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2009年07月14日

破壊と躍進(前編) 一進一退?

「最近、正面打ち入り身投げがダメなんですよ」

 

英信流居合道をたしなむ二段の若者は言いました。

正面打ち入り身投げは、相手が自分の眉間を狙って、まっすぐに振り下ろしてくる手刀を、相手の側面に入って(入り身して)、投げ飛ばす技。
基本中の基本技です。

「なんで? 二段にもなって……今も、ちゃんと、入り身投げやってるやんか」

彼は苦笑しました。

「僕も、自分が入り身投げできると思ってたんですよ。でも、何か違和感があって……色々工夫してるうちに、変な癖がついてしまって」
「???」
「親分(なぜか彼は私をこう呼ぶ)は、そんなことないんですか?」

私は考え込みました。
合気道をはじめたのは、喘息を軽くする丹田呼吸法習得のためで。
とりあえず、丹田呼吸法の最初の課題「一技一呼吸(一つの技をかける間、息を細く長く吐き続ける)」をクリアするために、稽古を続けています。

「一つの技が常に完璧にできること」に、こだわったことがありませんでした。

「……苦手な技は、座技呼吸投げ、座技呼吸法、天地投げ。怪しいのは、回転投げ、横面打ち四方投げ、正面打ち一教、二教、三教、四教、短刀取り五教。正面突き小手返しは、飛び受身苦手やし……」
「ほとんど苦手なんですか? 他に何かないんですか?」

「強いて言うなら、正面打ち入り身投げと片手取り四方投げかもしれない。……あっ、入り身投げは利き足でない右が軸になったら、左に10度傾く癖があるし。四方投げは、技をかける時に、膝を曲げて重心を落す癖あって、そのうち膝を壊しそうだから、直さんとあかんし」

「結局、得意技ないんじゃないですか? ……親分、修行が足りませんな」

にやにやする彼に、返す言葉もありません。

『合気道の稽古をしていくと、壁にぶつかって先に進めなくなることがあるが、稽古の年数が増えれば増えるほど、立ちはだかる壁はどんどん厚くなってくるものだ』

……『佐々木合気道研究所』サイトには、恐ろしげなことが書かれています。

『合気道の技の型を覚えるのはそう難しいことではないだろう。2、3年あれば基本技の型は誰でも覚えることができるだろう。ここまでは習う時期、先生の言うことを聞き、先生の真似をする時期であると言えよう。 技の型が最低限出来るようになって、初段ということになる。ここから本格的な技の稽古に入るわけである』

6年がかりで初段になって、しかも、師範の真似さえできてない。
……ううう。私って、つくづくダメなやつですね。

それにしても、「得意技が、ある日を境に、突然苦手技に変わる」なんて。

毎回、自分の技に不満だらけで、稽古中に有段者に「今の技は、すごくよかった」とほめられても、「すごくよかった」と「失敗」の自分の動きの違いがわからない。
しかも「今の技は、すごくよかった」と言われているのに。
本人は、「今の技は、呼吸が2回に分かれたから、失敗」と内心悩んでいたり。

でも、若者の言う「今の自分の技に違和感がある」はわかります。
私も、違和感だらけなので。

それに、「お、この技できたやん」と思った瞬間、次の稽古で失敗することが多いから、最近は「できたと思う瞬間は錯覚」と考えることにしています。

そうなると、今度は自分の技に常に不満で、結構なストレスになるわけですが。
不満のないところには、試行錯誤もないので……。

いや、ひょっとして「常に完璧な技ができる」境地になると、不満も試行錯誤も不要になるのかしらん?

……うーむ。なんだかわからなくなってきました。

……次回に続く……
タグ:合気道 武道
posted by ゆか at 11:41| Comment(1) | TrackBack(0) | 武道系コラム | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
剣道の持田盛二範士十段は
「私は基本を身に付けるのに50年かかった」とおっしゃっています。

剣道範士十段の先生でも50年もかかったのですから、基本というものは、そう簡単には身に付かないものだと思うのです。

武道の技というものは、
すべて基本が基となったもの。

どんなに高段者になったとしても、
やっぱり基本に立ち返る必要があると思います。

しっかりとした基本のを身に付けるべく、
日々の鍛錬をしていきたいものです。
Posted by 桃太郎 at 2009年07月15日 07:32
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