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2009年03月28日

事故と示談

2009年3月9日、午後7時、天候・雨……。
 
急いで自転車で帰宅中の出来事。

駅前の歩道は傘をさした人であふれかえり、車道の路肩には、駐車違反の車がびっしり並ぶ。

しょうがないなあ。
自転車で歩道を走ったら、人にぶつかるし。
ここは路肩の車の右側、車道の真ん中を走るしかない。

車道の中央を走っていると、後ろから車が。
あわててハンドルを左に切った時、「ガコッ!」という音がしたような気がしました。

……何か、当たったようだったけど。ハンドル無傷だし、まあいいか……

そのまま走り続けると……。

突然、後でわめき声がしました。
ふりむいて自転車を停めると……。
血相を変えた中年男が、ものすごい勢いで、こちらにむかって走ってきます。

「うちの車を壊したな! 紙に住所と名前書けや! 弁償じゃっ!」

ややこしいものにひっかかったわ……。
私は内心舌打ちをしました。

車が壊れるほどの衝撃なら、自転車のハンドルは無傷なはずがないし。
第一、衝撃で私は車道に転倒、後ろからきた車に轢かれて死んでいるはず。
警察を呼ばないところをみると恐喝か?

「すみません。私は車のことはわからないので。ちょっと主人を呼びます」

私の言葉に、男は驚いたようでした。

「な、なに……こっちも、警察呼んだるからな」

そこで、男は警察に電話。
私も相手のナンバープレートをメモし、休日で家にいる夫に電話……しかし、なぜか電話に出ない。
仕方がないから、留守電に伝言。

そうしているうちに、警官が2人きて、車の損傷と自転車の損傷を確認。

居丈高に「免許証は?」と訊かれて、「免許は持っていません」と答えると、なぜか急に警官の態度が優しくなりました。
警官は男に何事か話すと、激昂していた男も「まあ、起きたことはしゃあない」と、妙に冷静になりました。

……何が起こったんだろう?

「双方ケガ人がいませんから、物損事故ということで、賠償は示談で決めてください。警察は民事不介入ですから」と、警官に意味不明なことを言われ、私と男はお互いに住所と名前、電話番号をメモに書いて交換。

この時私は、自分の携帯ではなく、自宅の電話番号を書いておきました。
車のことが全然わからないので。
携帯に電話されても迷惑ですし。

夫が車でやってきたのは、警察と男の車が去った後。

「あほっ! 雨の日に傘差して、自転車なんか乗るからじゃっ!」
「……すみません」
「相手も相手や。駐停車禁止区域に車停めとって、なにぬかしとんねん!」

帰宅後、自動車保険の相談センターに連絡してみましたが。
「総合賠償特約に入ってないあなたが悪い。相手の言うままの金額を全額支払いなさい」
……なんだそりゃ。

翌日、事故証明の申請で交番へ。
相手の被害は右のドアミラーカバーに少し傷がついた程度だそうです。
「ミラーカバーって何十万します?」と訊いたら、警官は大笑い。

「奥さん。大丈夫ですよ。……何かあったら、いつでも警察に言うてきてください」

……そんなに頼りないように見えるのか。私。
示談なんか初めてだし。どうしよう……

帰宅して、夫に警官の話を報告。

「俺、昔、ガソリンスタンドの仕事やっとったから、大体値段わかるけど。ミラーそのもん無傷やったら、大したことないわ。俺が交渉するから、お前は電話に出るなよ」

ちょうど、その時、電話が鳴りました。
夫が出て、妙に無愛想な応対をしはじめました。
……いったい誰なんだろう? 

私が不審に思っていると、夫は突然大声で叫びました。

「カバーが8万5千円やと! なめとんのかっ! わりゃっ!」

窓ガラスがびりびりと音をたてる、気合いのこもった声。

「嘘つけっ! 俺は昔車屋やっとったけど、ミラーカバー1万円もせんわ! 警察もミラー割れてない言うとるわっ! そもそも、おどれが駐停車禁止区域に止めとったから、こんなことになったんやないか。おどれのドアミラーに、うちのヨメが引っかかって、こけとったら、どないしてくれるんや。車に轢かれとったら、弁償どころの話やないで」

しばらく夫は、大声で説教していましたが……

「どうや。2万で手打たんか?」

突然、平静な声で相手に提案。

「修理代は払う。そやけど、交換に20分かからんカバーに、代車代上乗せすんなや。『2万で示談とします』と紙に書いて署名捺印して送ってきたら、すぐに2万払うたる」

夫は、そう言って電話を切りました。

「2万で応じるかねえ。警察に「見積もりもなく8万5千円要求された」って相談する?」

弱気な私に、夫は不敵な表情を見せました。

「まあ、声の感じでは、むこうは強欲やけど素人や。2万で手打つやろ。修理実費に迷惑料上乗せした金額やし……。何より、駐禁の場所に止めとったのと、警察呼んでもうたんが、致命的やな。示談書送ってきよったら、2万払うたれや」

相手は駐車違反を警察に知られたくなかったので、いきなり私に弁償を迫ったらしい。
でも、私が「夫を呼びます」という予想外の対応をしたので、警察を呼んでしまった。

警察は、駐車禁止なのに取り締まっていなかったことと、私が免許を持っていない「交通弱者」であることを考慮して、相手を駐車禁止で減点せず、「民事不介入」としたらしい。

欲を出した相手は、ドアミラーを左右両方、丸ごと最新式の部品に交換しようと、8万5千円を請求……。
電話を取ったのが夫だったのは、運が悪かったですね。

念のために、合気道の後輩の若者に、相手の車のミラーカバー代をメールで訊いてみました。
彼は板金屋。
時々車を修理しているので、正確な部品代がわかるはず。

すぐに彼は値段を調べてくれました。
5490円。
手間賃は5000円しないそうです。

『絶対車屋とグルですよ。見積書きたら、俺見ますわ。突っ返してやりましょう』

……そうなのか。
2万円。
ちょっと払いすぎかもしれないなあ。

数日後、相手から、見積書ではなく、2万で示談とする旨の示談書が届きました。
お金を振り込んで示談終了。
……やれやれ。手間のかかる体験でした。

合気道の稽古で、後輩に会った時に、お礼を言いました。

「今回は、申し訳なかったね」
「いやいや、会長(なぜか彼は私をこう呼ぶ)のお役に立ててよかったです。でも、自動車保険の約款は、よう見とかんとあきませんよ。総合賠償特約はつけておかんと」
「保険は詳しいの? 板金屋なのに?」

彼は苦笑しました。

「修理だけじゃ食えませんからね。保険代行、車検、なんでもやってますわ」

これはいいことを聞いた。
車も古くなってきたので、相談できる車屋がほしかったのです。

嫌な経験でしたが、勉強になったし、信用できる車屋が見つかったのは収穫でした。
ラベル:自動車保険
posted by ゆか at 10:42| Comment(1) | TrackBack(0) | 日常コラム | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
大変な思いをされましたね。

しかし、悪い奴がいますね。

旦那様気合いが入っていて、かっこいい。

さすが武道家。腹が据わってます。

雨の日の自転車はお気をつけ下さい。
私はカッパを着て走ります。
Posted by 桃太郎 at 2009年03月29日 04:32
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