「音声のデジタル合成技術が進むと本人確認方法の「声紋」は無効になる」……。
電子ネットワークの発達で、個人情報の重要性が増してきた現在。
ユーザーの「所有ID」「記憶(暗証番号など)」、そして、「固有の特徴(生体認証)」の3つをワンセットにして「本人確認」を行うのが、世界的な潮流だ。
バイオメトリクス(生体認証)は、古代バビロニア時代から「本人の証」として使われていた指紋。
筆跡、顔写真、声紋。
銀行ATMなどで普及した指や掌などの静脈血管。
研究が進んでいる虹彩、網膜などがある。
この本は、1976年から続いている「おはなし科学・技術シリーズ」の一冊。
一般人のために、技術者たちが最前線の科学技術をわかりやすく解説。
図表やイラストも豊富。
「もっと勉強したい人のために」と、参考文献も多数あげていて、とても親切な技術書だ。
生体認証のしくみは、本人が提示した指紋や静脈血管をデジタル信号化。
認証を登録したデータベースへ転送。
照合して本人に通知。
一瞬で、実に複雑な処理をしているのだ。
生体認証に使われるものは、「誰もが持っていること」「本人以外は同じ特徴を持たないこと」「時間の経過とともに変化しないこと」。
この3条件が必要だが、「偽造可能な筆跡」「風邪をひくと変わる声」「太ると読み取りにくい静脈血管」「手指が欠損していると使えない指紋」など、3条件を完全に満たす生体認証法は、今のところ、ない。
そこで、誤認証を防ぐために、複数の生体認証を組み合わせて使う方法が現在検討されているが、認証精度を高め、誤作動を防ぐ技術が必要。
病歴などのプライバシーの保護、情報漏洩の防止。
ユーザーの心理的負担、運用コスト。
国際標準化など、生体認証がインフラとして普及するには、問題が山積みだが……。
私たちは、もう後戻りできない。
『バイオメトリクスのおはなし』 小松尚久・内田薫・池野修一・坂野鋭 著 日本規格協会
ラベル:認証
【関連する記事】
- 『基軸通貨 ドルと円のゆくえを問い直す』
- 『つくる仕事の一日』
- 『ずるい!ChatGPT仕事術』
- 『外資系コンサルが×AIのプロが教える 生成AI時代の「超」仕事術大全』
- 『ChatGPT攻略』
- 『実家スッキリ化』
- 『仕事でSNSを使いたいけど初心者の「やらかし」が怖いので弁護士さんに気になるこ..
- 『「AIクソ上司」の脅威』
- 『スピードも質も上がる!一生役立つ仕事術100』
- 『暮らしのヒント集3』
- 『インフレ・ニッポン』
- 『省エネのプロが教える みんなの節電生活』
- 『「国の借金は問題ない」って本当ですか?』
- 『ウクライナ・ショック 覚醒したヨーロッパの行方』
- 『すぐやる人のビジネス手帳術』
- 『最新版 定年までに知らないとヤバイお金の話』
- 『キーワードでまるごとわかる投資の教科書』
- 『人生が変わる紙片付け!』
- 『結局、老後2000万円問題ってどうなったんですか?』
- 『日経テクノロジー展望2022 世界を変える100の技術』