例えばソニーが開発した「MD」。
私の耳は「音がパキパキして辛い」とソニー製を拒否、シャープ製のMDを選んだ。
PCも買ったが、3回に2回メール受信に失敗する初期不良品。
サポートセンターとの1ヶ月の攻防と2回の交換もムダで、ついに解約返金で決着。
関連会社のソニー銀行やプレイステーション事業などは好調だが、本体のAV事業はひどい。
この本は、1995年から2005年までのソニーの10年を追ったもの。
グループ連結売上高3兆8千億円に対し有利子負債総額2兆円、悲惨な状態で社長に就任した出井伸之氏。
彼はAV機器事業をはじめ、ゲーム、映画、音楽、携帯電話、金融、プロバイダー……巨大組織と多様な経営資源を操り、株主の期待に応えて企業価値を高めようと努力した。
そして、創業経営者世代の大賀典雄名誉会長と、新技術開発でソニーを育てたOB。
ソニーの起業家精神の後継者で、プレイステーションを生み出したコンピュータエンターテイメント社長久夛良木健氏。
ブランドを守りたい社外取締役……
それぞれが「ソニーのために」と一生懸命なのに、なぜかグループ全体の業績は悪化。
2003年、大幅な株価下落「ソニー・ショック」を迎える。
これはソニーの人々が、ユーザーに目を向けていなかったことが原因ではないだろうか。
出井社長からソニーを託された、米国SONYのハワード・ストリンガーCEOと、中鉢良治ソニー・エレクトロニクスCEOは、大胆なリストラと経営投資を敢行した。
『IT Medeia News』2006年1月26日付の記事によると、ソニーは2006年3月期決算予想を、純損失100億円から純利益700億円に上方修正した。
液晶TVとプレイステーション・ポータブルの好調な売れ行きと円安の影響によるものだそうだ。
しかし、ユーザーをわくわくさせる新商品を次々に売り出す、昔のようなソニーに戻るのか、今のところわからない。
『ソニーとSONY』 日本経済新聞社編 日本経済新聞社
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