私が派遣社員として都銀にいたのは20年前。
バブル期だ。
その頃、どこの銀行も同じサービスだったと思う。
ところが、この20年で銀行は何度も名前が変わり、店舗も減った。
金利もサービスもさまざまだ。
何が起こったのか……。
著者は大阪府特別参与。
コンサルタントとして、あらゆる金融機関の経営改革に携わった専門家だ。
この本は『銀行業界以外の読者を意識して執筆しました』と書かれてはいるものの……よくわからん。
仕方がないので、レポート用紙に図を描きながら読み進める。
まず、この20年、銀行の仕事は変わっていない。
「預金業務と送金や引き落としの決済業務」。
主な収入は、低い金利で調達した預金を、金利の高い市場に貸して稼ぐ差額の利息。
そして融資利息。
その収入から、預金を集めるコスト、貸し倒れなどの「信用コスト」。
人件費、店舗、システムなどのコストを差し引くと、意外に儲からないものらしい。
金融庁の厳しい監督下に置かれ、預金者に損をさせてはいけないので、積極的な投資や資産運用をできず、中小企業への貸し出しもリスクがあるので踏み出せない。
しかし、実際の「中小企業への貸し渋り」は、わずか4%なのだそうだ。
この20年の金融自由化に対して、経営基盤を固めるために合併を繰り返した銀行業界。
それまで銀行が苦手だった個人・中小企業をねらう、他業種が作った新銀行。
外資系銀行……
競争相手が増える中で、これからの銀行はどうすればいいのだろうか。
「厳密に信用リスクを計算し、それに見合った貸出金利引き上げを」
「グループ企業の保険や投信などを積極的に販売して手数料収入を増やす」
「日本の企業の60%を占める中小企業に目を向ける」
「海外銀行の買収」
……これらの対策を、著者は提言している。
今はまだ、金融自由化の途中だ。
これからも、銀行が大きく変化することは間違いない。
『あしたのための「銀行学」入門』 大庫直樹 著 PHPビジネス新書
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ただ、成功モデルを構築できている業種や企業は多くありません。
シンプルならば受け入れやすい反面、単価が安くなります。
複雑ならばカスタムメイドが出来る反面、経費が増大します。
結果、こうした層へのビジネス戦略の困難さの証明は容易でも、モデルの確立にはなかなかどこも至っていないというのが実情だと理解しています。
(マス向け商品であれば、前者のシンプル&低単価路線での成功事例もそれなりにありますが、中堅中小向きとなると…)
もっとも、自分の認識が不足しているだけで、世間には、そして本書にもそうした事例が輩出しているのかもしれません。そうであれば、是非そこから学びたいと思っています。