著者は2006年に97歳で亡くなったアメリカの経済学者。
恐ろしいことに、今読んでも内容が全然古びていない。
投機……バブルは昔からあった。
最古のバブルは17世紀のオランダ。
東欧からもたらされた珍しい植物「チューリップ」に対する投機。
アメリカの1929年恐慌につながるバブルの引き金は、フロリダの不動産投機。
そして、日本を「失われた10年」に追い込んだ1980年代末の不動産投機……。
なぜ、バブルは繰り返されるのだろう。
著者は投機に参加する人々を2種類に分類。
何か新しい価値が生まれ、その価格上昇は際限なく続くと考える人々。
そして、価格上昇に便乗して儲け、価格が下がる前に手を引こうとする自分の商才に自信がある人々。
しかし、そのどちらもが、「一番価格の高い時に投機をやめる」ことができず、バブル崩壊から逃げられない。
ほとんどの人は資産を担保に借金、その金を投機しているため、一度損害が出れば資金を失うだけではすまないのだ。
そして現在。
昨年半ばから「100年に一度の不況」が始まっているらしい。
前の恐慌の時のように「紙幣が紙切れに」なっていないけれど、この先何が起こるかわからない。
著者は、バブルが繰り返される原因を「金融上の記憶は20年しか続かない」と喝破。
20年で金融市場の人間も世代交代。
バブルの記憶を持った人間が市場から消える。
「豊かなこと」を偶然ではなく自分の才知と過信する人々と、「富者は賢い」の幻想。
自分の資産以上に取引できる金融の仕組み「てこ(レバレッジ)」が、新たなバブルと、その崩壊を招く。
しかし「市場は公正」「損した人が愚か」の思い込みが、バブルから教訓を得ることを妨げる。
著者は「バブルに巻き込まれぬよう懐疑主義であれ」というが、大変難しい。
だからこそ、相場の格言に「見切り千両(の価値)」という言葉があるのだろう。
『新版・バブルの物語』 ジョン・K・ガルブレイズ 著 ダイヤモンド社
ラベル:バブル
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