新聞を見るたびに私は不安になる。
曽祖母のマギー・オコンネルはアイルランド人。
ニューヨークで日本人の曽祖父と出会って結婚し、大正時代に子供たちとともに来日した。
もう一つの祖国、アイルランド。
数年前まで、驚異的な経済成長をとげていた国が、なぜ、こんなことになったんだろう。
著者はIMF(国際通貨基金)のエコノミストを経て、慶應義塾大学総合政策学部教授になった国際金融のスペシャリスト。
2008年のリーマン・ショック以降、迷走をはじめたヨーロッパ各国の経済。
その中でも特に国家破綻が懸念される「PIIGS(ポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシア、スペイン)」の内情に迫ったのが、この本。
EU(欧州連合)は、外交・安全保障政策の共通化と「ユーロ」への通貨統合を目的とする統合体。
欧州各国の財政危機に投資家たちがユーロ離れを起こし、それがさらに、欧州各国の財政を疲弊させる悪循環に陥っているのだ。
経済危機から立ち直りつつあるドイツやスイスの足を、PIIGSが引っ張る……
そんな構図になっているらしい。
ただし、アイルランドは他の4国とは違い、公務員の賃金削減、社会保障費の抑制、公共事業の削減、炭素税導入など、国民が一丸となって財政再建に取り組んでいる。
さらにユーロ安で輸出も増え、どうやら国家破綻は避けられそうだ。
少し安心した。
ところで、現在、日本が参加しようとしているTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)は、アジア太平洋地域の経済統合の枠組みになる可能性が高い。
TPPは貿易自由化や政府調達、競争政策などの幅広い分野が対象で、関税は例外なく10年以内の撤廃が原則。
アジア各国の関係はEUのように密接になる。
関税撤廃は製造業にはチャンスだが、農林水産業は大打撃を受ける。
日本が段階的に「開国」するための知恵が、今必要だと思う。
『欧州激震』 白井さゆり 著 日本経済新聞出版社
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フランス政府は一時英国侵攻作戦を練っていまして、その一環としてアイルランドで暴動を起こそうとしていたそうです。しかしその後侵攻先がエジプトに変更されてしまいまして・・・・・アイルランド側の暴動首謀者は見捨てられ、自決したそうです。むごい話ですね。