ある人に、そう言われた私は、動揺しました。
確かに「今年は電子書籍元年」とは言われているけれども。
まだ、キンドルかiPadか、どちらの規格が主流になるか、わからないし。
両方とも、まだ日本語対応していないし。
まだ時期が早いんじゃないかな。
ところが、つい先日、『関西ライター勉強会』事務局からメールが来ました。
『電子書籍出版するまでのHOW TO講座のご案内』。
案内を読むなり、私は即座に「出席希望」のメールを返信しました。
このチャンスを逃がす手はありません。
『関西ライター勉強会』とは、『関西ライター名鑑』に登録しているライターが、持ち回りで自分の得意分野について語り、お互いに勉強し合ってスキルを高めていく催しです。
今回の出席者は30人ほど。
いつもより若者が多く、パソコンやiPadを机の上に広げている人もいます。
司会進行役のライターが「この中で、電子書籍を出したことのある人?」と質問すると、誰も手をあげません。
「電子書籍を出してみたい人」が私も含めて7人。
「電子書籍を買ったことがある人」が3人。
「「アプリ」という言葉がわからない人」が6人。
……なんだ。私だけがわかってないわけじゃないんだ。
ちょっと安心しました。
電子書籍は「本のようにめくることができる」。
かさばらない、劣化しない、絶版がない。
コスト、場所、時間の制約がゼロに近く、価格は普通の書籍の半額から3分の1程度。
文字を大きくしたり、動画とリンクしたり、BGMを流したり、多彩な演出もできる。
しかも、書き直しも簡単にできる。
……思っていたほど、悪くないものかもしれない。
今回の講師は自動車ライターの佐藤・広幸氏。
先日、エッセイ集『ドイツ魂』を、アプリ(コピーできない形式)で、iBookStoreから電子出版した方です。
今、一番アクセスの多い電子書籍販売サイトは、Apple社のiBookStore。
しかし、出版契約には法人格と英語のスキルが必須なので、電子出版代行業者の力が必要。
Apple社が指定した7社の中では、Smashwords社とLulu社が日本語の電子書籍に対応していますが、まだ縦書きやルビは対応していません。
佐藤氏は、まず原稿をWordで作成。
日本で電子出版代行業者と取引している電子出版登録業者を探しました。そして、登録業者と契約。
データのアプリ(epab形式)への変換、電子書籍のデザイン、登録申請手続き、Apple社への英訳紹介文を含めて、当時は1ページあたり800円。
この時は100ページだったので8万円。
電子出版と紙媒体出版と違って、最初にライターがお金を出さなければ出版できません。
電子書籍製作に2週間、Apple社の審査(アダルトやApple社を批判したものは不可)に2週間。
データを送った側は発売を待つばかり。
印税はApple社の手数料を差し引いても価格の70%弱。
紙媒体の印税が価格の7〜10%ですから、紙の書籍の価格の半額で電子書籍を売っても、収入が紙媒体より多いことになります。
印税は紙媒体が半年単位で支払われるのに対し、電子書籍は締めが1ヶ月ごとで、佐藤氏の場合、月々5万円ほどのお金が振り込まれてくるそうです。
……ということは、初期投資8万円でも、2ヶ月で回収できてしまう計算になりますが。
「出版社が電子出版に及び腰の今が、ライターにとってチャンスです」と、登録業者もご紹介していただいていますが。
……まだ決心がつきません。
どうしたもんでしょうかね。
ラベル:電子書籍