現在、世界にある人口1000万人都市は20。
ドバイ、サンパウロ、ダッカ、シンガポール、イスタンブールなど……ほとんどは新興国の都市で、20都市だけで世界のGDPの半分を占める。
人とお金が流れ込み、「沸騰」する都市を描いた、このシリーズの最終回が東京。
企業の東京移転と外資系企業の進出。
100を越える首都圏の再開発プロジェクト。
天に向かってひしめく超高層ビル群。
地下深くに網の目のように張り巡らされた地下鉄、地下高速道路、ガス管や地下放水路。
ICチップのような超過密都市。
すすけていく地方とは対照的に、毎年増える10万の人口を飲み込み、まばゆく輝き増殖する首都圏……。
さて、この本の著者は日本政策投資銀行地域振興部参事役。
首都圏と地方の関係を「経済」ではなく「人口動態」で読み解いたのが、この本。
「出産率の低い首都圏への若者人口集中が日本縮小消滅を加速させる」
「日本で一番出産者が多く、消費行動が活発なのは沖縄県」
「日本一元気な大都市地域は首都圏・名古屋圏ではなく福岡都市圏」
「「高齢化でさびれる地方と若者が多い首都圏」ではなく、地方の若者が首都圏に移動してきただけなので、高齢化は十数年遅れで首都圏でも起こり、地方よりも深刻になる」
……とんでもない話が書かれているが、これが、国勢調査や厚生労働省人口動態調査など、公式データによる「現実」なのが恐ろしい。
さらに恐ろしいのが、首都圏では、すでに人口比率上、若者が減りはじめ、2020年には、住民の加齢で高齢者の数が現在の2.3倍になること。
その時、医療や介護はどうなるのか……。
著者は「失業率ではなく就業者数を。出生率よりの出生者数を基準に福祉政策を考えること」「東京一極集中ではなく、首都機能の分散移転を」と主張するが、この東京一極集中解消は難しそうだ。
『実測!ニッポンの地域力』 藻谷浩介 著 日本経済新聞出版社
ラベル:首都圏
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