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2008年11月11日

遠方の友(後編) 揺るがぬ大樹

座禅が終わると、みんなで道場に移動。
交流稽古がはじまりました。

今回は、外国人有段者が大変多いので、師範のご指導の後、有段者が英語で通訳しながら稽古が進みます。

稽古がはじまると……とにかく狭い。
100人近くの人間が、ひしめき合っての稽古。
一人あたり畳半畳分の面積しかない状態なのに、それでも、ぶつかりあってケガをする人が出ないのは不思議です。

「相手を大事にするように心がければ、技をかけても「相手を大事にする体」ができる」

正面打ち入身投げ(頭をめがけて手刀を打ってきた相手の側面に入り、投げ飛ばす技)の指導をしながら、師範はおっしゃられましたが。

正直なところ、どちらかと言えば私は人嫌い。
今でも、相手に対しては、「大事にする」はおろか、「心を開く」ことも珍しい。警戒心を抱くことが多いです。
……こういうことだから、戦いになれば、自己防御本能(体の意思)は、相手が恐怖で戦意を失うところまで、やってしまうのかもしれない。

……「相手を大事にする」までの道のりは遠いなあ。

稽古の後半には、今回初めて交流稽古に参加されたシンガポール合気会の師範に、いくつかの技をご指導していただきました。

流暢な英語で、時折冗談を交えながら披露された技は、堂々としたもので、所属道場の師範が「相手を包み込み翻弄する流水」の動きなら、シンガポールの師範の動きは「風に吹かれても揺るがぬ大樹」。

受けを取るシンガポール合気会の有段者も、しなやかで流れるような動き。
師範の動きと一体になって、「風に揺れる木の枝」のような美しさ。
……恐ろしくレベルの高い演武でした。

この後、何人かのシンガポール合気会の有段者の方と組手してみたのですが、いずれも相手に合わせて、柔らかく粘りのある動きをされます。
最近、「本人は技を理解していないのに、体は、きちんと技をかけている」状態が多い私は、同じ有段者として恥ずかしい。

今回は稽古の最初に「交流稽古なので、自分の所属道場の人と組まないように」と注意があり、日本の他道場の方や外国の道場の方ばかりと稽古したのですが。

技のかけ方にしても、受身の取り方にしても……
岩のように力強い動き、そよ風のように穏やかな動き、雨音のようにリズムのある動き。
「それぞれの道場の独自色」があるように感じました。

一般的に、私の所属道場は「合気会の中でも特に柔らかい動きをする」と言われているそうですが……。
最近、時々「受身が柔らかくなりましたね」とは言われるものの、無造作に技をかけてしまうことが多い私。
ちょっと情けなくなりました。

稽古の最後に、師範が自らしたためられた、墨痕鮮やかな色紙『氣』が、初参加のシンガポール合気会の皆様に、一枚ずつ贈られました。

稽古が終わって着替えた後は、全員で懇親パーティー。
道場の男性達が庭先に並べた長机の上には、道場の女性たちが準備した煮物や揚げ物、サンドイッチやおにぎりなどの料理が山のように盛られ、飲み物も冷えています。
丸テーブルと椅子は、道場にあるだけの数を出したけれども、それでも全員は座れない。

乾杯の後、シンガポール合気会の師範から、英語(通訳付き)で「今日はすばらしい稽古をありがとうございました。これからも、お互いに交流を深めていきましょう」と挨拶があり、道場長の師範や、オランダ、ポーランド、オーストラリア、大阪南部の道場……それぞれの師範に、道着一式が贈られました。

パーティーがはじまると、テーブルにつけなかった人たちも、寺の石段に腰かけて、思い思いに飲んだり食べたり笑いあったり……夜遅くまで盛り上がりました。

道場で行われる交流稽古は、いつもの稽古とは違う意味で得るものも多いので、機会があれば積極的に参加したいと思います。
posted by ゆか at 12:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 武道系コラム・演武会 | 更新情報をチェックする
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