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2009年10月27日

二つの同窓会

「よう考えたら、俺ら、来年卒業25周年になるんか」

 

会計事務所の取締役の男性は、空のビールジョッキをテーブルに置きました。

平成20年の緑友会総会(大阪府立渋谷高校同窓会)でのこと。

4年前、図書委員の後輩の誘いで緑友会に参加すると、なぜか、そこに「緑友会会計」の肩書きで同級生が2人いました。
いつも授業中に寝ていた男子が税理士に、絵に書いたような硬派の不良は取締役に。
世の中わからんもんですね。

あの頃、全然接点がなかったのに、今は話してみると結構気が合って楽しい。
面白いので友達を呼んで、今年は5人。

「まあ、最近、高校卒業してから会ってないやつのことを、ふっと思い出すわな」

税理士の彼は、ビールを手酌で注ぎながら言いました。

「そんなら、これ機会に、学年で卒業25周年記念同窓会やってみんか。俺ら5人で」

公務員の彼の提案に、即座に同意したのは取締役。

「面白いな。20周年の39は仕事や子育てで忙しいし、30周年の49は、老後が見えてくる。25周年、ええタイミングや。知り合いばっかり集まって、みんなで昔話するのもええけど。25年たったら、人って変わるやんか。あの頃無関係やったけど、今会うたら、ええ友達になれるかもしれんよ。俺らみたく。「同じ学校」って共通の話題もあるしな」

取締役の彼の主張も、よくわかるけど。
私は心配でした。

「そやけど、昭和59年卒って、確か12クラス、500人はいたはずやで。集まるかな」
「なんとかなるやろ。とにかく、集まれるだけでも集めてみようや」

「でも、その500人に、みんなで手分けして、宛名書くの? 届くのかな」

ゆんさんは不安げですが、公務員の彼は気楽に言いました。

「今は代行業者だっておるやんか。とりあえず、夏あたりに、幹事会やろうや」

ということで、彼を代表に、同窓会幹事会を立ち上げましたが……大丈夫か?

「まあ、40前後いうのは、生活落ち着いて、同窓会したくなる年やからなあ」

母は笑いました。
昭和17年生まれ。大阪府立東淀川高校第3期卒同窓会の副幹事。

「私らも、あんたらぐらいの年から、毎年同窓会はじめて、今年で25回目やね」
「毎年冬になったら「同窓会に来ていく服どうしよう」って言うてるよな」
「……そやけど。私らは、今年を最後にしようと思ってる」
「なんで? 25年も毎年続けることは、なかなかできるもんやないで」

母は珍しく、弱気な笑顔を見せました。

「……疲れたんよ。最初は幹事が12人、3クラス105人いたけども。還暦過ぎてから、病気になったり、死んだりして、だんだん減っていくし、幹事も3人死んでる。「今年が卒業50周年やから最後にしよう」って言うてるねん。まあ、一部の幹事は、「これからもやろう」言うてるけど。正直私も、しんどいからな。降ろさせてもらう」

最近、足が弱り、胆石を抱えて二日に一度医者通いをしている母。

「そやけど、これで最後で、同級生で集まれんとなると、寂しいけどなあ……」
「そういえば、今年の緑友会、「卒業50周年」のテーブル取ってた先輩らがいたよ」

私の言葉に、母の顔が明るくなりました。

「川高の同窓会に合流する手があるか。学校の食堂でやってる、人もまばらなやつ。毎年、私らの方が集まりええから、役員が同窓会費集めに来るけど。……まあ、しゃあないか」

私は驚きました。

「その、「同窓会費集める」って何? 卒業する時5000円納めただけで、請求されたことないで。さすがに、大阪代表で甲子園出た年は、寄付金のお知らせ来てたけど」

「川高は、毎年2000円や。なんか立派な雑誌が届くで」
「そうなんや。『緑友会だより』は、白黒でパンフレットみたいなもんやで。原稿は役員が書いてるし、学校とか総会で直接配ってる。その代わり、懇親会はホテルでやってる」

……どうやら、同窓会によって、経費のかけ方が違うようですな。

面白いので、『大阪府立東淀川高校同窓会江風会』サイトへ。
年会費は2000円。
同窓会協力金一口5000円。
活動は独自ホームページの運営と、在校生や卒業生の活躍が載った会誌『The川高』の年1冊発行と全同窓生への配布。
新卒業生への記念品贈呈。

行方不明者消息入力フォーム。
卒業生用交流掲示板や卒業生検索。
クラス会、クラブOB会などの同窓会告知用フォーム。
……充実してるなあ。このサイト。

でも、卒業生が2万人近くいて、2000年8月1日開設で、64835人目の来訪者が渋谷高校卒の私っていうのも、なんだかなあ。もったいないよ。

学校への寄付や、新卒業生に記念品贈呈はするけれど、立派な会誌を出さず、『大阪府立渋谷高校』サイトに間借りしている緑友会と違って、江風会は高コスト体質。

卒業生の所在を把握し、確実に年会費を集めるために、ネット上から『「The川高」が届いていない方は連絡を』と必死で呼びかけたり、OB会を開くと、役員が集金に来たりするわけだ。

それにしても、この「消息不明の卒業生」問題は、どこの高校でも頭の痛いところ。

緑友会でも、総会案内葉書が「宛先不明」で大量に戻って運営を圧迫。
今年から学校と卒業生名簿を共有。
総会を箕面観光ホテル、毎年6月末の日曜と定め、葉書を2年に一度にする経費削減が行われましたが。

江風会の方が、運営費用がかかるだけに苦しいかも。

ちなみに、今年の7月に行われた江風会総会は、午前10時半から12時が総会。
12時から懇親会。
場所は東淀川高校山下食堂、会費2000円。
新卒業生のみ無料。
……うーむ。総会が1時間半もあるのか。

会費5000円。「15分の来賓の挨拶と校歌、1000円程度の景品が当たる抽選会と無料入浴券と無料ボーリング券つき。3000円程度の料理と飲み放題のホテルのランチバイキング」の緑友会総会の方が、断然お得な気が……

いかん。
高校の同窓会を「お得」だとか、そういう尺度で比較しちゃいかん。

えーっと……これは、「母校を活性化しようぜ!」の東淀川高校と、「楽しかったら何でもええねん」の渋谷高校、それぞれの同窓会のスタンスの違いじゃないかと思います。

さて、今回、「渋谷高校昭和59年卒卒業25周年記念同窓会」開催のために、緑友会事務局から、最新の卒業生名簿の「昭和59年卒業生」のページのコピーをお借りしました。

この名簿は平成9年発行。
個人情報保護の問題で、その後名簿が作られなくなったのです。
しかし、今は平成20年。11年前の名簿で大丈夫か?

行方不明卒業生に悩まされる緑友会事務局も、どの程度、卒業生の消息の把握ができるのか、この同窓会で実験してみたいということで。
同窓会開催後にできた最新名簿は、事務局にお返しする約束になっています。

さて、年が明けて2009年。
卒業25周年記念同窓会は、無事に開けるでしょうか。
ラベル:同窓会
posted by ゆか at 14:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 日常コラム | 更新情報をチェックする
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