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2010年12月18日

合同研鑽会(後編) 邂逅

今年の研鑽会の参加者は、45団体500名弱。

 

つまり他道場の方が、たくさんいるわけです。

出稽古先の年配の有段者が、「すごく上手な人だから、ぜひ稽古するといいよ。勉強になると思うよ」と薦めた吹田の道場の女性高段者とは、ぜひとも稽古してみたい。

そして、もう一人、ぜひとも今回の研鑽会で稽古してみたい方がいました。
大阪市内の道場に通う3段の男性。
実は、まだお会いしたことがありません。

twitterのフォロワー(つぶやきを聞く人)。
奥さんも合気道をされていて、息子さんは初段だそうです。
我が家が『黒帯夫婦』なら、あちらは『合気道一家』。
面白い組み合わせです。

『ぜひ一緒に稽古したいですね。合気道に対する認識が変わりそうな気がします』という書き込みに、「うわぁ、えらい期待されてるなあ。実際稽古して、がっかりされたらどうしよう」と、思わずパソコン前で頭を抱えたりしました。

去年と同様、たぶん、合同研鑽会は500人近い参加者がいるから、こちらからは相手を見つけられない。
むこうにしても同じでしょう。しかも、私の筆名と本名、つまり道着の肩の名前は違う。

『目印に花火でもあげますかね』という、冗談か本気かわからないパソコン上のつぶやきをながめながら、溜息をついたりします。
ちゃんと探せるかなあ。

さて、関西合同研鑽会の当日。
私は武道館の柔道場へ。

とりあえず、お勧めの「吹田の女性高段者」は、関西の合気道界では有名な方だから、すぐにわかりました。
準備係として、マイクやビデオカメラの調整をしている袴姿の髪の短い小柄な女性。
まず、この方をマーク。

あと、問題はフォロワーの彼だな。

私は袴姿の人で埋め尽くされた武道館の観覧席を見つめました。
この大勢の人の中に、間違いなく彼はいます。
でも、どんな方かは全然わからない。

『目印に茶色のカーディガンを羽織っています』と、twitterでつぶやいておいたけど……
ちゃんと見つけてくれるかなあ。

稽古が始まりました。
例年と同じように、一人あたり畳半畳ほどのスペースしかないので、とにかく狭い。
芋の子を洗う状態で、当然、派手な投げ技をかければ、人間同士が激突して怪我人が多数出ます。
「安全を最優先にしてください」という注意が、今年も道主先生から直接出されました。

まず、女性高段者と一度だけでも稽古しなければ。
道主先生の間近で演武を見学されておられる女性を目指して、私は袴の人々をかき分けながら前進……ところが。

「お願いします!」

他道場の白帯の若者に声をかけられました。
「どんな相手とでも稽古できるのが黒帯」とされているので、黒帯は相手から声をかけられたら、断ってはいけないのです。

とりあえず、白帯の若者と稽古。
その最中、受身を取っている私の上に、投げられた別の有段者が飛んできて、頭同士がぶつかり、一瞬目から火花が出ました。

「すみません! 大丈夫ですかっ!」

動揺してかけよってきた若者に、私は「直撃ははずしたので、大丈夫です」と冷静に答え、そのまま稽古を続けました。

ぶつかった場所は左側頭部。
少々ズキズキ痛む程度で……おそらく、たんこぶができて全治3日ぐらい。
その程度のトラブルは「怪我」とは言いません。(実際、全治3日のたんこぶでした)

白帯の若者と稽古が終わると、次は若い女性の有段者、その次は初老の有段者……いずれも他道場の方ばかり。
「狙われてるのか? 私」と思うぐらい、一直線に私を目指して声をかけてこられます。
いずれも上手な方ばかり。

……それにしてもフォロワーの彼は、どこにいるんだろう……

技が変わるたびに、稽古相手が変わります。
私は稽古を続けながらも彼を探しました。
おそらく彼も懸命に私を探していることでしょう。
そうこうするうちに、研鑽会も終了の時間。

……残念。時間切れか。

研鑽会自体は、レベルの高い相手とばかり稽古したので勉強になりましたが、結局、女性高段者ともフォロワーの彼とも稽古できませんでした。
楽しみにしていたのになあ。

家に帰るやいなや、パソコンに向かい、twitterにログインしました。
すでに彼のつぶやきが書き込まれています。

『すみません。後輩たちとも一緒に探したのですが見つけられませんでした』

ああ、ご本人だけでなく、同門の後輩の方たちも、一緒に私を探してくださったのか。申し訳ない。

『今回は残念でしたが、来年はぜひ一緒に稽古しましょう。後輩ともども楽しみにしていますよ』
『そうですね。来年、また武道館でお目にかかりましょう』

来年は、今回の失敗をふまえて、フォロワーやマイミク(mixiの友人)といった「まだ見ぬネット上の合気道家たち」とも稽古しやすいように、何か目印を作らないと。
たぶん、来年道着を新しく買うので、mixiとtwitterの共通ハンドルネームの『科戸の風』を、ブルーの字で肩に刺繍しておこうかな。

ちなみに『科戸の風(しなとのかぜ)』とは、『古事記』『日本書紀』に登場する級長戸辺命(しなとべのみこと)が吹かせる風の異名で、災いを吹き払う風。
あまり私にはふさわしくないハンドルネームかもしれませんが。

今回は、お目当ての方とは一緒に稽古できなくて残念だったけれど。
合同研鑽会の新たな楽しみを見つけたような気がします。
ラベル:合気道
posted by ゆか at 09:54| Comment(1) | TrackBack(0) | 武道系コラム | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
袴の腰板のことで、コメントいただいたてんぷうです。
島村由花さんてどこかで聞き覚えが・・・と思って、ホームページアドレスをクリックしてみましたら、ずっと以前お気に入りに登録してあったサイトで、びっくりでした。
最近は訪れていませんでしたので、ピンと来なかったみたいです。本部にいらっしゃるようなことがありましたら、ぜひご連絡下さい。一緒に稽古できたら嬉しいです。
Posted by てんぷう at 2011年03月09日 12:29
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