その一方で「アメリカの仕事のできるビジネスマンは、日本人より残業している」という噂も聞く。
どっちが本当なんだろう?
最近、自分で仕事時間を裁量できるライターの世界でさえ、「自分の能力を時給換算して、それに見合った仕事をすべき」、「400字詰めの原稿用紙1枚を何分で書けるか把握するべき」と、セミナーで教えられる。
やはり、長時間仕事をすることは「悪」であるらしい。
この本の著者は対米進出コンサルタント。
日本に蔓延する「残業悪玉論」に真っ向から反論したのが、この本だ。
著者は、残業を「他人にやらされる「悪い残業」」と「明日の自分をつくる戦略性の高い「よい残業」」に分け、「よい残業(私的残業)」を勧めている。
「残業の効率を上げるために、徹夜は避ける。できる限りよく寝る。無理を重ねない。帰りに飲みに寄らない。空腹で仕事しない」
「「底だまり(優先順位が低いために後回しにされている仕事)」がストレスを生むので残業で一気に片付ける」
「日中の作戦本部(仕事に集中できる喫茶店など)を持つ」
「残業を通じて上司から仕事のコツを教わる」
「無人のオフィスで、電話をかけて人脈をつなぎながら仕事をする」
『もしどんなに工夫しても私的残業が楽しくならないのであれば、そもそもあなたのいる会社があなたの夢と希望に合っていない可能性がある。そのときは「辞表を出して次へ行け!」である』
……なかなか単純明快だ。
これだけ会社を徹底的に自分のために利用する思想は、見習わなくてはいけないな。
この本のあとがきで、著者は『残業ができる人は限られている』と、99歳の実母の介護のために、シナリオ作家の仕事を断念した自分の母の話を紹介している。
『母よ。おれもあなただけはかなわねえ』
ビジネスマンも、仕事一辺倒ではすまない時代になってきているのかもしれない。
『プロの残業術。』 長野慶太 著 草思社
ラベル:残業
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この方の本は、以前「部下は育てるな、取り替えろ」という扇情的なタイトルの本以来のファンですが、取り上げていられた本は見逃していました。
早速探してみます。
ありがとうございました。
ちなみに、「部下は…」の書評は、拙ブログにUPしております。
よろしければ、ご一読を。
さすがに転職はできませんが。
仕事と介護の問題、考えさせられます。
私も3年前に父と祖母が入退院を繰り返していて大変でしたが、今ほど仕事がキツくなかったので、なんとかなりました。