「一家に一つ必要なのに、意外に使うチャンスの少ない文具」
……糊。
先日『使えぬ文具』で、液体糊「アラビックヤマト」と格闘する日々を書いたところ、多数反響をいただき、ありがとうございました。
液体糊のキャップを固めてダメしてばかりなので、一時固形糊を使ったことがあります。
「ピット」という糊でした。
「ピット」は、「トンボ鉛筆」が1971年に開発した日本初の固形糊。
口紅に似た構造の容器で、本体を回すと、中の棒状の糊の塊がせり出してくるもの。
……でも、当時の固形糊は「アラビックヤマト」に比べて、粘着力が今一つだったし、糊の塊が容器からスポッと抜けたり、容器の中にこびりついて出てこなかったりして、どうしても、最後まで使い切れない。
結局、液体糊に戻って、また、キャップごとカチンコチンに固めてしまう失敗を繰り返していたわけです。
そこへ、この『ventus』でも、おなじみの舘神龍彦さんから、よいアドバイスをいただきました。テープ糊、「コクヨ・ドットライナー」がお勧めだそうです。
舘神龍彦さんは、『システム手帳新入門!』などの一連の著書で知られる手帳評論家。
アナログの文具とデジタルツール、それぞれの長所を生かして、仕事を効率的にこなす技を、日々研究されている方。
それにしても「テープ糊」、盲点でした。
修正テープそっくりの外見。
手軽そうだけど、粘着力はどうかなあ……。
『トンボ鉛筆』サイトに、「テープ糊」の詳しい解説があります。
テープ糊は、糊とベーステープの2層構造。
糊の成分はアクリル酸エステル樹脂。
ベーステープは、シリコンでコーティングした強くのびにくいグラシン紙や薄いプラスチックフィルム。
ちなみに、セロテープやガムテープ、両面テープなどは、元になるテープに粘着剤が塗られていますが。
テープ糊は糊本体がテープ状になっていて、「糊同士がくっつかないように、間にテープがはさまっている」という感じの文具らしい。
ドイツのペリカン社が世界初のテープ糊「ロールフィックス」を発売したのが、1980年代半ば。
トンボ鉛筆が「ピットテープ」を発売したのが、1997年ですから、テープ糊は比較的歴史の新しい文具です。
しかし、「手軽で使いやすい」テープ糊にも弱点がありました。
「最後まで使い切れない」ことと、「糊のキレが悪く、粘着剤が糸引きして、仕上りが汚くなってしまう」こと。
その弱点に挑んだのが「コクヨ」。
これまでのテープ糊は、柔らかな粘着面が連続して繋がっているので、最後に切る時、どうしてもキレが悪い。
そこで「最初から切れている糊、面ではなく点で作られた糊」をコンセプトに、試行錯誤の末、生まれたのが「ドットライナー」。
2005年発売された、この商品は、それまでの「テープ糊」のイメージを一新。
糊の接着力は面積に比例します。
「接着力」と「キレのよさ」を両立できるドットパターンのサイズ、糊の面積の少なさをカバーするために、糊の厚みをどうするか。
ドット状の糊に合ったセパレーター(テープの台紙)の選定。
強粘着と弱粘着(貼って剥がせるタイプの糊)の2タイプの糊の同時開発。
……相当な苦労があったようです。
糊の成分は、劣化が少なく接着力が長持ちする耐光性アクリル系。
環境を汚染しない非溶剤系のものを使用。
テープ糊本体は握りやすさ、持ちやすさも重視。
手の小さい女性にも使いやすいように、先端を小さくして小回りのきく形に。
キャップは本体と一体化して、はずす手間や紛失を防止。
糊が送り出されるヘッド部分の先端ローラーに、チューブを入れて適度な弾性を持たせ、軽い引きを実現。
多少のゆらぎも吸収できるようなりました。
糊も最後まできちんと使い切れるように改良。
エコマーク、グリーン購入適合商品。
……うーむ。気になる。
こうなると、買ってみたくなるのが人情。
「しっかり貼る・詰め替えタイプ」を、さっそく近所のダイエーで買ってきました。
試しに、封筒の糊づけ。
テープ糊が、すいすい紙の上を走り、快適。
糊をつけた後、それを剥がそうとしても、かなり粘りがあり、そう簡単に剥がすことができません。
テープ糊の詰め替えも、本体の後ろ部分を、パカッとはずすだけで簡単。
気温15度から35度の環境で使用すること。
カラーコピーの印画部やタックメモの表面など、油分が付着している紙や、感熱紙やコート紙など、特殊な表面処理がなされている紙、プラスチックラミネートされたカードなどは接着できない。
……などの弱点はありますが。
普通に「紙同士を貼る」分には粘着力は充分。
手軽さ、手が汚れないことも気に入りました。
舘神さん、アドバイス、ありがとうございました。
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2009年08月01日
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