例えば、だらだらと同じ調子で続く職場の事務。
予想外の時間にメールが届き、締め切りが急な執筆の仕事。
わけのわからないうちに時間が過ぎて、思ったほど進まない家事。
……それぞれの時の流れが極端に違う感じで。
しかも……
いつも暢気な職場の同僚。
『カレー2人分余ったから取りに来て。午前中は内科、午後は膝のリハビリで、4時以降しか家にいません』とメールをよこす母。
電話をかけてきて、「今手が放せない」と答えると「3分後に電話します」と一旦電話を切り、きっちり3分後に電話してきた税理士の同級生。
「明日はフレックスやから、起きた加減で出勤する。起こさんでええから」と言う夫。
「明日の朝一番に見てもらえばいいや」と、原稿を夜10時にメールで送ると、『原稿ありがとうございました』のメールを夜中の12時半に返してくる編集者。
……いったい、誰の時間感覚に合わせていいのやら。
それでも、自分の時間感覚が、だんだん同級生の税理士に近づきつつあることは、感じています。
自分の時間も他人の時間も大事にしなきゃいけないと思うので。
これから、人工透析をしている義母を引き取り、数年かけて、執筆専業に仕事を切り替えていく予定ですが。
完全に執筆専業、在宅の仕事になると、家事や介護との時間配分が大変そう。
今のうちに、自分で時間の使い方のルールを決めておかないといかんなあ。
1日は24時間しかない。
時間配分だけで、仕事や家事の効率を上げるのには限界があります。
……そうなると、あとは集中力の勝負かもしれない。
仕事時間の集中力を最大に高めて、あとは集中力のスイッチを弱めたり、切ったりして、生活時間との折り合いをつけるしかなさそうです。
少し古い資料になりますが、『NHK「ためしてガッテン」脳もビックリ! 集中力アップ大作戦(2007年8月29日放送)』によると……。
集中する前は……
「自分が興味や関心のあるものは身近に置かない」
「好きな音楽を聞く、深呼吸をするなど、リラックスして「集中エネルギー」を高める」
「「絶対合格」「達成したらおいしいものを食べに行く」など集中ワードを口にする」
「自分が集中できた時の直前にやっていたこと(コーヒーを飲む、入浴)をするなどの「集中儀式」で脳の集中スイッチをオンに!」
集中している間は……
「定期的に休憩して、消費された「集中エネルギー」を再び補充する」
「「環境音(自然音のような脳を刺激しない一定した音)」で気が散る雑音を消す」
「集中力が切れそうになったら、クリアしやすい小刻みな目標と集中ワードを手書きした紙を見て脳を活性化」
……難儀やなあ。「集中する」のに、こんな面倒なことせんとあかんのか。
こういう「気合」やら「根性」やらがちらつく世界、苦手やねんけどなあ。
不安になってきた私が見つけたのは『日本大学文理学部』サイト。
その論文によると、集中力を高め、脳を覚醒させる脳内物質ドーパミンは、自分が興味のあることをしている時に出るらしい。
「じゃあ、やりたくない勉強とかに集中するって、やっぱり大変ですよね」と思われた方もあるでしょうが。
解決策はないわけでもないですね。
ドーパミンとは別の脳内物質TRH(やる気ホルモン)は、興味がないことでも、はじめてしまうと活発に分泌されるらしい。
このTRHで交感神経が興奮。
体を適度な緊張をもたらし、徐々に集中力が上がっていく……。
なるほど。
「集中状態に早く入れるドーパミン」と「徐々に集中状態になっていくTRH」と両方があるわけですね。ちょっと安心しました。
ちなみに、集中力が持続する時間は、約15分〜90分だそうですが。
『持続時間が短くても大丈夫である。例えば、自分の集中力の持続時間が5分だとしても、その5分の集中を繰り返せばいいのだ。これは、達成感にもつながるし、「この5分でこれだけやる。」と決めれば短期集中でき目標を設定すれば、どんどん効率を上げることが出来る』
……私のような「集中力習得初心者」にとって心強いアドバイスですね。
「パソコン前に座るやいなや、抜群の集中力を発揮」は難しいから、とりあえず「雑念が入らない状態を作っておいて、徐々に集中する」をめざしましょう。
同級生の税理士から「企業が休みで電話がかかってこんから、土曜日を「仕事の日」にして仕事に集中してる」という話を聞きました。
それにならって、私も、毎月の『デジタル版・知恵蔵』の仕事は、校正の日程が決まり次第、職場には有給休暇届を出すことにしました。
校正は、締め切りまでの猶予が最大でも24時間。
原稿が届く時間によっては、18時間切っていることも。
時間が短い分、執筆よりも集中力が必要なのです。
著者の私とプロダクション、出版社の間で、原稿添付メールが行きかう大事な日。
原稿の到着が夕方近くなので、以前は職場に出勤して、帰宅後に仕上げていましたが。
やっぱり、原稿の校正のことが気になってしまって、職場の仕事に集中できないので。
思いきって年休を取ってみると、気分的に楽になりましたね。
原稿を受け取るやいなや、すぐに校正にかかれて、1時間程度で送り返せるようになりました。
「集中力発揮」は、今後も大事な研究課題になりそうです。
ラベル:集中力