この本の著者は某大手出版社の営業職。
私と同年代だ。
この本は、超高額な退職金に魅かれて早期退職優遇制度に自分から志願し、退職までの2ヶ月をブログで実況したもの。
出版業界の内幕について、どのぐらい暴露されているんだろう?
わくわくしながらページをめくりはじめた私……
だが、この違和感はなんだろう。
リストラが進む会社の現実と、著者の間に、分厚いすりガラスが挟まっているような印象は。
私が一つの会社が音をたてて壊れていくのを、間近で見た経験があるからなのか。
(『倒産するとどうなるか』参照)。
「ブログを同じ会社の人が見るかもしれない」と意識しているせいか、出版業界の内実も、あまり書かれていない。
『僕はこの「表現衝動をマネタイズして生きる」という仕事も好きだけど、いっぽうで「従来の業界からできるだけ遠くに行かなきゃ」とも思う。切実に』と退職1週間前にブログに書いている状態。
……著者は、あまり自分の将来を真剣に悩んでいるようでもない。
普通「40代、独身、無職」となると、もうすこしあせるものだが。
一生働かなくてもいいぐらい退職金が高額なのか?
最初から、ベストセラーが見込まれる書籍化を前提にしたブログだからだろうか?
読んでいるうちに「もしかして、すべては虚構で、この人は今も出版社で仕事してるんじゃないか?」と疑念を抱いたりした。
この曖昧な著者の文章と対照的なのが、一緒に掲載されているブログへのコメントの質の高さだ。
むしろ、この本の見どころはコメントの方かもしれない。
この本は『僕もいずれ仕事を見つけて、また働きます。どんな業種になるのかわかりませんが、どこかでお目にかかったら、どうぞよろしく』で終わっている。
暢気だ。
常に修羅場に身を置く、遅れてきた天命物書き……同年代の私は、ページを閉じて溜息をついた。
『リストラなう!』 綿貫智人 著 新潮社
ラベル:リストラ
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