……毎年花は同じように咲くが、人の世は年とともに変わる。
不惑を過ぎて、この言葉が身にしみるようになった。
年とともに「一年」がたつのは早くなる……多くの大人が実感していることだが。
最近では、二十歳そこそこの若者でも、「最近、一年が早くなったのは、年とったせいなんでしょうかね」と言ったりするので、よくわからない。
私の実感では、「一日」と「一ヶ月」は非常に短いが、「一年」は、子供の頃の3分の2ぐらいの長さに縮んだ程度。
周りの人は「一年の長さが子供の頃の半分以下になった」と嘆くが、それほどでもない。
この本の著者は物理学者で科学作家。
最新の脳科学・物理学・生物学・哲学などを駆使して現代人の時間感覚の謎に迫る。
……本の帯を見て、物理嫌いの私は顔がこわばったが、「わからんところは、飛ばしてまえ」と思いなおして挑戦。
意外と読みやすい本だ。
著者の分析によると「一年が速くなる」要因は二つ。
子供の体は敏捷で、短時間で色々なことができて一日が長く感じられるが、歳をとって体力や知力が衰えると、一日の中でできることが少なくなって「時間が足りない」と感じる……「物理的な老化」。
もう一つが、ルーティンワークばかりで鮮明に記憶に残る出来事が少ないと、後で思い出した時、「何もしないうちに時間が過ぎてしまった」の心境になる……「人間の内面の時間感覚」。
私は、毎日「その日の出来事や心境」をシステム手帳に書く習慣があるが、昨年部分を読み返すと、一年間に驚くほど色々な出来事が起こっている。
「記憶に残る出来事が多いと時のたつのが遅い」法則そのものだ。
でも、「状況」に振り回されるばかりで「充実した人生」とは言い難い。
著者は時間のたつのを遅らせる方法として、「年の功で行動の効率化」と「自分の心の持ちようで変化ある人生に」と提唱しているが、実践は難しそうだ。
『一年は、なぜ年々速くなるのか』 竹内薫 著 青春出版社
ラベル:時間
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たびたびお邪魔します。
著者の考えは、ご紹介いただいた2つなのでしょうか。
ちょっと疑問に感じてしまいました。
これは「ジャネーの法則」と呼ばれ、けっこう有名な話ではないでしょうか。
【ジャネーの法則】
http://ja.wikipedia.org/wiki/ジャネーの法則
「50歳の人間にとって1年の長さは人生の50分の1ほどであるが5歳の人間にとっては5分の1に相当する。よって、50歳の人間にとっての10年間は5歳の人間にとっての1年間である」
とのことです。
付け加えるならば、子供の頃のほうが新鮮な体験が多いため、記憶に鮮明に残ることが多くなります。それだけ、「いろいろなことがあった」という印象が強くなるという説もあったと思います。
>子供の体は敏捷で、短時間で色々なことができて一日が長く感じられる
この説にはちょっと異和感があります。もし、この説が正しいとすると、体力が最も充実する20代が、1年がいちばん長くなるはずです。