今年1月、アメリカのスタンダード・アンド・プアーズが、日本国債を「AA」から「AAマイナス」に引き下げ、2月、ムーディーズが日本国債の「格付け見通し」を「安定的」から「格下げ方向」に引き下げた。
まずいな。
確かに今の日本経済は悪い。
『欧州激震』で知ったが、格付け会社の発表は、一つの国家を破綻寸前に追い込んでしまう恐ろしいものなのだ。
この本の著者は、ムーディーズを経て立命館大学金融・法・税務研究センターのシニアフェローになった人。
「格付け会社の内幕を描いた」内容のはずだが……。
格付け会社の歴史、存在意義、問題点などが詳細に書かれていて、「内幕を描いた」ことには間違いないが。
金融専門用語が文章の半分以上を占める難解な「格付け会社の教科書」だ。
「血沸き肉踊る格付け会社の内幕暴露本」を期待した私が馬鹿だった。
読んでいてしんどい。
しかし「君は『デジタル版知恵蔵』で時事用語の解説をしているのに、格付け会社の説明ができないのかね」と笑われたら悔しいので、最後まで読んでみた。
アメリカで鉄道債券を格付けする会社が登場したのは1909年。
格付けとは、国債や企業の発行する債券の価値を格付けして、投資家にリスクを判断する情報を提供する仕事。
発行するところが格付けを依頼する場合と、格付け会社が投資家の求めに応じて勝手に格付けする場合があり、日本国債は「勝手格付け」の方だろう。
「格付け」は企業の沿革・主要部門の業績と見通し、過去5ヵ年の財務諸表、資産・負債内容、将来の経営方針、将来2、3年程度の予想財務諸表……過去のデータで作られている。
それを修正するのが「格付け見通し」だ。
要するに「格付け」とは、「実現する確率の高い未来予測」。
だが、投資家の動きによっては、「未来予測」が、そのまま実現してしまうわけだ。
「国債は大半が国内で保有されているので大丈夫」という人もいるが、本当だろうか。
心配だ。
『格付けの深層』 森田隆大 著 日本経済新聞出版社
ラベル:国債
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国債の価値が下がって損をするのは、金持ちなので大丈夫でしょうが、これからの国債が売れなくなると国家予算にも影響しそうですね。