『「本来文房具ではないが、文房具としても使える道具」を取り上げていただけませんか。みなさん、けっこう色々使っていると思うのです』
……うーむ。これは難易度の高いお題だなあ。
とりあえず考えてみましょう。
「ハサミがない時、定規で紙を切る」
……しまった。定規は文具じゃないか。
「リムバー代わりに、ハサミの刃でホッチキスの針を取る」
……ハサミが文具だ。
「マグカップをペンスタンドに」
「ペーパーウェイト代わりの小石」
……難しいなあ。
「無印良品ポリプロピレンメイク用品トレイはペントレイとして重宝」
「ごはん粒をつぶして糊代わり」
「大型クリップ代わりの洗濯バサミ」
「コンパスがない時、コップの底を紙に当てて円を描く」とか……?
「カッターナイフ代わりに果物ナイフで紐を切る」
「パンチ代わりにキリで紙に穴をあける」
「カッティングマット代わりの新聞紙」
……なんだか野蛮ですね。
友人のゆんさんは、メモの持ち合わせがなくて「アイペンシルで、あぶらとり紙にメモ」という経験があるそうです。
私も試して見ましたが、これは案外うまくいきます。
そういえば「メモがないので、手に用件をボールペンで書く」人も見たことがある。
それと、文具ではないけれども、メジャーを持っていない時、私は自分の手や足で物のサイズを測ることがあります。
小指の長さが約5センチ、指を広げて親指から中指の間が約20センチ。
踵からつま先(足長)が、ほぼ25センチなので、意外と便利。
よく考えると、イギリスやアメリカの長さの単位、「フィート(30.48センチ)」も足長ですし。
日本でも、1958年に「メートル(北極点から赤道までの経線の距離の1000万分の1)」を基本とする計量法が制定されるまでは、足長が元になった単位「尺(30.3センチ)」が使われていたのでした。
でも、最近、「手元に文具がない」とか、「何かを文具の代用に使う」ということが、ほとんどないような……。
「しまった。ボールペン、インク切れだ。そこのコンビニで買ってこなきゃ」と口走ってることが多いような……。
そうか。コンビニの普及で、文具は「すぐに手に入るもの」になったからですね。
私の子供の頃(1970年代)は、文具は文房具屋さんで買うものでしたから。
夕方に店が閉まると、手に入れることができませんでしたが。
今は、営業時間の長いスーパーやコンビニで、ほしい時に、いつでも文具が買えるありがたい時代になってるんですね。
さて、実は私、いただいたお題の逆「本来文房具なのに、文房具でない用途に使う場合」の方が得意。
「無印良品のポリプロピレン製筆箱にアイシャドウ類をパレット状に並べておさめる」
「無印のポリプロピレンのペンスタンドに紅筆や頬紅筆を立てる」
「ユナイテッドビーズの帆布ペンケースが化粧ポーチに」
「伊東屋の鉛筆補助軸にアイペンシル(鉛筆状の化粧道具)」などなど。
元々、化粧道具は「描く」「塗る」など、筆記具と似通った役目の道具が多く、サイズも似ていて流用しやすいのです。
化粧用品だけでなく、最近の家庭では、ファイリング系整理文具が、キッチンにも進出しているようですね。
冷蔵庫の扉をマグネットボード代わりにメモを貼ったり、食品の瓶にラベルシールを貼りまくったり。
シンクの扉の裏に、レターラックを取りつけて鍋蓋を収めたり、ファイルボックスを横にして、中に皿を並べたり。
ブックエンドを冷蔵庫の中に入れて、冷凍食品を立てて保存したり、積み重ねられるレタートレイに、カトラリー類を入れて整理したり。
……メーカーが知ったら卒倒するような文具の使われ方です。
主婦雑誌では「100円グッズで家の中を整理整頓」特集が人気で、今も新しい「文具を使った収納アイデア」が、次々に開発されています。
私も「透明プラスチックの書類キャリングケースの中を、透明の小さなケースで仕切り、裁縫道具一式を収納」していますが。
ケースが透明で、針や糸やハサミなどの細かいものが見やすく、探しやすいので便利。
確かに、「こまごまとしたものを見やすく分類。探しやすく収納する」目的で使う道具としては、整理文具は完成度が高いです。
昔と違って、多くの女性が仕事を持ち、どんどん忙しくなる現代。
「家事をする時に、物を探す時間を短縮するための、合理的な整理整頓収納用具」として、ファイリング文具が注目されているところに、「台所用品も文具も食器も、なんでも100円」の100円ショップが普及して、「ファイリング文具と整理整頓道具の間にある心理的な壁」を壊してしまったのでしょう。
というわけで、今後も「文具の転用」は、収納以外の用途でも、どんどん進むんじゃないかと思います。
ラベル:ファイリング