「使いたい時に使えない文具NO.1」。
スティック糊。
この文具に、何度悔しい思いをさせられたことか……。
手紙を書いて、封筒に中身を入れて、では封を……と思うと、まず糊の蓋が開かない。
しょうがないから、ぬれタオルを巻きつけて、力任せに無理矢理こじ開ける。
バキっと音を立てて、ようやく蓋が開いたかと思うと、中のスポンジキャップが、糊でガチガチ。
さらに苦労して、スポンジキャップをはずし、指につけて紙に塗る……。
これじゃ、何のための「手を汚さないスティック糊」だかわからん。
毎回、糊を使おうとするたびに、これを繰り返していて……。
なんでこんなことになってるんやろう……。
そこで、その我が宿敵の代表格「アラビックヤマト」。
これを作っている『ヤマト株式会社』サイトをのぞくと……。
「ヤマト糊」……なつかしいですね。
緑色のチューブに黄色いキャップ、しぼりだしてぬるチューブ入りタイプ。
小学校の工作の時に、よくお世話になりましたが。
これが、タピオカでんぷん製のエコマーク認定商品とは知りませんでした。
ヤマト株式会社は1899年創業。
売り出した防腐剤入り「ヤマト糊」は、日本初の「保存できるでんぷん糊」として、広く受け入れられました。
そして、1975年、ポリビニールアルコール製の液体糊「アラビックヤマト」を発売。
逆さにすると海綿を通して糊が染み出し、手を汚さなくても糊をつけられる、高級液状糊「アラビア糊」の瓶の形と、滑らかな「塗り味」の特殊スポンジキャップ。
日本初の合成樹脂糊を組み合わせた「アラビックヤマト」は、液体糊の代名詞になるほどのヒット商品。
……それにしても、「塗り味」なんて言葉は初めて聞きましたが。
世の中は広いですね。
ちなみに、糊の歴史に詳しいのが『トンボ鉛筆サイト』。
糊は、すでに、紀元前6000年〜5000年に存在していました。
農耕が盛んな日本では穀物を利用したでんぷん糊、狩猟が盛んなヨーロッパでは、動物の骨の髄から取り出した「ニカワ」が主に使われていたようです。
しかし、でんぷん糊には弱点がありました。
それは「腐ること」。
日本では、米やフノリ(海草の一種)が糊の主流でしたが、保存がききませんでした。
明治になって、防腐剤入りの「ヤマト糊」を売り出されるまで、長い間「糊は腐るもの」だったのです。
実は、この頃、でんぷん糊のほかに、「アラビア糊」はありました。
アカシヤの樹液(アラビアゴム)を水に溶かした天然物接着剤。
乾くのが早く、扱いやすかったのですが、稀少で大変高価でした。
そこへ、合成樹脂の粉末を水と混ぜ、高温溶解したポリビニールアルコール糊「アラビックヤマト」が登場。
『日本はこの原料の発明国であり、そのため、液体のりの分野でも世界をリードしています』
……恐れ入りました。
「我が宿敵アラビックヤマト」とは、もう言いません。
さて、話は再び「アラビックヤマト」に戻ります。
『ヤマト株式会社』サイトは「アラビックヤマトは乾きが早く、接着力も抜群です」と自慢していますが。
その乾きの早さと抜群の接着力が「蓋がカチンコチンになった糊の瓶」を作り出してしまうのですね。
使用頻度の少ない人には、スポンジキャップが乾きにくい「さかだち」タイプがお勧め。
「さかだち」は、蓋の部分が下にあるので、糊が常にスポンジに接触して乾燥を防ぎ、糊が少なくなっても、すぐに塗ることができる。
……と書いてあるけどなあ。
実は、私、この「さかだち」を買って、カチンコチンに固まらせたことがあります。
……つまり、それほど糊を使う機会が少ないんだな。
『スポンジキャップが乾燥してしまった場合は、本体からスポンジキャップを外して、少し熱めのお湯(50℃前後)に浸し(やけどに注意!!)、スポンジが柔らかくなったら、やさしく揉み、のりを落とします。のりが落ちにくい時は、歯ブラシでやさしくこすってください。スポンジキャップを分解して、スポンジのみ、お湯に浸しながら揉み落とすと、はやくのりを取り除くことができます』
……「じゃまくさいわ。これやったら、スポンジキャップ壊した方が早いで」と、一瞬思ってしまった短気な私。
液体糊ユーザーとして不適格なのかもしれない。
でも、最近、「紙をくっつける」時に、セロテープやガムテープを使うことが多くなって、昔ほど、糊を使わなくなった気がする。
……ついでだから、調べてみましょう。
ヤマトも加盟している『日本接着剤工業会』の統計資料によると、2008年の日本の接着剤の総出荷量は854,931トン。
意外にも、接着剤が一番多く使われているのは「土木合板」。
全接着剤の3割強。
「建築用」が2割弱で続きますが減少気味。
これに対して、ラミネートと繊維は少しずつ増えています。
一方、家庭用は0.7%。
しかも年々減ってる。……うーむ。まずいなあ。
ところが、ヤマトもがんばっていました。
『ヤマト株式会社』によると、文具以外に、自動車産業(研磨剤やマスキングテープ類、車のデコレーションパネル)、エレクトロニクス産業(テレビ、携帯電話、パソコンなどの機械の中に使われる粘着テープや接着剤など)に進出。
製紙産業向けに、リサイクルできる水溶性スプライシングテープを開発。
原子力産業では、定期点検作業や除染作業中の汚染を防ぐ特殊粘着テープや特殊フィルム。
バイオテクノロジーやエレクトロニクスなど、埃が大敵の先端産業で必須な除塵粘着シートを供給。
……なるほど「「接着」あるところに「ヤマト」あり」。
手広い事業展開をしていたのですね。
さすがは「100年の歴史を誇る接着文具界のリーディングカンパニー」。
ちょっと安心しました。
でも、「アラビックヤマト」ユーザー失格の私は、液体糊ではなくて、固形糊の方を検討してみようと思っています。
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2009年07月21日
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いま僕が使っている液体のりのフタはそこまで堅くなりません。頻繁に使っているせいもあるでしょうが、おそらく粗悪なのでしょう。ヤマトさんの糊に比べると非力で・・・・それがかえって良いのかもしれません。乾きの遅さに舌打ちすることもありますが。
ただ、確かに滑らかな「塗り味」なんですが、時々強固に固まったりする事があって、固形糊に換えられちゃいました。
懐かしいなぁ、アラビックヤマト糊。
コクヨの『ドットライナー』などの製品があります。扱いも簡単で便利ですよ。