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2008年12月13日

『日本の薬はどこかおかしい!』

病気を治す薬で人が死ぬ……。
 
国・厚生労働省の薬事行政の不作為による被害は、今も続く。

この本は、ジャーナリストの鳥越俊太郎氏。
薬害C型肝炎訴訟原告の福田衣里子さん。
私とは合気道同門の中井耀君の母で、ムコ多糖症支援ネットワーク理事の中井まりさん。
3人の鼎談集。

中井まりさんと福田衣里子さんは、病気の不安を抱えながらも、実名を公表して世論を味方につけ、行政と戦い、ムコ多糖症新薬のスピード認可、薬害肝炎救済法の立法を勝ち取る。
その粘り強さと明るさは、本当にまぶしく、うらやましい。

喘息の事情は複雑だ。
喘息薬の主流、気管支拡張剤は、即座に喘息発作を止められるが……その副作用は急性心不全。
「規定量なら安全」と言われていたが、13年前、規定量内で事故は起きた。

絶体絶命の私を救ったのは武道13段の夫の「武道医学」。
柔道整復に代表される日本古来の応急処置の技術だ。

しかし、当時「副作用事故は患者の自業自得」とされ、患者の救済措置はない。
発作性頻脈の後遺症を抱えた私は、受賞出版で喘息予防治療ガイドライン改定に挑んだ。

ただ、すべての喘息患者が、気管支拡張剤の使用を望まないのかはわからない。
その当時の患者会は「喘息薬は安全」キャンペーンをしていたから。

幸い、新風舎出版賞最優秀賞を受賞した『アレルギーと生きる』は、多くの人に読まれ、2001年改定のガイドラインでは、副作用事故の患者への救済措置が加えられた……が。

私が気管支拡張剤抜きで喘息の管理をしていると知ると、同病の人の表情には恐怖が浮かぶ。
気管支拡張剤を使えない中等症持続型喘息患者は、本来「生存不能」だからだ。 

最近は、喘息患者に出会っても「子供の頃から喘息ですが、今は軽くなりました」と、気弱な笑顔でやりすごす。
その方が、お互いに傷つかずにすむから。

……でも、私は一日も早く、安全な新薬が発明され、認可されることを、今も祈り続けている。

『日本の薬はどこかおかしい!』 鳥越俊太郎・中井まり・福田衣里子 著 青志社
ラベル:厚生労働省
posted by ゆか at 10:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 本読みコラム | 更新情報をチェックする
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