「女の合気道」……うーむ。わからん。
「体が柔らかい」とは言われているけれども。
今まで、その「柔らかさ」を意識して演武していなかったのです。
ともかく、「丹田呼吸法習得」一直線できましたから。
『佐々木合気道研究所』サイトに載っていた「呼吸の仕方」。
一つの技の間に、ゆっくりと静かに、腹式呼吸で息を均一に吐き続ける「一技一呼吸」。
夫の言う「喘息に効く丹田呼吸法」の最初のステップですが……。
取り(技をかける側)の時はできても、受け(技をかけられる側)になると、2回に1回は失敗。
まだまだ、うまくいきません。
13年前の喘息薬の副作用事故の後、私は、即座に発作を止める強い薬が使えなくなってしまいました。
今度こそ、急性心不全を起こす可能性が高いからです。
今のところは、効くのに時間がかかる弱い喘息薬でしのいでいますが。
喘息は加齢とともに進行する病気。
丹田呼吸法の習得が早いか、喘息の進行が早いか。
今も時々不安になります。
「合気道には、喘息に効く丹田呼吸法がある。しかし、最低でも初段取らんと、スタートラインに立てん」の、夫の言葉にすがるように稽古を続け、初段になった今も、丹田呼吸法習得の最初の関門「一技一呼吸」に苦戦中なのです。
それにしても、「女の合気道」……わからんなあ。
先日の演武大会(『演武会』参照)には、女性が道場長を務める大阪市内の道場も参加。
この女性道場長は、NHK朝の連続ドラマ『まんてん』で、宮本信子さんが演じた、合気道の女性師範のモデルとも言われる方。
(ちなみに、宮本信子さんに合気道の指導をされたのは、私の所属道場の道場長師範で、合気道門下生として出演されたのは、所属道場の有段者の皆様です)
この女性道場長は7段ですが、還暦というほど年配の方ではありません。
師範演武されていた技は「杖対二刀流」。
「えっ!合気道に二刀流があるのか!」と驚いて、武器の動きに見とれているうちに、演武が終わってしまいました。
しまった。
女性道場長の動きが、「女性ならではの女の合気道」だったのかもしれないのに。
見逃してしまった。
「女の合気道」……わからん。
とりあえず、私と一緒に、私の昇段審査のDVDを見た夫に聞いてみましょう。
私にとって、思い出すのも嫌な演武(『観照』参照)ですが。
空手と剣道の指導員経験のある夫の目から見て、私の合気道が、どう見えたのか……。
「新年会の時に、5段の人に、「女性ならではの女の合気道を目指してみ」って言われたんや。私が「男の合気道」やってるから、そんなこと言われたんかな?こないだのDVD、どうやった? 「男の合気道」やった?」
「あれは、合気道とちゃうやろ。「柔道と大東流の勝負」やったやんか」
夫は大声で笑いました。
「女は男と骨盤の構造が違うねんから、ほっといたって「女の合気道」しかでけへんわ。その人の言いたかったんは、「自分の理想を持って合気道してるか」ってこととちゃうか」
「……そうかなあ。「自分の理想の合気道」というのもわからんなあ。……それなのに、『今年は、いよいよ2段ですね』って年賀状が、何通か来てるし。2段……どうなんだろう?」
「そんなん俺に訊くな。お前がどないしたいかやろ?」
「……わからん。「2段の私」とか「還暦で高段者の私」が、イメージできないねん」
混乱する私に、夫は真面目な口調で言いました。
「段位と実力はイコールやない。俺かて、柔道で「2段取らんか」言われたけど、断った。……空手が一番好きやったからな」
夫は遠い目をしました。
空手4段剣道3段少林寺拳法3段大東流合気柔術2段柔道初段。
師の故大山倍達氏の「他武道の長所を空手に生かせ」の言葉に深く共感し、さまざまな武道を学びましたが。
夫が空手を続けられなくなったのは……。
二十数年前に日本を襲った円高不況による、家業の鉄工所の倒産。
そして、その直後の父の死でした。
「素質ある分、周りが、やいやい言うのもわかるけどな。あれほど、初段に執着しとって、2段は興味なしか?」
「丹田呼吸法習得の最低条件が初段やと言うから。がんばってきて……。まだ、丹田呼吸法の第一段階もできてないのに。……そもそも、なんで「目標・初段」やったん?」
最大の疑問をぶつけると、夫は苦笑しました。
「武道やるからには、黒帯までいかんと意味ないやろ。目標決めんと続けられんし。黒帯になるのには、ある程度体力つけんといかんし、体の使い方とか息の仕方とか、真剣に勉強するやんか。合気道を続けて、ちょっと丈夫になったやろ」
「……そりゃ、まあ、そうやけど。あと、合気道の「相手を大事にする心」。最近、これも身につけたいと思ってる。でも……自分が、どんな合気道をしたいのかは、ちょっとわからん。自分が「こういう合気道する」というのは、わかってるけど」
「どんな合気道やねん」
「「動かない合気道」というのか、「静かな合気道」。もう、その兆候が出てるけど。相手が近づいてくる時点で、体が勝手に間合いを微調整して、最少の動きで技をかけるの」
「お前は、呼吸量が普通の7割しかないねんから、それでええやんか。何があかんねん?」
不審そうな夫に、私はうつむきました。
「たぶん、「この動きがしたい」じゃなくて、「この動きしかできない」からだと思う。今の自分の動きが、嫌いなわけじゃないけど……」
夫は突然、手を打ちました。
「ははあ。読めた。要は自信の問題か。そりゃ、稽古積むしかないわ。そやけど、自分のやりたい合気道のイメージは、はっきりさせとかなあかん。……大山倍達先生は、晩年まで「強さ」を追及しておられた。……俺も、自分なりに、それを目指したいと思とる」
今も時々空手着を着て、台所で型稽古をしている夫は、照れ笑いを浮かべました。
『女性と言っても、一人一人千差あり。私の身体や、その歳その歳にあった技がいつか表現できるように、毎日の稽古を大事にすること以外の術はないでしょう。稽古の年数の自信ができれば、余計な思いからも自由になって美しい動きになれるかも?と思っています。究極は「美しい動き」を、目指しています』
……西大和会・正勝会の植田さん(『遠方の友』にコメントあり)から、いただいた励ましのメール。
植田さんの理想は「美しい合気道」だそうですが、私は「陽炎のような静かな合気道」を目指します。
とりあえずは、「一技一呼吸」ができるようになるのが目標。
2段については、その時点で考えることに。
……これで、頭の中がすっきりしました。
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2009年01月20日
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やはり、悩んで、壁にぶつかって、頑張って、自分なりに見つけていくしかないですね。
自分の目指す境地に達する。
それが武道の醍醐味ですかね。。。