豊中池田ケーブルテレビの特別番組『平成22年がんがら火祭り生中継!』。
毎年8月24日に大阪府池田市をあげて行われる火祭りですが、放送エリアが拡大され、池田市民、豊中市民のほかに、今年から、吹田市民もテレビを通して、この火祭りを楽しむことができるようになりました。
「がんがら火祭り」の歴史は360年。
池田の人たちが建立した池田愛宕神社。
京都愛宕神社を勧請して建立された星の宮神社。
8月24日は、この二つの火の神様を祀る神社の氏子たちが、家内安全を願って、同時に池田市内で繰り広げる火祭りの日。
城山町地区(池田愛宕神社の氏子)の人々は、池田の五月山西側に、池田愛宕神社の御神火で「大一」文字を点火。
黒の大工装束の男衆が、御神火を点した大松明を担いで、半鐘や八丁鐘を「がんがら」と鳴らしながら、池田市内を練り歩きます。
一方、建石町地区(星の宮神社の氏子)の人々は、京都愛宕神社からいただいた御神火で、五月山東側に「大」の文字を点火。
子供たちが火を点した松明をかかげて、五月山から、ふもとの星の宮神社まで下り、御神火をお納めします。
今年の火祭り生中継は、例年通り、司会は一昨年去年と同じ女性タレント。
解説者に城山町の「大一文字がんがら火保存会広報係」の男性。
そして、もう一人、「大文字保存会役員」の年配者。
星の宮神社の氏子で、建石町の火祭りに長年携わっていた方。
去年までは、城山町の火祭りの解説者だけで進行していた番組でしたが。
もう一方の火祭りの主役、建石町の解説者が入ると、バランスのとれた番組構成になりそう。
ここで、最初のゲスト、池田青年会議所理事長が登場。
池田市役所付近で行なわれている「いけだ・いらっしゃいフェスティバル」を宣伝します。
「今から来ても間に合います」って。
池田市民は間に合うかもしれんけど。
豊中市民や吹田市民は間に合えへんで。
さて、いよいよ「がんがら火祭り生中継」のスタート。
まず、去年の映像のダイジェスト。
……でも、これって必要かなあ。
これから今年の祭りの中継をするのに。
次に、地図を使っての城山町の「大松明巡行」のルート説明。
五月山山中の池田愛宕神社からいただいた御神火で、五月山西側の中腹に「大一」の火文字を点火。
その後、御神火を点した小松明が山を下り、池田旧市街「油かけ地蔵前」で大松明に火が移されます。
そして、池田市内を巡り、最後は愛宕神社を祀った「がんがら火作業場」に火を納めます。
VTRは午前中に池田愛宕神社で行われた「御神火の神事」。
まず、修験道の山伏たちによる護摩焚きの儀式。
ほら貝を吹く若い山伏。
空に矢を射る山伏。
柴の山に祝詞をあげる愛宕神社の宮司。
そして、山伏が柴の山に点火。
めらめらと燃え上がる炎。
もくもくと立ち昇る白煙。
この御神火が大松明に移されて、池田の町を巡るのです。
続いて、建石町の火祭りの説明。
毎年5月半ばに京都愛宕神社からいただいて、祭り当日まで星の宮神社で保管していた御神火で、五月山東側の中腹に「大」の火文字を点火。
その後、御神火は五月山ふもとの「山の家」で待機していた子供たちの松明に移され、山を下り、二つに分かれて池田市内を巡り、最後に星の宮神社に納められます。
VTRは星の宮神社。
青いハッピ姿の建石町の子供たち120人が境内に集合。
火のついていない青竹の松明を一本ずつ持ち、八丁鐘を鳴らしながら五月山をめざします。
一方、昼間の池田愛宕神社の映像。
黒い大工装束の若衆が神主のお祓いを受けた後、小松明に御神火が移され、「大一文字がんがら火」がスタート。
ここで、二人目のゲスト登場。
倉田薫池田市長。
去年「がんがら火祭りを大阪府指定無形文化財へ」と語りましたが、今年実現しましたね。
模型を使った城山町の大松明の説明。
建石町の提灯の工夫。
城山町の子供松明と建石町の子供松明、それぞれの松明の構造の違い。
城山町の松明の製作現場VTR。
……やはり、両方の町の解説者が揃うと、資料が豊富で、祭りが立体的に捉えられるような気がします。
場面は変わって、建石町の火祭り。
五月山の中腹に浮かぶ「大」の火文字。
