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2006年02月07日

「お受験」は悪か?

私自身には子供がいませんが、甥(妹の子供)がいます。この子が小さい頃は、仕事で忙しい妹に代わって家で預かったり、保育園や学童保育の送り迎えをしたりもしていたので、最近の子育ての大変さが、うっすらとわかります。
特に子供の進学……私が子供だった頃も高校受験が大変でしたが、今は幼稚園や小学校の「お受験」も盛んで、親御さんは大変。

「私立の学校に行かせたって、金のムダ」というのは古い感覚で、今の私学は教えていることのレベルも高い。
甥は小学生の時に受験して、私立の中高一貫制の進学校に入り、今は中学3年。
受験勉強はないけれど、英検や漢字検定、大学受験に備えての高校数学の勉強とかなり忙しい。

この子の場合、世間で言われる「ブランド志向のお受験」とは違った事情がありました。

甥は学童保育(放課後、学校で子供を預かる)を利用していたのですが、妹の帰りが遅い時は、母や私が迎えに行っていました。
これが他の母親たちには気に入らなかったらしい。
「○○ちゃん(甥)とは、口をきかないように」……なんと、親がそんなことを子供に教えたのです。
当然、甥はいじめを受け、妹は担任に呼び出されました。

「「○○君(甥)にも問題があるんでしょうけど、お母さん自身もいけないんじゃないですか」って。子供のために一生懸命働いてて、なんで、そんなこと言われなあかんねん!」

当時の小学校は、子供が授業中に大声をあげたり、席を離れて歩く「学級崩壊」が普通の状態。
行儀がよく、算数が得意で勉強好きな甥は「人の顔色をうかがい、勉強ばかりする元気のない問題児」と担任の目に映っていたようです。

泣きそうになっている妹に、私は言いました。

「はっきり言って、ほとんどの先生の目は節穴や。知ってるやろけど、私は筋金入りの問題児や。「お前はクズや」と言う先生は大勢いたし、「将来犯罪者になる」と言い切った先生もいた。でも、結局、カタギのサラリーマンと結婚して主婦になったし、受賞出版したり、審議会の仕事もさせてもらってる。……これのどこが犯罪者や」

妹は、少し落ち着いたようでした。

「このまま地元の中学に行ったら、いじめっ子と同じ中学や。あの子は絶対、不幸になる」
「一応、私立考えてるねん。学費はなんとかなるけど、問題は学力や」
「本人に、私学に行く気あるか訊いてみ。「このままやと、いじめっ子と同じ中学に行くことになる」と説明するんやで」

結局、甥は「ちゃんと勉強するから、私立に行かせてください」と妹に頼み、猛勉強して合格しました。
今は反抗期で、結構生意気ですが、勉強は真面目にしているようです。
一方、いじめっ子たちは地元中学へ。
平日の昼間に、ふらふらと街を歩いているのを見かけたことがあります。
おそらく、この子たちの未来は明るいものではないでしょう。

今、問題になっている「社会の階層化、拡大する格差」は、こんな子供の頃から始まってしまっている……絶望的な気分になります。
posted by ゆか at 14:08| Comment(1) | TrackBack(0) | 日常コラム | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いじめのキーワードでたどり着きました。
私は教育関係者でもなんでもない個人ですが、この世からいじめがひとつでもなくなればいいと思っているものです。
人の優しさが集まれば、きっと何かが出来るという信念で立ち上げたブログがあります。
『優しい気持ちの広場』といいます。
http://blogs.yahoo.co.jp/what_we_can00/
1訪問1円募金もやっておりますので、
是非遊びに来てください。
Posted by 葛西孝史 at 2006年02月08日 00:29
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