最近、セミナーに参加する機会が増えました。
オキナの「プロジェクトペーパー」を入れた、ソメスの「ライティングパッド」と、三菱鉛筆「ユニ硬筆書写用6B鉛筆」を携えて、颯爽と会場に出かけます。
セミナー講師は、学校の先生と違って、ほとんど黒板に字を書きません。
発言のポイントは瞬間的に書きとめるんですが。
不器用な私は、それを漢字で書く余裕がない。
おかげで、毎回セミナーが終わった後は「鉛筆で乱暴に書き殴った平仮名と片仮名だらけのレポート用紙の山」が発生。
もちろん、後でパソコンを使って内容をまとめますが。
この「人の発言を瞬時に書きとめる技術」として有名なのは「速記」。
ちなみに、『社団法人日本速記協会』によると、世界で最古の速記史料は、紀元前350年のギリシャ。
簡単な符号でアリストテレスらへの献辞が刻まれた大理石。
日本の速記文字の元祖は、平安時代の発明品「平仮名」と「片仮名」。
ご存知のように、平仮名は漢字の草書体が崩れてできた文字。
片仮名は、漢文や経典の読み仮名を素早くメモするために、漢字の楷書体の一部を取り出して作られた文字。
……ふうん。私が平仮名だらけのレポート用紙の山を作るのは、日本の伝統にのっとった行為だったんですね。
でも、現在の速記文字は、平仮名や片仮名とは全然違う。
『速記符号(速記文字)は、線の対照を利用して五十音がつくられています。曲線か直線か、水平か斜めか、長いか短いか、大きいか小さいか、濃く書くか薄く書くか等で音の違いをあらわします』
速記符号とは、要するに……例えば「あ」という文字を、もっと画数の少ない記号で表現するもの……かな?
1837年、イギリスのアイザック・ピットマンが、単純な符号を使う記音式速記法を発明。
文字ではなく符号を使うことで、筆記速度が格段に向上しました。
1882年、田鎖綱紀(たくさり こうき)が、日本傍聴記録法を発表。
日本で最も速記が使われているのは国会。
1890年の第1回帝国議会開催以来、日本の国会議事録は、すべて完全な形で残っているそうです。
『速記は誰でもマスターできます! 紙とシャープと、そして少しの根気があれば。』と、日本速記協会は速記検定受験を勧めてますが。
面白そうだけど。
残念ながら習う時間がないですな。
実は、速記専用の筆記具もあって、OHTO「速記用ボールペン」、プラチナ「プレスマン」が有名。
「速記用ボールペン」は軸が滑りにくく、滑らかでしっかりと書ける太字のボールペン。
「プレスマン」は、取材記者向けの「速記用」として発売されたシャープペン。
折れにくい0.9ミリの2Bの芯を使用。
つまり、「色が濃く、やや太めの芯で、書き味が滑らかな筆記具は速記向き」ということです。
厳密にスピードを要求すると、「小さい速記文字をたくさん書く」ために、シャープペンやボールペンの方がいいのでしょうけど。
私の場合、相手の発言全部じゃなくて、講義の要点だけ書くので、鉛筆でもいいか。
しかし、鉛筆には、決定的な弱点があります。
「芯が折れる」こと。
以前、セミナーの最中、鉛筆の芯が折れて、とっさにシステム手帳のボールペンで書き続けたことがあります。
ライティングパッドには、ペンホルダーが一つしかない。
予備の鉛筆や消しゴム、できれば、鉛筆削りやボールペンも持っておきたいし。
印鑑が必要になる時もある。
……うーむ。やっぱり、「筆箱」が必要になってくるか。
とりあえず、無印「透明PPペンケース」に、三菱「硬筆書写用6B鉛筆」、SEED「Radar消しゴム」。「ダックス」の鉛筆削り、三菱鉛筆「ジェットストリームボールペン」の赤と黒、それと三文判を入れてみましたが。
……それにしても、他の人の筆箱って、どうなんだろう?
