この本は、国税庁の「民間給与実態統計調査」をもとに、賃金・人事コンサルタントの著者が、勤労者の平均年収が一番高かった平成9年(1997)年と、10年後の平成19年(2007)年の統計結果を比較したもの。
内容は恐るべきものだ。
勤労者数は、10年で5200万人から5300万人に増えているのに。
給与総額は平成9年が220兆円、平成19年は201兆円で19兆減。
「年収300万以下は32.2%から38.6%に増加」
「平均年収額は467万円から437万円、10年で1割減」
「勤労男性は100万人減少、勤労女性は100万人増加」
平成9年といえば、私が喘息薬の副作用事故の後遺症、発作性頻脈に悩まされていた頃。
夫の「お前一人ぐらい、俺が食わせるから好きにせえ」の言葉に甘えて、自宅療養していた。
しかし、たとえ夫が盲腸で入院していても、容赦なく訪れる義母への仕送り日。
今後、義母の病状が悪化すれば、仕送り額が上がる。
……夫だけに無理をさせられない。
私は再び働くことにした。
週に一度の短時間のアルバイトからはじめて、徐々に出勤日数と時間を延ばし、2004年に現在の職についた。
この年、義母の介護保険申請に成功。
行政の支援も得られるようになり、現在に至っている。
もし我が家が、子育て家庭だったら、遠距離介護の仕送りと教育費の両方で破綻していただろう。
統計によると、一番平均年収が下がった地域は大阪。
61万円!
阪神大震災以降、何度か日本を訪れたはずの「好景気」は大阪を避けていった。
多くの工場や商店がつぶれ、新しく建つのは大型商業施設。
働くのはパートや派遣の女性。
これでは平均年収は下がるばかりだ。
著者は「企業の中国への工場移転や非正規雇用社員を増やしたことが元凶」と非難するが、これに歯止めをかける方法があるのだろうか。
不安がつのる。
『消えた年収』 北見昌朗 文藝春秋
ラベル:年収
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