「姉ちゃんも、こだわるなあ。でも、Willのはかっこいいよね。私も持ってる」
妹は、Willシリーズのオレンジ色のボールペンを、私に見せました。
「まあ、私も、こだわるとこは、こだわってるからね。例えば、こんなやつとか」
妹はタンスの引き出しをあけました。
引き出しの中は電卓がぎっしり。
デスク用の大きなものから、ハンディタイプの小型電卓まで……合計12台。
「なんで、こんなにたくさんあるの?」
「商売道具やから、しょうがないねん」
妹は税理士の卵。簿記の講師です。
電卓を叩いて、その答えを黒板に書きながら授業を進めるので、最近では、片手で持てる中型電卓を使うそうです。
授業中に落として液晶画面が割れたり、キーの反応が鈍くなったりして壊れたりするので、どんどん買い換えて、コレクション歴13年。
一方、私は今の電卓が2台目。
買ったのは10年前。妹と違って大型電卓派です。
最初の電卓は簿記専門学校の教材。
「簿記は、電卓をブラインドタッチできなければ、合格できません。数字は最低12桁必要」と強制的に買わされて、ちょっと悔しかった。
でも、簿記の資格を取って、経理になると、左手で伝票をめくりながら、右手で画面を見ずに電卓を打つのが当たり前。
今考えると、大型電卓を選んだ簿記学校は正しかった。
前の電卓は、10年目で「C」の部分が引っ込んだまま出てこなくなり、寿命に。
今の電卓はCanon。
家電量販店や文具店で50台以上試して選びました。
私は手が大きいので、キー同士の間が少しあいているもの。キーのサイズは、テンキーや加算機(銀行にあった足し算しかできない電卓)ほどの大きさが必要。
……使い勝手のいい電卓を求めて、どんどん買い換える妹とは違うけれど、別の意味で、私もマニアかもしれない。
妹のご自慢の電卓、13台目はSHARP EL−M812AX。
キーが押しやすく音がうるさくない。「00」キーがあり、定数積算機能つき。見やすい液晶12桁表示。メモリー機能は「クリア」キーを押せば消える。早打ち対応……最低限の条件を満たしていて、そして、妹が一目ぼれしたのが色……煌めきをおびた夏空の鮮やかな青。
衝撃的でした。
『電子卓上計算機』より『エレクトリック・カリキュレーター』の言葉が似合う、そんなきれいな電卓なのに、2000円しないそうです。
ところで、『デザイン電卓』として人気が高い、『amadana』は……「かっこいいけど、ブラインドタッチには向かないから、ちょっと無理」というのが、2人の一致した意見。
でも、ビジネスマンが顧客と商談する時に使うと、クールに決まると思います。
SHARPが、世界初のトランジスタ方式の電卓を発売したのが1964年。
厚さ25センチ、重さ25キログラムで53万5千円(当時の自動車と同額)だったのが、どんどん薄く軽く安くなり、税込み計算や通貨換算、フィートやメートル換算など、時代に合った機能をつけ加えて、進化を続けていく。
これから、どんな電卓が登場するのか楽しみですね。
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