巻末に、作者の清少納言の生涯、枕草子に親しむための漫画やビジュアル本の紹介。
『桃尻語訳・枕草子(橋本治)』と『少年少女古典文学館4 枕草子(大庭みな子)』、それぞれの冒頭の現代語訳を比較したのも面白い。
最後が注釈書の紹介だ。
この『枕草子』は、坂口由美子氏の現代訳が、原文よりも先に載せられているのが大きな特徴。
古文があって、注釈、現代語訳の順に並ぶ、昔の古典文学の本に親しんでいた私には、少し違和感があったけれど、これが今風の古典文学の解説なのかもしれない。
かつて、漢文の講義中に温厚な老教授がしみじみと言った。
「僕は、現代語訳はフィーリングでいいと思います。昔から偉い学者たちが「これが正しい」と色々な説を主張していますが、タイムマシンで唐の時代に戻って、李白や杜甫本人に、詩を作った時の心境を直接訊いてみない限り、本当のことはわかりません。永遠の謎です」と。
面白いから、私も枕草子の冒頭を訳してみよう。
『春は曙。やうやう白くなりゆく、山際すこし明かりて、紫立ちたる雲の細くたなびきたる』(原文)
『春暁絶佳也。万物白漸漸。山際明微光、紫雲細靡天(しゅんぎょうぜっかなり。ばんぶつぜんぜんとしてしらむ。やまぎわびこうにてあかるく、しうんほそくてんになびく)』
……なんだか、富士山の初日の出みたいになってしまった。
国文卒らしいところを見せようと、いきがって漢文に訳してみたけれど、五言絶句形式にぴったり当てはまったのには驚いた。
清少納言は漢籍に詳しい人で、『枕草子』のリズムは漢文的と言われている。
ひょっとしたら、『枕草子』の一番最初に発想された原文は、漢文だったのかもしれない。……おっ、新説が誕生したぞ。(冗談です)
『ビギナーズ・クラシックス 枕草子』 角川書店編 角川ソフィア文庫
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