いよいよ新しいリング・メモを探さなければ。
基本条件は、ポケットサイズ。
丈夫なダブル・リング・タイプ。
他課の人に、そのままメモを渡すこともあるので、ミシン目のついたもの。
筆圧が高いので、ある程度の厚み、なめらかな紙質を持ったもの……。
「なに贅沢言うとんねん」と言わないでください。
使い勝手のいい気に入った文具があれば、職場の煩雑さも、少しは緩和されるのですから。
前回、リング・メモを選ぶ時、「FACILE」以外に候補になっていたのは、マルマン「ニーモシネ」と、デルフォニックス「ロルバーン」でしたが。
ニーモシネは「ちょっと小さいかな?」と思い、ロルバーンは「付属のゴムがうっとうしいかも」と思い……。
とりあえず、キョクトウ・アソシエイツの「FACILE」を選んでみましたが。
今回は、あえて、ニーモシネに挑戦。
というのは、このニーモシネ。
商品デザインの段階から「いかに効率よく記憶・筆記するか」を考え抜いて設計されたらしい。
ニーモシネを作っているのは、1920年(大正9年)創業の「紙と合理的な紙の綴じ方」を追求し続ける文具メーカー、マルマン株式会社。
2008年グッドデザイン賞ロングライフデザイン賞受賞の「スケッチブック」を作っていることでも有名。
『IT Media Biz.ID(2008年11月21日20時30分更新)』によると、ニーモシネは、「ビジネスシーンで生まれる“アイデアを書きとめる”ことに特化したノート」。
一番小さなメモ帳「ROOTS」に、沸いてくるアイデアをひたすら書き、それを、上綴じの横長リング・ノート「INSPIRATION(A5サイズ)」で熟成。
「IMAGINATION(A4サイズ)」にまとめる……と。
なぜ、横長のノートなのか……ニーモシネの開発者、石川悟司氏は『いくつかのアイデアやデザインを、机の上に並べて比較するときは、縦でなく横に並べる人が多い』と語っています。
そして、ノートを「受け取った情報をまとめる受動的なノート」と「自分の中からアイデアを引き出す能動的なノート」の2種類に定義。
『受動的なノートは、情報が与えられた順番通りに、上から下へ縦に広げていくのが書きやすいし、皆それに慣れている。逆に、能動的なノートの場合は、発想を横に広げていくほうが、紙面を最大限使いきれると思う』
……うむ。これはよいことを聞いたぞ。
今、アイデアを練るのに使っているA4方眼のレポートパッド。
横にして使ったら、もっとアイデアがどんどん出てくるに違いない。
このニーモシネ・シリーズですが、用途によって紙が違います。
『STATIONARY Magazine 004(エイムック)』によると、持ち歩いて使う「MEMO」が、坪量68グラムの最も薄い紙。
『マルマン株式会社』サイトには、『紙に対する基礎知識』コーナーがあって、主要な紙の大きさや重さを一覧にした規格表がありますが。
例えば、上質紙のランクで一番軽いのが52.3グラム、その次のランクが64グラム、81.4グラムと続いています。
この「MEMO」の紙も、「薄い」とは言いながらも、比較的良い紙を使っていることになりますね。
「クリエイティブ・ライン」と呼ばれる、それより小さい「ROOTS」。
罫線と方眼罫の2種類がある「INSPIRATION」と「IMAGINATION」。
一日のやるべきことを書く「TODAY‘S ACT」や「TO−DO」。
ミーティング用の横綴じ縦型の「NOTE」。
……これらは、もっとも書きやすいといわれる80グラム。
ロディアと同レベルの紙。
単語帳と単語カードは、裏が透けて答えが見えてはいけないので、画用紙を使用。
……なかなか徹底したこだわりですね。
さて、私が職場で使うのは、ニーモシネ「MEMO N193」。
2004年、最初に発売された商品です。
近所の東急ハンズで購入。147円也。
黒のダブルリング、つや消しの漆黒の表紙に金色の字で「Mnemosyne The ancient Greek Goddess of memory」とだけあります。
カバーを開くと、鮮やかな黄色の扉表紙。
商品名「ニーモシネ」の由来が書かれています。
ギリシアの9人の芸術の女神「ミューズ」の母が、記憶の女神「ニーモシネ」。
……なかなかいいネーミングだなあ。
手のひらにすっぽりとおさまる上綴じリング・メモ。
しなやかなポリプロピレン素材の表紙で、持ってみると、ちょっと、ふにゃふにゃした癒し系の感触。
サイズは縦11センチ、横6センチ。
今使っている「FACILE」が縦12センチ、横7.6センチ。
使い慣れたミニ6つ穴用システム手帳リフィル(縦12.6センチ、横7.6センチ)や、ロディア12(縦12センチ、横8.5センチ)よりも小さい。
A7変形サイズとは言いますが、なんだか妙なサイズ。
石川氏は、この商品企画のために、背広やジャケットのポケットのサイズ、普段持ち歩く財布や携帯電話のサイズまで調べたそうですが……。
ひょっとして、これは、紙(A判やB判)のサイズを基準に考えたのではなく、携帯電話に近い大きさを模索したのでは。
石川氏は1976年生まれ。
ニーモシネの企画を立てた時は20代後半。
携帯やデジタル機器を使い慣れた世代ならではの発想かもしれない。
ポケットから取り出しやすく、持ちやすいように丸めた角。
紙には薄いグレーの破線の横罫。
でも、その中央に1本だけ、区切り用の実線が薄いグレーで入っています。
紙の上下で別の内容を書けるように工夫したのでしょう。
とりあえず、今回のリング・メモの「ニーモシネ」。
「FACILE」より一回り小さく、中央に区切りの罫線が入ったメモ。
はたして使いこなせるでしょうか。
どんな便利、どんな弱点があるのでしょうか?
総経費200円にも満たない「大冒険」です。
ラベル:メモ