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2006年03月25日

『職人力』

著者の小関智弘氏は2002年までの50年間、町工場の旋盤工として働きながら、小説やノンフィクションを発表してきた人。薄暗い町工場の中、油まみれで肉体的にきつい仕事をしている男たちの優れた技術、知恵と工夫、仕事への誇りを、飾り気のない実直な文章で描いていて、新しい著書を読むたびに、いつも新しい発見をする。

『「ものづくり」とは「使用価値のあるものを作ること」』
著者の言葉は、最近氾濫する「ものづくり」という言葉に感じていた違和感を、すうっととかしてくれた。

今、製造業の最先端、町工場では、職人が勘と経験で、直径4メートルのパラボラ・アンテナを作り、100万分の1ミリ(1ナノメートル)制度の測定器を作る。

『技能はごまかしがきかない』
コンピュータ制御で、部品の製造過程は合理化され、技術水準は高くなる。
でも、部品の最後の仕上げや検品をし、製作機械本体のわずかな狂いや不調を見抜くのは、現場の人間の経験と、五感を駆使した「技能」だ。

今、懸念されている2007年問題。
団塊世代の定年退職で、製造業の技術技能伝承が滞り、国際競争力低下が心配されている。
『平成15年度ものづくり白書』によると、製造業全体の6割、大企業の8割が危機感を抱く。
団塊世代の退職は数十年前からわかっていたはずなのに、今更あたふたと再雇用や定年延長を行う企業も多い。

だが、なぜ、今まで技術技能伝承がされてこなかったのか?
団塊世代の定年を延長しただけで、本当に問題は解決するのか?
今までとは違う、もっと抜本的な解決方法が必要ではないのか?

『技術者だけで、最先端の製品はできない。技術者の夢や考えを、実際に形にできる優秀な技能者が必要だ』……デンソー技術センター所長で、デンソー工業短期大学校校長の生駒昇氏の言葉だ。

団塊世代の定年を延長しても、あと5年か10年。
技術技能伝承のための時間は残り少ない。
間に合うだろうか。


『職人力』 小関智弘著 講談社
posted by ゆか at 10:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 本読みコラム | 更新情報をチェックする
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