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2006年08月15日

もう新盆なんですね

『ショウナイの新盆のことですが、お供えをどうしましょうか』……友達からメールが送られてきました。
私の高校時代の友人、ショウナイがガンで亡くなり、すでに1年近く。
もう、初めてのお盆が訪れるなんて。
月日が過ぎるのは本当に早いものです。(ショウナイについて、詳細は日常コラム『あまりにも早すぎる死』にて)

実は、新盆のお供え物選びは難しい。
冠婚葬祭事典には『お供えは故人の好物や果物や花。現金の場合、近親者は香典の5割から7割の金額』とありますが、何が一番よいのかはケース・バイ・ケース。
特に古いしきたりが根強い関西では、慎重な対応が必要です。

私たちの世代は、葬儀告別式に出席することはあっても、喪主として葬儀告別式を取り仕切るのは、まだ親の世代。
親の世代も「子供らに葬式のこと教えるのは、まだ早いわ。縁起でもない」と思っているから、何も教えられてないことが多いのです。

私たちも、自分たちの判断でお供えを出すのは、今回が初めてだから、失礼のないようにするには、どうしたらいいかわからない。

そこで、年齢の割に葬儀法要の場数をこなしている夫に、相談してみました。
夫は27歳で父親を亡くして喪主を務め、その後は、ずっと義母の代理として、親族の葬儀法要に出席しているので、私より、はるかに経験と知識があります。

「ショウナイの新盆のお供え、どうしたらいい? 私らとしては、ショウナイの旦那さんに、お返しとかで気を使わせたくないんやけど」

「そうか。もう新盆なんやな」

夫は感慨深そうに言いました。
ショウナイは私たちの結婚式に出席してくれましたし、家族ぐるみで飲み会やフリーマーケットに出かけたりしていましたから、夫もショウナイのことは、よく知っています。

「ショウナイの住んでるとこは、町内会、強いんか?」
「告別式に、町内会の花輪があったところをみると、たぶん、地縁は強いね」
「そうか……」

夫はしばらく考え込んだ後、言いました。

「たぶん、お前らも、仲のいい友達や思うて、高いお供えしたいとこやろけど……ショウナイの旦那のこと、考えるんやったら、出過ぎたマネすな。身内や町内の面子つぶすような、豪華なお供えして、「非常識な友達が多い」と思われたら、後で旦那が苦労するで」

「確かに「連名だから、ちょっと高額でも」という話は出てるよ」
「あかん。ショウナイの旦那は、男手一つで子供育てなあかんねんで。何かトラブルあったら、すぐに助けることができるのは、隣近所や親戚やろ。ここは波風立てたらあかん」

ショウナイのご主人は高校の同級生。私たちの友人でもあるのですから、彼を困らせるようなことはしたくない。
それにお盆は、本来『盂蘭盆会』という死者の霊を慰める行事。
ショウナイの霊前で、もめごとを起こすようなことはしたくない。

「町内会が強いんやったら、お供えのお返しの話も出てくるやろから、ここは「お返しは辞退」ということで、お下がりを、後で分け合える日持ちする菓子、例えば、ゼリーの詰め合わせなんかを、多めに用意するといいかもしれん。これは気持ちの問題やからな」

結局、果物ゼリーと焼き菓子の詰め合わせを、多めに用意することになりました。

こういうことは、場数を踏まないと判断が難しいそうですが、「場数を踏む」ということは、それだけ親しい人をたくさん失っていくわけで……それはそれで悲しいことです。

posted by ゆか at 11:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 日常コラム | 更新情報をチェックする
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