『デジタル版知恵蔵』の『特定扶養控除』の時事用語解説記事を書いていて、私は溜息をついた。
『特定扶養控除』とは、教育費のかかる16歳から22歳の子供のいる家庭の税負担を軽くするために、扶養控除38万円に控除を上乗せする制度。
民主党政権は「高校無償化」の財源にするために、16歳から18歳までの子供の上乗せ分を減額。
「子ども手当」の財源にするために、15歳以下の子供がいると所得税が安くなる「年少扶養控除」も平成23年度に廃止。
所得税は課税所得にかかる税金で、
課税所得=総収入−所得控除
つまり、平成23年度から扶養控除が減額された分、課税所得が高くなって所得税が増え、手取り収入は減る。
そして、平成24年から課税所得で算定される住民税も上がる。
さらに、課税所得で値段が決まる保育料、公営住宅の家賃、国民健康保険料なども値上がりする。
増える負担よりも「子ども手当」や「高校無償化」の恩恵が多ければいいのだが……。
この本の著者は関西大学経済学部教授。
「公平な税制」がテーマの本だが。
東日本大震災で大打撃を受けた東北地方。
全国で東京都だけが突出して高い県民所得。
高齢者は2000万を超えているのに、若者は500万程度の平均貯蓄額。
これまで散々税制改革が行われてきたが、格差は広がるばかり。
読んでいて溜息が出る。
2011年8月26日の「子ども手当特措法」成立で、0歳〜中学生の子供に一律に13000円支給されていた子ども手当は、2011年10月から3歳未満が15000円、3歳以上は10000円になる。
だが、年少扶養控除は廃止のままだ。
しかも、著者によると「平等な課税」といわれる消費税は、実際には、支出を自分で抑えられる高齢者よりも、子供の成長とともに教育費や食費の支出が増える子育て世帯の方が、負担が大きいそうだ。
税制を最初から組み立てなおさないと不公平な税負担はますます増える。
なんとかならないのだろうか。
『税と格差社会』 林 宏昭 著 日本経済新聞出版社
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