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2010年08月07日

『転落』

ホームレスとおぼしき人を見かけることがある。

 
白髪混じりの伸び放題の髪、薄汚れた服を何枚も重ね着して、たくさんのスーパーのポリ袋を抱えて路上をさまよう姿。

それを目の端で追いながら、「ああ、私はホームレスになれないんだ」と溜息をつく。

私は、薬がなければ日常生活のできない中等症持続型喘息患者。
喘息の発作止めは、医者の処方箋がなければ手に入れることができない。
家賃を滞納して路頭に迷うより先に、健康保険料が払えなくて、喘息薬が買えずに、喘息で死んでしまう確率の方が高いからだ。

著者は、ホームレスを15年取材し続けているフリーライター。
この本は、100人のホームレスにインタビューして、「いかにして人はホームレスに転落するか」、その社会的背景に迫ったもの。

興味深いのは、インタビューした結果が、そのままデータベースになるところだ。

「ホームレスになる前、経済的に、どの階層に属していたか」への回答が富裕層11人、中流層40人、貧困層34人、富裕層から貧困層への零落が3人、不明が12人。
……中流層4割という数字は予想外だ。

原因は「居候を受け入れない家族」「コミュケーションの下手な人間を排除する社会」
……日本の社会の変容も影響しているようだ。

「元暴力団」「自衛隊を除隊した後就職できなかった」「土建屋で仕事がなくなった」
……なるほど。そういうケースもあるのか。

「最終学歴が低く定職につけない」「借金」「ギャンブル」「アルコール」「ケガ・病気・障害」
……人がホームレスになるのには、意外に「特殊な理由」はないらしい。

今のホームレスには、わずかでも社会とのつながりを保とうと、身ぎれいにしている人も多いそうだ。

しかし「未婚37人、同棲3人、死別2人、離婚26人、別居中5人」のデータを見ると、一般人とホームレスの分岐点は「コミュニケーション能力の高低」なのかもしれないと思った。

この能力は私も低い方だ。
なんとかしなければ。


『転落』 神戸幸夫 著 アストラ
タグ:ホームレス
posted by ゆか at 08:36| Comment(2) | TrackBack(0) | 本読みコラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
タイトルに、まず考えさせられました。

「転落」。
普通に社会生活を営んでいる人からみれば、正しくそうですよね。
自分も、そう思います。

ただ、当のホームレスの人はどう思っているんだろう?と。

今の自分を”落ちた”と思っているのか。
それとも、解放されたと?

認めたくない思い。
素直になれれない感情。
様々な障壁があるでしょうが、インタビューでそうしたところまで掘り下げてくれているのであれば、是非読んでみたい。

そう思った次第です。

それにしても…。
いつも思いますが、お体ご自愛くださいね。

Posted by MOLTA at 2010年08月07日 11:20
 私もタイトルにドキリとさせられました。

 単に失業や無職というのではなく、コミュニケーションの問題とは、未婚や離婚の数が多い点からもうなずけます。
 私は実は合気道をしていることも妻には秘密にしていて、ばれたら離婚か合気道かという選択しか想像できない立派なコミュニケーション下手です。

 
Posted by たくし at 2010年08月08日 17:04
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