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2009年04月11日

丹田(前編) 三つの丹田

今年も恒例の春の稽古会が開催されました。
私の所属道場には、大きな桜の木があり、毎年、満開のころに、稽古と花見が行われるのです。

参加者は80名。
来客は、奈良県と大阪南部を拠点として活動する西大和会・正勝会の皆さん。
そして、初参加の隣の市の道場の皆さん。

この道場は、開祖植芝盛平翁の書の師が開かれたもの。
交流稽古に来られた師範は、そのご子息で、やはり書家の方。

「書道と合気道」、一見、意外な取り合わせですが。

「早さや流れるような動きは、ある程度、修練を積めば、誰にでもできます。しかし、一つ一つの動き、技に「気」を込めること。これができなければ、それは、合気道ではありません。書も同じ。流れるように筆を走らせても、線の一つ一つ、点の一つ一つに「気」を込めること。そうすれば、書に深みが出ます」

……なるほど。説明を聞いて納得。

今回は交流稽古なので、稽古の前半を所属道場の道場長師範が、後半を隣の市の道場の師範が指導される珍しい形式。

道場長師範の演武は、柔らかく粘り、重量感ある動き。
ご指導は……。

「相手の「気」を柔らかく包み込んでおさめる」
「動きながら全身を使って「気」を出す」
「息を細く長く吐きながらゆるやかに動く」。

来賓の師範の演武は、直線的ではあるけれども、軽やかで温かい動き。
ご指導は……。

「一つ一つの動きに「気」を込める」
「手から「気を」出す時には、相手を貫くような強い心持ちで」
「大きく息を吸い込んで、一旦息を止め、丹田に溜める。そして、一気に吐く時に「気」を出す」

……対照的ですが、「いかなる状況であっても動じず、相手を制する」が、まったく同じなのが興味深かったです。

実は、今回の交流稽古の中で、非常に苦手な稽古がありました。

「相手が手を取りにくる瞬間、丹田から自分の手を通して、相手の手に「気」を送り、ふれた瞬間に相手を崩す」

……全然ダメ。
丹田から「気」を出せない。
力で相手を押してしまうのです。

「息を大きく吸い込んで、溜めると、丹田が、くっと硬くなります。有段者ならば、それを感じられるはずです。そして、一気に「気」を出す」

……ええっと。一応、私も有段者なんですが。

普段、喘息に効く丹田呼吸法習得のために、「息を深く吸い込んで下腹をふくらませ、丹田に溜め、丹田がいっぱいになったら、ゆっくりと、細く長く息を吐きながら技をかける」稽古をしていて……。
「息を止めないで」と言われることが多いのです。

稽古の終わりには「深呼吸しながら、大地から「気」を吸い込み、丹田におさめる」という動作もありますが。
……丹田から腕を通じて「気」を出したことがないなあ。

……うーむ。えらいことになった。……

落ち込んで家に帰った後、自分の動きを、よく検証してみると……。
足さばきは、ある程度、丹田を中心に動けるようになってきていますし、確かに、手から「気」は出ています。
でも、それは丹田(下腹)からではない。

例えば、正面打ち(手を頭の上に振りかぶり、相手の眉間めがけて振り下ろす動作)の時、「丹田から腕を通して、指先に気を送る」ではなく、振り上げた手の少し曲げた親指で、眉間から頭のてっぺんにかけての「気」を受け取り、それを指先から出している。

……ああ。我ながら、なんて怪しいやつなんだろう。
上丹田を使いこなしているくせに。
肝心な下丹田から、全然気を出せてないとは。

厳密には丹田は3つ。
両眉の間にある上丹田、心臓の下にある中丹田、臍下3寸(約9センチ)にある下丹田。

一般的に、「丹田」と言う場合は、下丹田、臍下丹田(せいかたんでん)をさします。
医学的には「丹田」という名前の臓器はないのですが。
下腹の神経が集まる部分、太陽神経叢にあたると考えられています。

斎藤孝氏は、著書の『身体感覚を取り戻す(日本放送出版協会)』で、「日本の伝統文化は丹田を重視する腰肚(こしはら)文化」と表現。

日本の武道・芸道の体の基本形は、腰の構えが決まっていて、肚に余裕がある構え。
稽古を繰り返して、これを身につけると……。

『腰と肚には力強さが漲り、落ち着いてどっしりとしている。同時に、肩や頭は力が抜け、すっきりとしている』状態になることができます。
合気道をはじめて7年目ですが、まだまだ、この領域には行きつけません。

元々、私の呼吸量は、生まれつき人の7割しかなく、しかも、父方は先祖代々強烈なアレルギー体質。

子供の頃から眉間(「第三の目」と呼ばれる脳の松果体)を使って、カビの胞子、ハウスダスト、ダニなどの危険物の濃度を直感的に察知する能力を持っていました。
目に見えないアレルギー物質。
吸い込んでしまってからでは、手遅れだからです。

しかも、子供の頃は喘息発作もひどく、咳をして息苦しいだけでなく、脈拍も異常に早くなり、嘔吐したり、咳をするたびに背中や肋骨に痛みが走ったりする状態。
これでは、心臓の下の中丹田、下腹の下丹田を意識して使う余裕がありません。
そのせいで、喘息発作の最中でも安定して使える上丹田だけを、異常発達させてしまったのかもしれません。

「危険物を事前に察知できるので便利な能力」と思われる方もおられるでしょうが、「鋭敏すぎること」は、それ自体がストレスにもなる両刃の剣です。

大人になって、喘息発作がマシになり、「合気道の丹田呼吸法は、自律神経失調症や喘息にも効く。やってみろ」という夫の勧めで、丹田呼吸法習得に励んでいるところ。
確かに、昔ほど、神経がピリピリすることはなくなっています。

「体の転換(合気道の基礎の足さばき。一歩斜め前に踏み出し反転する動き)は、ヘソ下10センチぐらいのところに、丹田、握りこぶしの大きさの、オレンジ色のアーモンド形の物体をイメージして、それを裏返すように。重心を低く、静かに地面と平行に動け」

夫(武道13段)の指導で、ある程度は、丹田中心に合理的に動けるようになりました。
道場では、息を大きく吸い込み、丹田(下腹)を膨らませたまま、ゆるやかに細く長く息を吐きながら技をかける稽古。
最近は失敗が少なくなってきました。

それなのに……「丹田から気を出す」ができない。
どうしよう。

……次回に続く……
posted by ゆか at 11:06| Comment(1) | TrackBack(0) | 武道系コラム | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
合気の道は全く剣の道にも通じますね。

剣先で相手の気を感じながら、相手とせめぎ合い、自分が中心を取った瞬間に丹田に込めた気を一気に爆発させる。

剣の道においても、呼吸法は大切です。
息を吸うときには隙ができるので、鼻から一気に腹に吸い込み、吐くときは口からゆっくり長く吐く。

すると最も隙がなく、呼吸することができるのですが、疲れたときはこれが難しいんです。

書の道でも合気の道でも剣の道でも、全て共通するものってあるのだと思います。

昔の武士達は何でも嗜んだんでしょうな。



Posted by 桃太郎 at 2009年04月11日 13:34
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