッドデザイン賞公式ブログ』では、今年の「ロングライフデザイン賞」の候補作品の一部が動画で紹介されています。

G−ショック、電動ドリル、マルマンのスケッチブック、サランラップ、ジップロック、ノートパソコン、マジックインキ……

驚くほど、「ありふれた」と言っては失礼ですが、どこにでも売っている定番商品ばかり。

でも、マジックインキやサランラップに、さらに何かデザイン的改良を加えようとしても、どこを改良していいのやら途方に暮れる……ということは、商品のデザインが、発売当初から完成度が高かったということでしょう。

ちなみに、「Gマーク制度」がはじまったのが1957年。
「ロングライフデザイン賞」のスタートは1980年。

面白いので、50年以上にわたる歴代グッドデザイン賞受賞商品、3万点余を検索できる『グッドデザイン・ファインダー』 で、1980年の第1回ロングライフデザイン賞受賞商品を探してみました。
モノクロ写真が昭和レトロの雰囲気をかもしだす13点。

イトーキ「ロッカー 4L−7型(1962年度G賞受賞)」
……見覚えのあるロッカー。

岡村製作所「折たたみ椅子 8161ZZ(1962年度G賞受賞)」
……あれっ?
この四足の椅子、小学校の職員室で見たような気がする。

愛知株式会社「折たたみ椅子 FC−1200型(1963年度G賞受賞)」
……体育館の倉庫にあったパイプ椅子で、意外に重くて、卒業式や入学式なんかの行事のたびに並べるのが大変だった。

松下電工「タップ WH−2013(1963年G賞受賞)」
……うちで、今もコンセントのタコ足配線に使ってる、3個口タップやんか。

佐々木硝子「大皿(汀)46210、小皿(汀)46211、小鉢(ダイヤ)46023、大皿(ダイヤ)46001、小皿(ダイヤ)46003(1963年度G賞受賞)」

……祖母の家に遊びに行った時、皿の中心から放射状に細い線が広がる汀(みぎわ)の透明な大皿に刺身が、菊の花を思わせる切子のダイヤ小鉢にはサラダが盛られていました。
今はもう、祖母も祖母の家もなくなってしまったけれど。

キングジム「パイプファイル No.975(1964年度G賞受賞)」
……このタイプのファイルは、今も父が愛用。

日立製作所「蛍光灯スタンド ムーンライト506型(1964年G賞受賞)」
……親戚の家で泊まった時に、このスタンドをつけて夜中まで本を読んでいて、叔父に叱られたな。

HOYA「ビネガー瓶 S−1、S−2(1964年度G賞受賞)」
……料理好きな隣の小母さんの家で手作りドレッシングが入ってた、フラスコに似たガラス瓶は、「ビネガー瓶」だったんだ。

……しばし、懐かしさにひたりましたが。

よく考えてみると、私が生まれる前に、すでにグッドデザイン賞を受賞していたものばかり。
しかも、その中には、2008年現在でも現役の商品まである。
……うーむ。ロングライフデザイン賞。恐るべし。

『その時々に輝いていたデザインだけでなく、地味でも息長く続いていくデザインをも大切にしていきたい』

……『グッドデザイン賞』サイトにある言葉です。
確かに、「時代の空気」を反映した、一瞬の輝きを放つデザインというものも、それはそれで、すばらしいのですが。

最初のロングライフデザイン賞商品は、日本の伝統的な美的感覚を引き継ぐ究極の「用の美」。
これ以上、何も付け足せず、何も取ることもできない。
その上、手頃な値段で、どこの家庭にも、なにげなく置かれているものばかり。

私は「美しく機能的で良質なものが、多種多様にあり、それを自由に選べる世の中が、豊かですばらしい」と考えているので、「Gマークのまわし者(グッドデザインモニター)」をしているのですが。
私の生まれる以前から、日本は「豊かな国」だったのですね。

『デザインがすでにあったからではなく、我が国の産業と生活を発展させていくためには「デザインしかない」、「デザインがなにより必要だ」というある種の思いが、この制度を生みだしていきました』

……たとえ制度は変わっていっても、1957年の設立以来、貫かれてきたグッドデザイン賞のポリシー。

ロングライフデザイン賞は、その変わらぬ「核」の部分かもしれませんね。
posted by ゆか at 13:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 日常コラム | 更新情報をチェックする
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