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2010年12月25日

『リストラなう!』

前から気になっていた本が図書館から届いた。

この本の著者は某大手出版社の営業職。
私と同年代だ。

この本は、超高額な退職金に魅かれて早期退職優遇制度に自分から志願し、退職までの2ヶ月をブログで実況したもの。

出版業界の内幕について、どのぐらい暴露されているんだろう? 
わくわくしながらページをめくりはじめた私……

だが、この違和感はなんだろう。
リストラが進む会社の現実と、著者の間に、分厚いすりガラスが挟まっているような印象は。

私が一つの会社が音をたてて壊れていくのを、間近で見た経験があるからなのか。
『倒産するとどうなるか』参照)。

「ブログを同じ会社の人が見るかもしれない」と意識しているせいか、出版業界の内実も、あまり書かれていない。

『僕はこの「表現衝動をマネタイズして生きる」という仕事も好きだけど、いっぽうで「従来の業界からできるだけ遠くに行かなきゃ」とも思う。切実に』と退職1週間前にブログに書いている状態。

……著者は、あまり自分の将来を真剣に悩んでいるようでもない。
普通「40代、独身、無職」となると、もうすこしあせるものだが。

一生働かなくてもいいぐらい退職金が高額なのか? 
最初から、ベストセラーが見込まれる書籍化を前提にしたブログだからだろうか? 

読んでいるうちに「もしかして、すべては虚構で、この人は今も出版社で仕事してるんじゃないか?」と疑念を抱いたりした。

この曖昧な著者の文章と対照的なのが、一緒に掲載されているブログへのコメントの質の高さだ。
むしろ、この本の見どころはコメントの方かもしれない。

この本は『僕もいずれ仕事を見つけて、また働きます。どんな業種になるのかわかりませんが、どこかでお目にかかったら、どうぞよろしく』で終わっている。

暢気だ。

常に修羅場に身を置く、遅れてきた天命物書き……同年代の私は、ページを閉じて溜息をついた。

『リストラなう!』 綿貫智人 著 新潮社
タグ:リストラ
posted by ゆか at 10:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 本読みコラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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