「常に相手の攻撃を避けられる間合いに身を置く癖がありますね。相手のふところに飛び込むのが、ほんとに苦手ですよね」
先生は苦笑しました。
「でも、合気道は、それじゃ、ダメなんですよ」
先生の言うことは重々わかっているつもりなんですが……
特に今、スランプなのが「入り身」という動き。
簡単に言うと、相手の側面に入って攻撃を避ける基本の動きのことですが。
『佐々木合気道研究所』サイトによると
『相手が掴んでこようが、打ってこようが、接した瞬間に相手と一体化するためには、まず相手の内に入らなければならない。入り身することである。入り身というのは、身(体)を入れることであるが、入り身転換法とか、入り身投げで、相手の死角に入ることだけではない』
こういう難しい動きのことなのです。
もちろん、私はまだまだ未熟なので『接した瞬間に相手と一体化する』ような高度なことがはできません。
せめて、相手の体勢を崩せればなあ。
今苦戦しているのは、「片手取りの入り身」。
相手に片手をつかまれた状態から、そのままで相手の側面に入るもの。
相手が手刀で打ち込んでくる時や拳で突いてくる時の入り身というのは、わりと得意なんですが。
すれ違いざまに、相手に拳で急所のわき腹を狙う余裕すらある。
(注:合気道では反則になるのでやらないように)
ところが……片手取りの場合、相手が私の手首をつかんでいる。
実は男性に力いっぱい手首をつかまれて固定されると、女性は身動きできないことが多いんです。
「島村さんは初段なんだから、こういう状態でも相手を崩せないと」
先生はそう言って、私の手首をつかんで、がっちりと固定しました。
先生に手をつかまれたまま、先生の側面に入って反転し、技をかけなければいけないんですが……
手をつかまれたまま動かせない。
力学的には、つかんで固定している力の方向から、ちょっとずれた角度に動けば、相手の力を無効にできる……はずですが。
先生がかけている力の方向をさぐり、ちょっとずらした位置で動こうとすると、それを察した先生が自分の力の方向を調整してしまい、私は動けない。
……ほんの数ミリ、ほんの数度の角度の違いなんですが、難しい。
強引に先生の側面に入ろうとすると、今度は肘がじゃまになって、うまく入れない。
「どうして、そう自分の不利な位置に動くかなあ」
自分が技をかける側のはずなのに、先生に技をかけられたりします。
「島村さんも黒帯なんだから、相手に合わせてもらわないと入り身できないんじゃ、困りますね。前から気になってたんだけど、その間合いの遠さ。相手の間合いに入る時の緊張、「閉じた」感じ……人の心は、その動きに現れますから。そこのところ、なんとかしないとダメでしょう。これは、技がうまいとか下手かとは別の問題です。……まあ、そこのところは、時間かけて直していくしかないですね」
人の心は、その動きに現れる……
先生の言葉は、私の胸にぐさりと刺さりました。
合気道をはじめて9年。
いまだに、リラックスした状態で相手の間合いに入ることができないのです。
『合気道の技の型は誰でも容易にできるが、技は努力なしにはできるものではない。しかし型を容易に覚えられたから技も容易に出来ると考えてしまう。そのため、相手が少しでも力を入れたりすると、動けなくなったり、技が崩れてしまう。そうなると、自分の技の未熟さを棚に上げて、相手のせいにしたり、頑張るものではないと文句を言ったりする者も中には出てくる。その内に何度かそのような経験をすると、自分は技が出来ないということに気付くようになるはずだ。気が付かなければそれまでである』
『佐々木合気道研究所』佐々木貴七段は、そう言われるのですが。
……技ができないことに気づいても、解決できなければどうにもならない。
実は、私が片手取りの入り身が苦手なのは、足さばきであるとか、力のはずし方とか、重心の移動だとかのテクニックの問題ではなくて、心の問題だと思っています。
子供の頃、私は喘息を始め、鼻炎、アトピー、花粉症、ジンマシンなど、さまざまなアレルギー症状を持っていました。
今よりはるかにひどい状態でした。
私が子供の頃、30数年前は、アレルギーや喘息に対する偏見はすさまじく、「相手が私に近づいてくる=危害を加えられる」という時期が十数年続いたこと。
これが病気よりも辛かったのです。
もちろん、私は自分で身を守るための技術も研究したし、いつの頃からか、私の意思とは別に動き、私よりもはるかに俊敏で残酷な身体の意思(自己防御本能)も発達してきて、なんとか身を守り続けることができましたが。
今も、他人に近づかれすぎるのも苦手だし、人と話していても、体が無意識のうちに、相手の拳を避けられる間合いをとってしまうのです。
相手が自分に近づいてきても危害を加えるわけでもない……と頭ではわかっているんですが……。
まだ心の片隅に、あの頃の記憶が残っていて、特に間合いの近いところからはじまる「片手取りの入り身」の稽古をすると、それが緊張感になって露骨に現れるのでしょう。
……どうしたらいいんだろう……
そういえば……
初めて出会った時に、後ずさりして間合いをとろうとした私よりも早く、私の間合いに、すっと入ってきて、「大丈夫やからな。何もひどいことせえへんからな」と、にこにこしながら言った男性がいます。
後で、その人が空手四段剣道三段少林寺拳法三段大東流合気柔術二段柔道初段だと聞いて、「それだったら、あっさり間合いに入られてもしょうがないか」と納得したけど。
どうやら、この問題の鍵を握っているのは、夫らしいですね。
……次回に続く……
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