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2011年08月06日

『スピリチュアル市場の研究』

実は「私、スピリチュアルに興味があるんです」という人が苦手だ。




確かに、私が物書きになることを決定づけたのは四柱推命の占い師だったし、ジョナサン・ケイナーの占星術は毎日見る。
「家を清潔にすると幸福になる」風水思想は理にかなっているとは思うし、出版不況の中、携帯占いコンテンツの執筆求人だけが激増しているのも気になる。

しかし

「私の前世はヨーロッパのお姫様でオーラはピンク。世の中で悪いことが起こるのは全部「気づき」のためでラッキーなことなんですよ。で、結局、私がハッピーになることは、地球がハッピーになることだからがんばります」

と、真顔で語る人に出会うと対応に苦しむ。

この本の副題は「データで読む急拡大マーケットの真実」。

著者は三菱UFJリサーチコンサルティング株式会社の副主任研究員。
大量の調査データを用いて「癒し」「占い」「パワースポットツアー」「風水」「ヨガ」などのスピリチュアル・ビジネスの急拡大の背景と、そのユーザーの実態に迫ったもの。

スピリチュアル(霊性・科学的に立証されない力)を扱うものは、占い、ヨガ、ヒーリング、神社仏閣の参拝、パワーストーングッズや健康食品販売、LOHAS、ホメオパシーなど多彩で、1兆円以上の市場規模を持つ成長産業なのだ。

忙しい現代社会では、家庭不和、病気、失業などのさまざまな災難が起こっても、現代人は時間がかかる根本的解決より、とりあえず社会生活ができる程度に復帰できる効率的な「癒し」を求める。

スピリチュアル・ビジネスは、人々の努力なしでできる変身・リセット願望を満たし、安心感やリラックスを与え、「特別な自分」を発見させて優越感に浸らせる……

なるほど。これだったら消費者の心をつかめる。

坊主バーや風水住宅などの新業種も現れ、政府もヨガや気功と近代西洋医療を組み合わせた「統合医療」を推進しはじめた。

どうやら「スピリチュアルとの適正な付き合い方」を真剣に考えねばならない時代らしい。

『スピリチュアル市場の研究』 有元裕美子 著 東洋経済新報社

ラベル:占い
posted by ゆか at 11:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 本読みコラム | 更新情報をチェックする
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