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2011年01月11日

武産合氣‐たけむすあいき‐(前編) 合気道と少林寺拳法

『ところで『武産合氣(たけむすあいき)』は読まれましたか?』

 
……ある少林寺拳法の有段者の方からメールをいただきました。

『島村さんも合気道家ならば、『武産合氣』は読んでおくべきです』

うわぁ。厳しいなあ。

……それにしても変だ。
『武産合氣』は合気道の本です。
なぜ、その本を少林寺拳法の方から薦められているんでしょうか。

夫に、このメールの話をしてみました。

「『武産合氣』? 合気道開祖の本やろが。お前、まだ、読んどらんのか?」

空手四段剣道三段少林寺拳法三段大東流合気柔術二段柔道初段の夫は、不審そうな顔。

「お前も合気道やっとる人間やねんから、もう読んどると思うとったが」
「リクエストだから、これから取り寄せて読むつもりだけど。でも、なんで私は、少林寺拳法の人から、合気道の本を薦められてるのかなあ」

「少林寺拳法は、合気道みたいに二人一組で稽古するし、空手みたいな打撃系の「剛法」と関節技系の「柔法」がある。そやから、熱心な拳士の中には、関節技系の武道、合気道を研究する人が時々おるんや。『武産合氣』は有名やからな」

なるほど。合気道と少林寺拳法は似ているのか。

『少林寺拳法公式サイト』によると、少林寺拳法は1947年、宗道臣が創始した「人づくりの行」。

『少林寺拳法の拳士は、自己の可能性を信じる生き方ができる人間、主体性を持った生き方ができる人間、他人の幸せを考えて行動できる人間、正義感と勇気と慈悲心をもって行動できる人間、連帯し協力し合う生き方ができる人間になることを目指します』 

……なるほど。別名『愛の武道』の合気道と似た部分があるような気がします。

少林寺拳法の特徴は

「拳禅一如(拳(肉体)と禅(精神)をバランスよく修養させる)」
「不殺活人(誰かを傷つけるためのものではなく、自分や他人を守り活かす技)」
「力愛不二(力と愛、理知と慈悲の調和)」
「守主攻従(まず守り、それから反撃する技法体系)」
「剛柔一体(当身で反撃する「剛法」と、抜き・投げ・固めなどで反撃する「柔法」)」
「組手主体(二人一組で修練する)」

……合気道と似たところと、ちょっと違うところがありますね。

せっかくのリクエストですし、ここは一つ『武産合氣』を読んでみますか。
「難解な本」との噂を聞いたことがあるけど。
日本語で書かれているんだから、なんとかなるでしょう。

……ということで、ネット古書店に『武産合氣(合気道開祖植芝盛平先生口述・高橋英雄編著 白光出版)』を発注。
数日後、書店から小包が届きました。

よし、いよいよ『武産合氣』とご対面だ。

喜び勇んで箱を開けた私は、一瞬呆然としました。

箱から出てきたのは『太極拳推手訓練秘訣(郭福厚著 BABジャパン)』。
……『武産合氣』は影も形もない。
納品伝票は確かに『武産合氣』となっています。

あわてて『違う商品が届きました。交換の手続きを教えてください』とメールを送ると、返信は……

『こちらの配送ミスでご迷惑をおかけしました。在庫がないので返金します。本はそちらで処分してください』

あのう。
お金を返してほしいんじゃなくて、『武産合氣』がほしかったんですけどね。

……ひょっとして、『武産合氣』に嫌われてるんじゃないのかなあ。
不安になってきた。

気を取り直して、別のネット書店に再発注。

『武産合氣』が届くのを待つ間、武道初心者向けのポータルサイトを運営するフォロワー(twitterの友人)から「武産合氣は私も読みましたが難しいですよ」と励ましのつぶやきをいただきました。
「難解」というのは本当らしい。

なんだか「『武産合氣』VS島村由花」みたいなことになってきたなあ。

「たくさん神道の話が出てくる」ということなので、初心者向けの神道の解説書『わが家の宗教 神道』(三橋健編・大法輪閣)を図書館から借りてきました。

再発注して3日後、『武産合氣』が到着。
どきどきしながら箱を開けると、中から『武産合氣』が。

ラッキー!

でも、考えてみると、注文どおりの商品が届くのは普通ですね。

それにしても、この本の出版元……白光出版は新宗教系の出版社だけど。
確か、開祖は神道系新宗教の大本(教)とつながりが深かったはず。

とりあえず、この出版元と著者について『白光出版』『白光真宏会』サイトを調べました。
編著者の高橋英雄氏は、白光真宏会の会誌や書籍編集をされていた方。
開祖が白光真宏会の創始者五井昌久氏と親しい間柄だったので、この本が白光真宏会から出版されたらしい。

まず目次を開きました。
218ページのうち、2ページが合気道2代目道主植芝吉祥丸先生の推薦文。
五井昌久氏が開祖について語ったくだりが25ページ。
編著者の高橋英雄氏が語った開祖の思い出や、あとがきが30ページ。
合わせて55ページ分。
本全体の約4分の1が白光真宏会の方の文章です。

そして、高橋氏の書かれた『あとがき』の中に、非常に気になる部分がありました。

『先生はテープ録音をお嫌いになったので、その当時の私には聞きなれない神道の専門用語にとまどいつつ、一生懸命筆記したものである』

……まずいな。これは難儀なことになるかもしれん。

私は物書きなので、テープに録音された取材相手の声を聞いて、それを原稿にまとめる作業、いわゆる「テープ起こし」を時々やりますが。

人は台本なしで話をすると、同じ言葉を何度も繰り返したり、話の脱線や飛躍が多くなります。
録音内容をそのまま文字にすると、読みづらい文章になることが多いのです。
そこで、資料をよく咀嚼して、「本当はこう言いたかったんじゃないか」と推測して文章を補ったり、重複部分を削ったりして読みやすく編集します。

いかに発言者の発言を正確に聞き取り、編集を最小限にして文章をまとめられるか。
それが書き手の腕の見せどころ。
言葉が聞き取りにくいと、何度もテープを回して確認しなければいけないのに。

それをテープなしで、しかも「聞きなれない神道の専門用語にとまどいつつ」口述筆記したとなると……。

……うーむ。「『武産合氣』は神道用語がたくさん出てきて難解」というような、単純な問題じゃないような気がしてきた。
しかし、せっかくの少林寺拳法の方からのリクエストではあるし、がんばらなければ。

 ……次回に続く……
posted by ゆか at 15:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 武道系コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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