2009年度グッドデザイン賞発表。
10月1日、2952件の応募の中から、1034件が今年のグッドデザイン賞に選ばれました。
毎年進化するGマークですが、今年の特別賞はどうかな。
まず、一般消費者が推薦できるロングライフデザイン賞。
「アラビックヤマト」。
「カシオ本格実務電卓」。
「三菱鉛筆ユニ」。
「コピックマーカー」
……さすがは「文具大国日本」。
「NEWクレラップ」。
「カップヌードル」。
「カフェ・ノ・バール」。
パナソニック「マンガン乾電池ネオ」。
兼子製作所「ドライバー」。
東洋スチール「山型ツールボックス」。
ニコン「HGL双眼鏡」。
キヤノン「デジタルカメラIXY」。
富士フィルム「中判フイルムカメラ」。
パナソニック「レッツノート」。
USM「ハラーシステム」
……定番中の定番。
アルフレックス「NT椅子」。
愛知「スタッキングチェア・テクス」。
岡村製作所「スツール」。
……オフィス家具が多いってことは、今年はビジネスマンの推薦者が多いのか?
INAX「センサー一体形ストール小便器」。
TOTO「ウォシュレット・ネオレスト」
……うーん。確かによく見かけるトイレだけど。
改めて「美しい」と言われると照れる。
島津製作所「エネルギー分散型蛍光X線分析装置」。
日立「生化学自動分析装置」。
富士通「現金自動預払機 」。
ホンダ「ミニ耕運機」。
スズキ「ワゴンR」
……バランスを意識して選んでいますね。
一方、『新日本様式100選』の精神を引き継ぎ、日本の伝統的な「たくみの心」「もてなしの心」「ふるまいの心」を持つものが選ばれる「ライフスケープデザイン賞」。
新日本石油の家庭用燃料電池システム「エネファーム」。
ユナイテッド・デザイン・オブ・マテリアルス・プロジェクトの「住宅内装建材における色、形、素材の心地よい調和とコーディネートしやすいシステムの提案」
……長たらしい名前ですが、これは「適正なコスト・デザインしすぎない・誰もが使いやすい・調和しやすい」を要素にした「メーカーを超えた建材の色と形の開発ルール」のこと。
「イワタUDフォント」。
高齢化で視力が低下した人の増加を踏まえて、「一目でわかる。誤読されにくい。読みやすい。シンプルで美しい」 をコンセプトに作られた新しい活字。
地球環境に優しいものに贈られる「サステナブルデザイン賞」。
川島織物セルコンの全点エコマークのインテリアファブリック「フェルタ」。
京都大学が研究中の間伐竹材の有効利用したビニールハウス「BGH(バンブーグリーンハウス)」。
ユニークなのは、タイの食品容器「Food packing Bio」。
サトウキビの搾りかす「バガス」が原料のエコ素材。
タイの「デザインエクセレンス賞」との連携に基づく受賞。
……ここにも、デザイン国際化の波が押しよせてますね。
そして、私が一番期待していた、今年創設の「フロンティアデザイン賞」。
「まだ実現されていないものごと」を推奨する未来志向の賞。
ホンダが研究中の「歩行アシスト」は足につける2種類の補助具。
脚の振り出しを補助して歩幅と歩行のリズムを調整、早く楽に遠くまで歩ける「リズム歩行アシスト」。
体重を支える力を補助して、脚の筋肉と関節の負担を軽減する「体重支持型歩行アシスト」。
これが普及すると、足腰の弱い高齢者は助かります。
燃料電池や太陽光や風力で動き、CO2の排出を69%削減する日本郵船の「未来のコンテナ船 NYKスーパーエコシップ2030」。
CMで見たことがある美しい船。
日立製作所が開発しているのは、手のジェスチャーでテレビの基本操作(電源ON/OFF、選局、音量調整)ができて、リモコン不要の「ジェスチャー操作テレビ」。
運転中のドライバーが、一瞬で拾い読みするための書体「自動車用フォント」は、デンソーとタイププロジェクトが開発中。
法政大学デザイン工学部システムデザイン学科大島研究室が研究しているのは、忌避材や誘引材マイクロカプセルを使って、農家がお金や労力の負担をかけずに、野生の鳥や獣から農作物を守ることができる「野生害獣被害対策プロジェクト」
トヨタが開発した小型3輪自動車「i−REAL」は、レーダーや自動速度制御装置を搭載。
レバーを行きたい方向に倒すだけの簡単操作。
環境にも優しい「進化した車椅子」。
……どれが実現しても、社会がよくなるものばかりですね。楽しみ。
さて、グッドデザイン賞ベスト15。
今年のグッドデザイン賞大賞候補は……。
パナソニック電工「マッサージチェア EP−MS40」。
ダイソン「サイクロン掃除機DC−26」。
ホンダ「インサイト」。
トヨタ「 プリウス」。
三菱電機「主軸モータSJ−Dシリーズ」。
NECライティング「プラスシーライン」は超寿命の極細ランプ製の建築用照明器具。
日立メディコ「デジタル超音波診断装置HI VISION Preirus」。
パナソニック「デジタルカメラLUMIX」。
ソニー「液晶テレビ・ブラビアZX1シリーズ」。
ロスティー「フラクタルひよけ」?
『フラクタルとは、図形の部分と全体が自己相似になっている幾何学の概念であり、広く自然界に存在し、葉脈の模様、樹木の枝分かれなどに見られる。本デザインは、一枚の布地からシェルピンスキー四面体と呼ばれる形を縫い上げ、新しいひよけを開発。高温化する都市環境や外部生活空間において、木々がつくる緑陰や風通しと同等の快適な空間を提供する、新自然デザインの日除けである』
……要するに、本物の木陰に似た形の、安くて涼しいひよけを普及させて、街中の気温を下げようという話らしい。
「岩見沢複合駅舎」はレンガ造りの美しい建物。
TOTO「公共トイレ レストルームアイテム01」は、どんな空間にもフィットするユニバーサルデザインのトイレ。
サムスン電子の「ミニノート型パソコンN310」は、一見青い消しゴム状の四角い形で「SAMSUN」のロゴだけ。
柔らかさを感じさせる深澤直人のデザイン。
そして、同じサムスンが開発した、世界初の超スリム液晶テレビ「LED7000」は、ガラス工芸品のような透明感あふれる美しいテレビ。
……うーむ。韓国家電のデザインも侮れない。
ユニークなのは『GREEN TOKYO ガンダムプロジェクト』。
東京・お台場潮風公園に建てられた18mの実物大のガンダム立像を「緑あふれる都市東京の再生」のシンボルとして、2009年7月11日〜8月31日に開催され、415万人を動員したイベント。
公式グッズの売上金が「緑の東京募金」「都立公園サポーター基金」などに寄付され、東京都緑化事業に使われました。
11月6日、この15件の候補の中から一つだけ、大賞が選ばれるわけですが。
私は30年前、中学の頃に『機動戦士ガンダム』を見た世代として、この『GREEN TOKYO ガンダムプロジェクト』に一票。
2009年度グッドデザイン賞審査委員長で、建築家の内藤廣氏は「今年の大きな傾向は「エコ」」と言っておられますが。
私は「エコ」はすでに当然になっていて、今後、デザインは「エコ+ユニバーサルデザイン」に進む予感がします。
「すべての人が見やすい新しい活字」や、「誰にでも使いやすいトイレ」などの「誰もが使うもの」が、特別賞を受賞していることが、それを象徴していると思うのです。
これからも、どんどん進化していくグッドデザイン賞。
目が離せません。
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