袴をよく見ると、折れて破損した芯の部分は上半分。
下半分は袴の紐に、がっちりと縫いとめられている。
……つまり、下手に芯の部分全体を入れ替えようとして、縫いとめてある部分の糸を全部ほどくと、袴が「身頃(服の原型の布片)」に戻ってしまい、自力で復元できない可能性が高いのです。
『武道具店で袴の腰板を修理した先輩の話では5000円かかったそうです』と、情報をくれたのはマイミク(mixiの友人)の合気道家。
5000円か。
その値段なら、安物の袴が買えてしまう。
……困ったなあ。
とりあえず、ネットで袴の腰板修理について情報収集。
意外に、たくさんの情報があるものです。
……剣道袴と弓道袴の腰板修理情報が。
確かに、合気道家より剣士・弓道家の方が多いから、情報が多いのかもしれない。
「洗濯機で洗濯して腰板の芯のプラスチック板を折ってしまう」トラブルは多いらしく、「ホームセンターでプラスチック板を買って取り替える。簡単ですよ」と、アドバイスの書き込みがあるところをみると、剣道袴や弓道袴(男子用)は、芯の交換が簡単な構造なのかもしれない。
ちなみに弓道袴や剣道袴は、腰板の部分をくるむように袴を巻きつけ、洗濯ネットに入れて弱水流で洗うと腰板の芯が割れないそうです。
しかし、困った。
合気道袴は、剣道袴や弓道袴とは構造が違うので、そのまま参考にするわけにもいかないし……。
所属道場でも「袴の腰板が折れた」ケースは聞いたことがありませんでした。
夫によると、膝行で膝がすり切れて破れるか、正座していて袴のお尻の部分と踵がこすれてお尻が破けるか、袴の脇の部分が破れるかで、腰板が折れるより先に、袴がダメになることが多いらしい。
私は腰骨に欠陥があるので、長時間の正座と、やりすぎれば膝を痛める膝行を避けてましたから。
それで袴の膝やお尻が破れる前に、腰板が壊れたのでしょう。
誰か、合気道の袴の腰板を自分で修理した人がいないか……。
執念深くネット検索していると……
いました。
袴の腰板修理に自力で挑んだ方が。
女性合気道家のてんぷうさん。
彼女のブログ『春夏秋冬』に腰板の修理の様子が詳細に描かれていますが。
やはり、素人が腰板の芯を丸ごと交換しようとすると、かなりとんでもないことが起こるようですね。
てんぷうさんは、「袴の腰板の下半分はそのままにして、破損した上半分だけ修理すること」を勧められています。
これはありがたい。
修復作業の前に修理のコツを知ることができたので、助かりました。
てんぷうさんは、腰板の芯に家具の滑り止めシートを使われたそうですが。
私は近所のホームセンターで、低反発ウレタン樹脂のシートを購入。
厚さは6ミリ。
前に入っていたゴム板は2ミリ程度の厚みでした。
受身を取って畳の上を転がる時、腰が痛いことが多かったから、新しい芯は、やわらかくて厚みがある方がいいかな……
そんなことを考える軟弱者の私。
元の腰板の芯の内側にウレタンシートを入れて、わざと大雑把に縫いつけて綴じました。
使ってみて具合が悪かったら、すぐに芯を交換しなきゃいけないので。
あえて糸をほどきやすくしたのです。
そして、復活した紺袴を履いて、合気道の稽古に挑戦。
前よりも腰に袴が密着するようで、受身も楽に……
これだったら、もっと早く腰板の芯を交換しておけばよかったかな。
腰板が崩壊した時には、一瞬「捨てようか」と思った袴ですが、見事に再生できました。
てんぷうさんと夫の助言に本当に感謝しています。
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