仏教発祥の地。
象、紅茶、カレー。
ゼロを発明した国。
厳しい宗教戒律。
大統領をはじめ、女性政治家を多数輩出するIT大国……。
イメージがバラバラでわからない。
その「インドの謎」を読み解くのが、この本。
著者はインド生まれの物理学博士。
日本滞在の長い彼女は、キャノンで商品開発をし、現在はアメリカとインドに拠点を置くIT企業の代表取締役として活躍中だ。
世界中のあらゆる人種が混在する人口11億の国。
22の言語と2万2千の方言。
ヒマラヤの高山と熱帯のジャングルを併せ持つ国。
多彩な人種、言葉、宗教などを抱え、絶妙なバランスで成り立っている国、インドの秘密とは……。
どの宗教も同等に扱う政府の「世俗主義」。
国民の祝日を、すべての宗教に2日ずつ公平に割り当てている憲法。
それぞれの宗教的習慣を認める民法。
正解がなく、「自分で考えなければならない」ディベートと、「何も考えずに覚える」暗記を徹底する教育。
優秀な学生を育てる高額な奨学金。
解雇は難しく、最小限の保障と、努力が報われる雇用システム。
……「地球全体が家族である」を掲げ、5000年の歴史を誇るインドの知恵だ。
著者は、日本人の『個人的には「違う」と認められたい一方で、社会的には「同じ」を押し付ける』傾向が気がかりらしい。
アイルランド系4世の私も、時々、それは感じる。
お金や人の動きが加速する現在、「同質」を守るのは難しくなるのではないか?
少子化が進み、いずれ「移民」の問題が社会化する日本。
「違いを認めつつ、同じを強調できること」。
つまり、文化、言語、宗教、経済、政治面で、お互いに違うように見えても、人間としての悲しみ、愛情、挑戦、平和や幸せを願う気持ちは、まったく同じ……。
インド式インテリジェンスは、日本、いや世界に必要なものかもしれない。
『「インド」式インテリジェンス』 須田アルナローラ 著 祥伝社新書
ラベル:インド
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