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2010年08月17日

奉納演武(後編) 合気会と極真会館

演武会場では、30人ほどの観客が、椅子に腰掛けて待っていました。

しかし、舞台には畳がない。
倉庫に畳を取りに行くところからスタート。
まさか、神社の奉納演武で、自分たちで畳を敷くことになろうとは。

畳は全部で6枚。
やっぱり舞台が狭い。

私たちが手分けして畳を舞台に敷いていると、空手着を着た若者たちが現われました。

代表らしき30代の黒帯の男性が、先生に近づいてきます。

「我々が畳をおさえますので、心おきなく演武してください」
「ありがとうございます。私たちも去年同様、演武のお手伝いさせていただきます」

にこにこしながら、先生は答えました。

去年の奉納演武に参加した若者によると、この方々は極真会館大阪中央支部の皆さん。
去年も、合気道の演武の時に畳をおさえてもらい、そのかわり、先生と彼は空手の板割り演武のお手伝いをしたそうです。

「まさか、突きで板割ったりするの?」
「ちゃうちゃう。板持つ方や。板支えるのに男手いるからな。……まあ、ギブアンドテイクってところやな」

にやりと笑う若者。

畳を敷き終わり、いよいよ合気道演武の開始です。

舞台の四方に、空手着を着た屈強な若者が一人ずつつき、畳をおさえる異様な光景ですが、これは仕方がない。

まず、全員が舞台に横一列に並び、観客の方に向いて正座します。
客席には私の両親や、経営コンサルタントの通称「おかげおじさん」の姿も見え、なんだか緊張してきました。

「正面に礼!」

先生の号令で、6人が「お願いします!」と観客に挨拶。

そして、先生以外は一旦、舞台後方の控えの間に下がります。

先生はマイクを片手に、合気道について簡単な説明をした後、若者と年配者の名を呼びました。
若者と年配者が舞台に出て、お互いに向き合い、座礼をします。

「まずは、合気道の基本の型「体(たい)の転換」です」

これは、相手の側面に一歩入って、反転する合気道の基本の動きですが……すり足で移動するため、やっぱり畳がずれてきます。
でも、空手の皆さんが、ずれた畳を即座に合わせて元通りにしてくださる。
「畳の隙間に足がはさまって捻挫」を心配しなくてすむのが、ありがたい。
あとは、舞台の四隅にある赤い柵への激突だけ避ければ、なんとかなりそう。

頃合いを見計らって、先生は「やめ!」と二人に声をかけます。

元の位置に戻った若者と年配者に、先生は再び「片手取り四方投げ。はじめ!」と声をかけ、次の技がはじまりました。
これは片手をつかみに来た相手を投げる技。

続いて「座り技正面打ち一教」。
これは横浜の女性有段者二人。
正座をしたまま、手刀で額を打ってくる相手の腕を捕らえ、関節技をかけるもの。
女性特有のしなやかさを生かした美しい動き。
さすがは二段。 

さらに、若者と年配の有段者の荒々しい演武「立ち技正面打ち二教」。
立った状態で、手刀で額を打ってくる相手の「二教」という関節技で制するもの。

そして、私の名前が呼ばれました。

「後ろ両手取り三教。はじめ!」

相手は有段者の若者。
この技は、若者が私の両手を後ろからつかみにきます。
それをすりぬけるようにして、「三教」という関節技をかけるもの。

固め技は投げ技と違って、相手を舞台から転落させる恐れがないので、安心して演武できます。

「立ち技正面打ち四教」は横浜の女性たち。
これで、「一教」「二教」「三教」「四教」と合気道の基本関節技の紹介が、一通りできたことになります。

横浜の女性たちが舞台に残っているところで、私の名前が呼ばれました。

「合気道は自分から仕掛ける技がありませんが。普段はこんな稽古もしています」と、先生の説明があった後、指示された技は、3人並んでの「後ろ受け身」と「前回り受身」

……狭い六畳の舞台で。

これは間合いを読み違えると、お互いに激突してケガをしかねない。
そこで中央の私だけが、左右の二人と一拍タイミングをずらして受け身を取り、なんとかこなすことができました。

関節技「正面突き小手返し」は若者と年配の有段者。

続く「正面打ち入り身投げ」は私と若者の組み合わせ。
この技は本来「華麗なる飛び受け身」が見せ場なのですが。
安全のため、後ろ受け身を取れるように間合いを微調整。

演武の技は、ぶっつけ本番でもできる基本技ばかり。
「回転投げ」のような「転落の危険性がある前回り受け身をしかできない技」を省いた構成のようです。

木刀を振り下ろしてくる相手をさばいて、木刀を取り上げる「太刀取り入り身投げ」は横浜の女性たち。
木刀を使い慣れているらしく、きれいな剣さばきです。

最後は、先生と若者の自由技の演武。
狭い六畳のスペースを縦横無尽に使って「正面打ち入り身投げ」「正面突き小手返し」「片手取り四方投げ」など、気迫のこもった力強い基本技を披露。

奉納演武のクライマックスらしい演出です。

先生の演武が終わると、再び全員で横一列に並んで、客席に向かって正座。

「正面に礼!」

先生の号令で「ありがとうございました!」と、全員で客席に座礼しました。

客席から拍手が巻き起こり、無事に演武終了。

一方、極真会館大阪中央支部の演武は……

十数人の空手家が、狭い舞台にひしめき合って並びます。
全員が立ったまま、胸の前で腕を交差させ、「押忍(おす)!」と頭を下げながら、腕を下ろす空手の挨拶。

まずは空手の型。
一糸乱れず繰り出される、気合の入った正拳突きは迫力があります。

そして板割り演武。
1人の演武者を3人の板を持った人が囲みます。

鋭い気合とともに繰り出す蹴りで、板は瞬時に真っ二つに。

この時、両手で板を持つ人に大きな衝撃が加わります。
武道で鍛えた腰の座った男性でないと、板を支える役目はできない。
それで先生と若者が選ばれたわけです。

それに、合気道家は袴を脱ぐと空手家と同じ姿で、空手の演武に出ていても違和感がありません。

それにしても、女性でも蹴りで板を割れるとは驚きました。

手刀でブロックを割ったり、バットを折ったり、頭突きで瓦を割ったり。
やっぱり、間近で見る空手の破壊力はすごい。

最後に全員が舞台に上がって、再び空手の「押忍!」の挨拶で演武が終了。

またも拍手が巻き起こります。

「剛」と「柔」

……合気道とは対照的な演武でした。

演武が終わった後、極真空手の皆さんと私たちは、お互いの演武の成功を喜び合い、「また来年も、ここでお目にかかりましょう」と挨拶して、笑顔で別れました。

こんな他武道の方との交流も、奉納演武ならではのものかもしれません。

確かに「めったにない」楽しい体験でした。
来年も出たいですね。
タグ:合気道 空手
posted by ゆか at 15:43| Comment(1) | TrackBack(0) | 武道系コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
たくし改めコハントです。
奉納演武は大成功ですね、おめでとうございます。六畳の広さでも工夫次第で色々できるのですね。
スゴいなぁと思いました。

集中力と日頃の稽古の賜物ですね。
Posted by コハント at 2010年08月17日 22:13
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