もっと機能的だったら、まねしてみたいなあ。
ちょうど、お誂え向きの本がありました。
『筆箱採集帳(ブング・ジャム著 ロコモーションパブリッシング)』。
「文具王」こと高畑正幸、「文具芸人」の他故壁氏、コレクションサイト『イロブン』主宰者きだてたく。この3人のユニット「ブング・ジャム」が、59人の「筆箱と、その中身」を写真で紹介するという妙な企画の本。
建築家、イラストレーター、小学生、舞台女優、保育士、看護師、陰陽師、内科医、質屋と、さまざまな職業の人の「筆箱」が登場。
手作りの筆箱、漆芸家の自作印伝筆袋、特注高革製ペンシース(一本のペンをいれる鞘状のケース)、油絵用アルミケース、歯磨きセットのケース、ジグソーパズルの空き箱……。
普通に「箱または袋に筆記具類が入ったもの」だけじゃなくて、「皮製ノートカバーにボールペンをつけたもの」「「マシンガンを入れるピストルケース」、「カラビナにストラップつき小型文具を11個吊るしたもの」「てぬぐいで筆記具を包んだもの」……???
この本での「筆箱」の定義は、『持ち歩くためにチョイスされた文房具のひとかたまり+ケースのユニット』。
この定義だと、私の鉛筆つきのライティングパッドや、ボールペンと付箋がついたシステム手帳も「筆箱」になってしまうわけか。
しかし、「iphoneとそのケース」とか「筆記具がぎっしり詰め込まれた白衣のポケット」とかを、「これこそ「筆箱」だ」と主張されてもですなあ。……
それはさておき、筆箱の中身。
それぞれの選んだ文具に、職業や人生観が凝縮されていて面白い。
ボールペン、シャープペン、水性ペン、マーカー、万年筆。
消しゴム、鉛筆、定規、コンパス、はさみ、付箋。
クリップ、のり、ミニ電卓、ホッチキス、USB、ICレコーダーともかくとして……
目薬、ピンセット、歯ブラシ、耳かき、虫眼鏡、単三電池、ストップウォッチ、のど飴、ビー玉、5円玉……って「文房具」?
うーむ。文具界の「見てはいけないもの」を見てしまったような気分になってきた。
なお、この本には、私と似たセンスの筆箱も登場。
同じ無印の透明筆箱に、パステルカラーのシールを、桜吹雪のように貼ってデコレーション。
ボールペンや鉛筆類を入れたシンプルな筆箱。
持ち主は多摩美術大学の大学院生。
……意外だなあ。私のセンスは学生に近いのか。
まあ「セミナーに勉強しに行く」のが目的だから、似たような「勉強用筆箱」になったのかもしれませんが。
とりあえず、この勉強用筆箱で、がんばってみましょうか。
新着記事
(01/17)災害手帳術
(01/10)身近な老舗文具企業
(01/03)24年12月度アクセス解析
(12/27)こだわりの「おそうじ」文具
(12/20)2025年の手帳時間
(12/13)『基軸通貨 ドルと円のゆくえを問い直す』
(12/06)24年11月度アクセス解析
(11/29)『つくる仕事の一日』
(11/22)「おぼえている手帳」と「忘れる手帳」
(11/15)巷の達人(武道系コラム・特別編) 剣道の祖
(11/08)壊れる「年収の壁」
(11/01)24年10月度アクセス解析
(10/25)来年の手帳を楽しく使うには
(10/18)本当にお金が貯まる手帳
(10/11)大復活!「趣味の文具箱」
(10/04)24年9月度アクセス解析
(09/27)『ずるい!ChatGPT仕事術』
(09/20)開運手帳2025
(09/13)ほぼ日手帳の「おまけ」
(09/06)24年8月度アクセス解析
(01/10)身近な老舗文具企業
(01/03)24年12月度アクセス解析
(12/27)こだわりの「おそうじ」文具
(12/20)2025年の手帳時間
(12/13)『基軸通貨 ドルと円のゆくえを問い直す』
(12/06)24年11月度アクセス解析
(11/29)『つくる仕事の一日』
(11/22)「おぼえている手帳」と「忘れる手帳」
(11/15)巷の達人(武道系コラム・特別編) 剣道の祖
(11/08)壊れる「年収の壁」
(11/01)24年10月度アクセス解析
(10/25)来年の手帳を楽しく使うには
(10/18)本当にお金が貯まる手帳
(10/11)大復活!「趣味の文具箱」
(10/04)24年9月度アクセス解析
(09/27)『ずるい!ChatGPT仕事術』
(09/20)開運手帳2025
(09/13)ほぼ日手帳の「おまけ」
(09/06)24年8月度アクセス解析
2009年10月20日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック
にほんブログ村ランキング