星の宮神社の御神火を、神妙な面持ちの子供たちが、一人ずつ自分の松明に火を移してもらいます。
鳴り響く八丁鐘。
暗い山道を列になって降りていく、120のオレンジの炎。
一方、城山町のがんがら火は……
五月山ふもとの油かけ地蔵前。
御神火は、若者が担いできた小松明から大松明へ。
大工装束の男衆が、勇ましい掛け声とともに、大松明を持ち上げます。
夜空を赤く照らす大松明が2本、天を指すように立ち上がり、先端が棒状の武器「さすまた」で上部を固定されて「人」の字が完成。
6本の松明が一対で3基、松明を「人」の字に組み合わせたまま、人間が担いで町を練り歩くのです。
松明を持ち上げる人、綱で松明を引く人、さすまたで松明を固定する人……1基あたり十数名の男衆がかつぐ大松明。笛と声で松明の動きを指示する「しんもち」は、すべてのパートを経験したベテラン。
飛び散る火の粉で、火傷をしても髪の毛が焦げても、黙々と松明をかつぐ男たち。
……女性が入る余地のない「男の世界」です。
道幅の狭い池田旧市街を、小松明を持った子供たちと、半鐘を鳴らす若い女性たちに先導されて、ゆっくりと進みはじめた大松明。
今年は担ぎ手の数が増え、安定した動き。
その頃、建石町の子供たちは星の宮神社へ。
境内の「大」の字に並べられた竹の松明。
そこに火を移した後、松明を神前に納める。
子供たちの火祭りは、これで終りです。
そして、池田市役所前大通り。
大松明が到着……今年も松明の燃え方が激しく、4メートル近くあった松明は半分に。
頭上に容赦なく降り注ぐ火の粉をものともせず、男衆たちは松明を組み合わせます。
無事に3基6本の松明が一つになりました。
激しく飛び散る火の粉。
暗い夜空を焦がす赤い炎。
広がる黒煙。
大通りを埋めつくした人々の歓声。
城山町の火祭りのクライマックス。
ここで松明は横倒しにされ、新たな松明に火を移されます。
その間に、司会者は松明を担ぐ二人の男性にインタビュー。
二人とも顔が煤だらけ。
「最後までいい奉納ができるよう、がんばります」と語る精悍な男性。
もう一人はドイツ人青年。
奥さんが池田の人。
「とても面白いです」と流暢な日本語で語ります。
意外にインターナショナルな祭りですね。
そこへ現われたのが大工装束の郷土史家。
毎年番組の解説をしていたのに、今年は姿がないと思ったら、祭りに参加していたんですね。
「大阪府指定無形文化財になったのを機会に、新しい気持ちで祭りを続けてほしい」と語ります。
やがて、大松明付け替えが終了。
勢いよく炎を吹き上げる大松明が去っていくと、池田市役所前は再び闇に包まれます。
暗い路上に殺到する人々。
松が燃えた「消し炭」を拾って持ち帰り、家内安全のお守りにするためです。
その姿を見ながら、建石町「大文字保存会」役員は言いました。
「いやあ。今日は感動しました。私は、毎年ずっと建石町の火祭りの方に携わってきたので、城山町の松明を見たのは、今日が初めてなのです。すごい迫力ですね。今年、がんがら火祭りが、大阪府指定無形文化財になったのを機に、これからは、お互いに交流を深めながら、よりすばらしい祭りにしていきたいですね」
「ぜひ池田に来て、生の火祭りを楽しんでほしいですね。火の燃える熱さ、松の焼ける匂いや、ぱちぱちとはぜる火の粉の音など。テレビでお伝えできないものも多いんです」
しめくくりは、城山町「大一文字がんがら火保存会」広報係。
毎年趣向を変える生中継。
来年も楽しみです。
ラベル:祭り
ずいぶん大きなお祭りなのですね。
火の粉なんか見ると、ぞくぞくするのは何故なんでしょう。
私の地元は青森市ではないのですが、「ねぶた」と類似の「大湊ねぶた」というのがあるんです。
夏の夜に響く太鼓の響きは、魂まで奮わせるようです。
全国各地にいろいろなお祭りがあるっているのは、やっぱり人が欲しているのでしょうね。
松明の担ぎ手は、広報などで募集もするようですが、異国の方も参加してたのには気づきませんでしたね。
今年は、始めて甥っ子達(5歳と3歳)も参加して眺めてましたが、さてどういう思い出になって残っていくのやら。
いつか、「担ぎたい」って言い出すかもしれないと、ひそかに期待はしています(笑)