「突発的災難」と「予想外の失敗」と「うれしい誤算」の合間に人生をやっているようなものだ。
「災難」と「うれしい誤算」は、さておき、目標が達成できず、心理的ダメージの大きい「予想外の失敗」を撲滅……は無理としても、せめて今より1割減らせないか……と常々思っていた。
そんな私をひきつけたのが、この本の副題『なぜ予想違い・誤診・偽装が起こるのか?』だ。
これで「予想外の失敗」を減らせると、はりきって読みはじめたが……。
著者は工学博士で品質工学会会長。
物理の力学の方程式やら「パラメータ設計」やら「マハラビノス・タグチシステム」やら、「健康人と非健康人の閾値グラフ」やら「ハンドル回転角と旋回半径の関係図」やら「物差しによる測定のバラツキの割合グラフ」やら……。
文中に入り乱れる意味不明の理系用語。
国文卒で文系頭の私は、思わず本を投げ出しそうになった。
しかし、ここで負けるわけにはいかない。
意地になって読み続けていくと……。
「誤差(ミス・失敗)」は5種類。
「誤りによる誤差」「予想違いによる誤差」「目標からの違い(ズレ)による誤差」「測定の誤差」「計算の誤差」。
すべての物事には「人が判断する」部分があるので、誤差をゼロにはできない。
でも、減らすことはできる。
私が知りたいのは、予想違いと目標のズレを減らす方法。
予想違いを防ぐのは「情報」。
質の高い多くの種類の情報を早く集め、判断すること。
そして目標には「最初に設定したものが、その通りになる目標」と「途中で自由に変えられる目標」の2種類がある。
……頭を金槌で殴られる衝撃。
私は初期設定通りの結果だけが「目標達成」で、それ以外は全部「失敗」と思っていたからだ。
「状況に応じて目標と方法を微調整」し、「情報収集し、失敗の許容範囲を広げて予想」すると、失敗のダメージは減るらしい。
がんばってみるか。
『そこにはすべて「誤差」がある』 矢野宏 著 技術評論社
ラベル:品質
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