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2010年04月06日

手帳の理由

先日、いつものように、部屋で資料整理をしている時のこと。
 
夫が部屋に入ってきました。

「明日の午前中、墓参り行くからな。彼岸やし」
「わかった」

墓参りの予定を手帳に書いていると、不意に夫は言いました。

「なんで、お前は、いまだに手帳使うとんのや? 不便やないか?」
「はい?」

手帳を使っていて、不便を感じたことのなかった私は、唐突な質問にとまどうばかり。

「お前、いつも、ちまちま手帳書いとるけど。邪魔くさくないか?」
「……そうかなあ。でも、スケジュールだけ書いてるわけやないし」
「メモ機能使うたらええやんか。手帳みたいにかさばらんし、携帯は楽やぞ」

夫はCAD講師。
スケジュールを携帯電話で管理。授業の日程は、共有のgoogleカレンダーで管理されているので、携帯で確認します。

そういえば、簿記講師の妹も携帯電話派。
「授業の変更とかも校内のサーバーで管理してて、講師全員の予定も共有できるから、手帳より便利やねん」と言ってました。

ちなみに、私と夫の予定管理は台所のカレンダー。
昨年末からはじめた、月末にお互いの次の月の予定を書き込む習慣が定着して、便利になりました。

そうか。「予定の共有」の面では、手帳は不利かも。

しかも「時間管理」の面でも、「手帳が一番便利」とも言えない時があるようです。

最近、出席したセミナーで「ライターの時間管理術」の話がありましたが。
ライターのスケジュール管理は、「パソコン内のgoogleカレンダー」と、「紙のカレンダーを4ヶ月分並べて壁に貼りつける」の2派に分かれるようです。

「毎日使う仕事道具だからパソコンで時間管理」。
「書籍製作は長期間に渡るからカレンダー4か月分」……ということらしい。
私も本格的に執筆専業になると、そのうち「手帳を使わぬ人」になるんでしょうか?

夫に指摘されるまで気がつきませんでしたが。手帳じゃなきゃいけない理由って……。


多くの手帳ユーザーが挙げる理由、「手で書くのが楽しい」は、筆圧が高くて不安定な私には、全然あてはまらない。

先日のぞいたmixiの「主婦の手帳コミュニティ」の人たちのように、「スケジュールを手帳に書いて、すきま時間を見つけて自分の自由時間にあてる」とか「その日にできた家事を手帳に記録して達成感を味わう」

……というのとも、ちょっと違う気がする。

ビジネスマンの手帳のように、自己実現のために、夢の実現時期から逆算して、綿密なスケジュールを立てて、それを忠実に遂行……したいんだけどなあ。本当は。

スケジュールは組むけど「綿密」とは程遠いし。
「義母が狭心症で再入院」の、たった一本の電話がかかってきた瞬間、すべての予定が崩壊する特殊事情をかかえているからなあ。
私の場合。

……うーむ。なんで手帳なんだろうか?

そこで、私がなぜ、手帳を使うことになったのか、思い返してみました。

最初に手帳を買ったのは1998年。
たまたま出会った四柱推命の占い師の言葉がきっかけでした。

私は占い師に、名前と生年月日だけを告げ、「仕事を探していますが、何が向いていますか?」と尋ねました。
返ってきたのは予想外の答え。

「あんた、子供の時から作文ほめられてないかい? 文章書くのは天命だよ。天職なんて甘いもんじゃない。あんたがどんなに嫌がろうとも、天は無理矢理にでも、あんたに書かせるだろう」

……確かに、子供の時から、周囲に「この子は将来作家になる」と言われて育ちましたが。
それがたまらなく嫌でした。
私の目の前には、最初から、たったの一本のレールしかないみたいで。

占い師の言葉で、ようやく「宿命から逃れられない」と悟りました。

3年に1度勝機が巡ってくるので、それを逆算して準備。
一つずつ「確実に勝つ」ことで、時間がかかるけれども物書きとして大成する……そんなアドバイスをもらいました。

3年単位で一つずつ「勝つ」ためには……。

私は、1冊の安物のシステム手帳を購入。
綴じ手帳は、翌年に繰り越す予定を転記するのが面倒だったからです。

その当時は、「手帳術本」はありませんでした。
わけもわからず、付属のカレンダーリフィルに予定を書き、週間見開きダイアリー欄に、その日あったことを書く……
そんな我流の使い方。

保存している当時のリフィルは、予定が白紙に近く、ダイアリーも空欄ばかり。
それでも、時々「集中力なし、ウツ気味」「喘息で不眠、不安定」とありますから、よく思い出せないけど、何か真剣に悩んでいたらしい。

占い師が言った最初の勝機「1999年秋」。
『雨…アレルギーが治らない時』が、新風舎出版賞ノンフィクション部門最優秀賞を受賞して、『アレルギーと生きる』として出版された頃。

この頃からダイアリーの空欄も減りはじめました。
『東京の編集者と電話で1時間ケンカ、お互いに「最良のものを作りたい」点で一致して和解』とあるので、それなりにがんばっていたらしい。

2000年、喘息治療の病院が替わりました。
その日の体調や天候を記録した「喘息日誌」を書くことを義務づけられ、手帳に天候や体調を毎日記入する習慣が定着。

でも、スケジュールの立て方がわからず、あいかわらず、システム手帳は「半分日記帳」のまま。

2004年、文藝春秋ベストエッセイに選ばれて、「戦勝記念品」、ファイロファックスを購入。
この頃から、「手帳に日記ばっかり書いとったら、あかんやろう」と思いはじめました。
でも、どうしたらいいか、わからない。

2005年、『ventus〜風のごとく〜』始動。
本読みコラムで『システム手帳新入門!』の感想を書いたところ、偶然、著者で手帳評論家の館神龍彦さんからコメントをいただきました。

それがご縁で、手帳術を積極的に勉強しはじめましたが……いまだに、「決定的な手帳の使い方」が発見できていません。
あいかわらず、ダイアリー欄に『○月○日、青色申告今年度分伝票整理スタート』なんて、他愛のないことを書いていたりします。

……ここまで「自分と手帳」を振り返ってみましたが。
このまま私は、ずっと手帳を使い続けてしまうような気がしてきました。

……まあ、いいか。

……ということで、500番目のコラムは、一番リクエストの多かった「手帳」をテーマに書いてみました。
500もコラムを書くとは、私自身思ってもみませんでしたが、これも皆様の励ましのおかげです。

今後とも『ventus〜風のごとく〜』をよろしくお願いします。
ラベル:システム手帳
posted by ゆか at 15:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 文具コラム | 更新情報をチェックする
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