この話を私に持ちかけてきたのは、同門の合気道家のKさん。
「おかげおじさん」とは、2児の母で40歳の主婦だった彼女を、たった3ヶ月で起業家に変えた経営コンサルタントです。
とりあえず「おかげおじさん」のブログを見ることにしました。
環境や健康、女性問題に造詣が深く、驚くほど広い人脈をお持ちの方です。
「女性が幸せになることは、社会全体、地球全体にとってすばらしいこと」
……その考え方には大賛成です。
「おかげおじさん」の肩書きは、『経営コンサルタント、心理カウンセラー、健康アドバイザー、生き方セラピスト』か。
その人からは、人生の岐路に立つ今の私が、どう見えるのかなあ。
お目にかかったら、何かヒントがもらえるかもしれない…… 。
Kさんに「おかげおじさん」に連絡をとってもらい、喫茶店でお話しました。
白髪の温厚な紳士「おかげおじさん」は、私の作品を丁寧に読んでくださいました。
「すごいなあ。国文卒の島村さんの文章。古文の血を引いた正統派ですよ。しかも鋭い」
「でも、時々「体言止めが多過ぎる」って、依頼主から苦情がきます。今の文章に慣れた編集者って、「体言止め」は、なんでもかんでもダメだと思ってるようで、困ります」
「「体言止め」ってなんです?」と、話をさえぎるKさん。
私は簡単に説明しました。
「例えば、芭蕉の『古池や蛙飛び込む水の音』という句があって、最後が「音」で終わってるでしょう。こんなふうに、最後が名詞で終わる文章が「体言止め」なんだわ。和歌や漢文は、この「体言止め」を多く使うことで、歯切れのよさや、音の美しさを出してたんだけど。明治の半ばに、ヨーロッパから「小説」が輸入されてきて、それまでの、和歌や漢文の血を引く文章は、「古く劣ったもの」扱いされて、廃れていったわけ」
「でも、古文のリズムは、万葉の昔から、日本人の細胞レベルでなじんでいるものですから。たかが百年では消えません。だから、みんな、あなたの文章にひきつけられる」
「私も、島村さんの文章のファンなんですよ。ブログの文章、ものすごく多いのに、なぜか、すっと入れて、全部読めてしまうんです。それは、古文のリズムのせいだったんですね」
Kさんにほめられると、照れるなあ。
ここで「おかげおじさん」は話を元に戻しました。
「島村さん。とりあえず、今の事務の仕事をしながら、執筆の仕事を増やして、SOHOで校正や編集の仕事を勉強しましょう。お姑さんの介護もありますから、少しずつで。でも、あなたが、その文才を最大限に発揮するには、有能なマネージャーが必要です」
「わかります。普通は、自分で一軒一軒、出版社に営業して、仕事を取るんですが。私は手数料払ってでも、そのエネルギーを、いいものを書く方に回したい。だから、東京ライターズバンクに登録したし、文具本の企画は、あえてプロダクションに任せました」
「それで正解です。しかし、本当は「あなたのマネージャー」が必要です。日本の将来を真剣に考える見識の高さと、熱意を持った、あなたとともに成長する、志の高い若い人が」
「そんな人、おるんかなあ?」
顔を見合わせる、私とKさん。
「おかげおじさん」は、にこにこしました。
「あなたが本気で動き出したから、いずれ、その人は現われるでしょう。私の知り合いで、劇団座長で出版社を経営している人がいますが。彼女なら、心当たりがあるかもしれない」
……ということで、後日、その方に引き合わせていただくことになりました。
うーむ。人生、何が起こるかわかりませんね。
本当にありがたいことです。
ラベル:コンサルタント
でも、感覚で良い文章はわかるよ〜♩
ベントスと共に島村由花先生のこれからに期待大!大!です(*^^*)